「掛」で日本語と英語の違いをみよう!
「掛」という字がある。
「売掛金」「買掛金」で使う漢字だ。
キャッシュを使わない取引、という意味だが、この英訳について。
売掛金 = Accounts receivable
買掛金 = Accounts payable
そもそも、この字は「モノを掛ける」(=かける)、「布団をさおに掛ける」(=かける)のように、使われた漢字だ。江戸の蕎麦屋が、ソバとつゆを分けて客に出していたが、せっかちな江戸っ子の、「分けないで、ソバの上につゆを掛けて(かけて)ほしい」という要望で、「かけそば」が出来上がった。酒を飲みながら、立ったまま、ソバを口に流し入れて、、一時休んでまた仕事に戻る・・・そこから、転じて「食べかけ」「やりかけ」のような「途中」という意味合いになっていった。
※語源については、諸説あり。
つまり、なにかを「やりかけている」「途中」の状態が、「掛」。その発想からいくと、「売掛金」=「お金をもらう途中」、「買掛金」=「お金を払う途中」という気持ちが表れている。
これに対し、英語はどうだろう。
単語の最後に"-able"をつけている。
「能力を持っている」「できる」状態、ということ。
"-able"、"-ble"は、ラテン語の"-bilis"(=できる)からきている。ラテン語からロマンス諸語に言葉がシフトした際、たくさんの接尾語が消えていったが、これは残った数少ない単語の一つ。「~できる」状態から、「~が可能」といった、その人の能力や権利を表すようになった。
つまり、「掛」の英語は、なんらかの能力や権利を表すということ。
Accounts receivable (=お金をもらえる)能力、権利 = 売掛金
Accounts payable (=お金をはらえる)能力、権利 = 買掛金
やりかけの途中を強調する日本語、能力や権利を強調する英語。
文化で、言葉に違いが表れますね~
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