見出し画像

生き血

 gibkiy gibkiy gibkiyは、生き血と名乗るアルバムにてメルヘンの如是を語る。
 メルヘンとは、巌谷國士の語るシュルレアリスムとの関わりすら見出せる概念に他ならない。言わば読み人知らずであり、人間の根源的な物語と言える。gibkiy gibkiy gibkiyは、自己から見て完全に他者となるメルヘンの世界を歌い出すことに成功している。そして其れはから始まる歌詞は、物語以前の集合意識の世界だ。
 思うに、反吐から始まる四部作その後の二枚はメルヘンではない。Merry Go Round的な自意識過剰な世界だ。メリゴらしさとは自意識系らしさなのではないか。心臓とPISTOLの歌詞を読もう。
 反吐と生き血はメルヘンで、虫酸と無題は物語だ。後者には極度に膨張する自我がある。一方で前者は、反-近代とも言える自我への反抗がある。メルヘンは集合意識の中にある物語を紡いでいるから魅力的なのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?