カブ男

    ある日飲み友達(男性)に何の気なしに、私は夜の仕事をしているけれどなかなか生活が苦しいというような話をしたことがあった。実際に私は自転車操業のワーキングプアのような生活をしているのだけどそれを取り立てて愚痴ったわけでも無いけれど話がどんどん別の方向になって辟易してしまったことがあった。
 一般的に名が知られている大手企業のそのサラリーマンの飲み友達は未だに独身である。その男はどうやら国内だけでなく海外の株も色々買っているようである程度の額は儲けているようだ。 私自身は殆ど株はやっていないし、そもそもそれを運用する資金を捻出することは厳しい家計である。
 それなのにその男は話の端々に「それならそのxx社の株なら株主優待で特典いっぱい付いてくるから買えばいいじゃない」と軽くいう。 後からその銘柄を調べたら到底私には手が出せない。そしてまた或る時は株式界隈では有名な投資家などの名前を出してきて、私が知らないというと、え!知らないの?あのYYだよ?と小馬鹿にされたと感じることもあった。 
 でもよく考えたら、いやよく考えなくても、その男だっていつも誰もが知っているようなことを全く知らず、私も呆れてしまったこともあったしそれを追求しても何の意味もなく、ただこちらが虚しくなるだけどというのはもうわかってしまった。
 きっとこの男はずっとこのままこのように生きてゆき、相手の気持ちなんてわからぬまま過ごしてゆくのだろうと。

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