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「海のはじまり」シナリオブック感想(第三話・第四話)

本編になかった台詞も増えてきて、勝手に脳内で想像して再生するのが楽しいです。

夏美「(絵を見て)鳥さんだ。上手」
海「(小声で)…サブレ」
夏美「サブレ?」
海「…」
夏美「…今日は元気ないね」
海「うん。でも大丈夫」
夏美「大丈夫って?」
海「今ママのこと考える時間。元気ないけど大丈夫」
夏美「そう…」
海「…」
海、静かに絵を描き続ける。

「海のはじまり」第三話


ママが好きで、自分も好きになった鳩サブレーを描く海ちゃん、可愛すぎる。夏美先生、それは分からないよね鳥さんだと思うよね。笑

海ちゃんが、夏くんの言葉で悲しいことを悲しいって吐き出せて、無理に元気を演じなくてよくなって、良かったです。

水李「…相手に似るなら産みたい」
翔平「赤ちゃんのお父さん?」
水李「(頷く)私みたいだったらイヤ」
翔平「お父さんはね、水李のことお母さんそっくりだと思ってて」
水李「(小声で)…似てないよ」
翔平「でも、お母さんは、水李はあなたそっくりって言うよ。嬉しそうに」
水李「…どういうこと?」
翔平「そういうもんってこと」
水李「…」
翔平「相手に似てほしいって思えるだなんて、それはもう、ね」
水李「…迷惑かけたくない」
翔平「迷惑ねぇ」
水李「責任負わせたくない」
翔平「責任ねぇ」

「海のはじまり」第四話


本編になかった台詞がある…!
水李のことを、それぞれ相手に似てるって思っている翔平さんと朱音さん、素敵。
水李も海ちゃんと話している時、ホントそっくり、って嬉しそうに言っていましたよね。親子だな〜。

相手に似るなら産みたい、って思えるの、どれだけ相手のことを想っているかうかがえて。
水李の夏くんに対する気持ちの強さが分かって。
でも、別れを決断した水李。
迷惑かけたくない、責任負わせたくない、それもまた夏くんへの気持ちな訳で。
一人でそんなに抱え込まないでって言いたくもなりますが、夏くんと別れていなかったらなかった出会いもある訳で。
どの選択も、自分次第なんだなと思います。

朱音「あんた、人に可哀想とか言うの、やめなさい」
水李「…」
朱音「知らないかもしれないけど、お母さん幸せなの」
水李「嘘だ」
朱音「じゃあ嘘だと思ってなさい。お母さん幸せなの。水李産めて、生意気に育って、わがまま言われて、幸せなの」

「海のはじまり」第四話


人の可哀想を決めつけようとしない、生方さん。娘にむかって、娘にわがまま言われて幸せなのって言えるお母さん、素敵な生き方すぎて…。

弥生「それであれでしょ。引っ張ってくれるタイプ。代わりになんでも決めてくれて、人に相談とかしない、自分の意思貫く感じ」
夏「…話したっけ?」
弥生「南雲さんの娘さんで、海ちゃんのお母さんでってなると、もう自然に人物像が」
夏「へぇ…」
弥生「私はね、意外と相談したいタイプ」
夏「…」
弥生「大事な人にはまず話して、ちゃんと共有したいって思うタイプ…だった。ほんとはもっと、人に寄り掛かりたい」
夏「…」
弥生「一緒に悩んだり、考えたりしてほしかったんだけど、そのときの大事な人がみんな、自分の答えをポイって置いてく人で。寂しかった」
夏「…」
海が二人に向かって手を振っていて、
弥生「あ、おーいって。子どもって手振りたがるよね、おもしろい」
と、海に手を振り返す。
海、手を振るとすぐ遊びに戻る。
夏、弥生の言葉を待ったまま…。
弥生「無視してたこの数日、月岡くんさ、しつこく電話したり、家押しかけたり、君をこんなに愛してるんだって語ったり…(つい笑って)ほんとしないよね」
夏「ごめん…」
弥生「ううん。それがいんだけどね、待ってくれるとこが」
夏「…」
弥生「悪く言えば、自分がない。悪く言えば、他人に委ねすぎ」
夏「…ん?悪くしか言われてない」
弥生「その、決めきれない感じ?迷っちゃう感じ?たまにイラッとするんだけど…(照れ笑いで)でも、一緒に迷えるのは助かる。寂しくない」

「海のはじまり」第四話


南雲さんの娘さんで、海ちゃんのお母さんで、ってとこ、本編になかった気がします。
弥生さんは、水李と面識がないけれど、水李のお母さんである朱音さんと、水李の子どもである海ちゃんと接して、水李像を描き出したんですね。それで、それがあまりに当てはまっているのが凄いです。親子って、そうなんだなって思います。

君をこんなに愛してるんだって語ったり…て言葉も本編にありませんでしたね。
夏くん、言わなさそう。言ってるとこ見てみたい気もしますが、でも見たくない気もする。笑

自分の答えをポイってされて、寂しかった弥生さんが、一緒に迷える夏くんと出会って寂しくなくなって、良かった。

朱音「知らないことって知ろうとするしかないのよ。会社員やってると、なんでそんなことも知らないんだーって怒られたりするでしょ?」
夏「はい。よく」
朱音「知らないことに理由なんてないのよね。知ろうとしなかったこっちの怠惰と、教えなかった向こうの怠惰、それだけ」
夏「教わってないからですって答えて、余計怒られたことあります」
朱音「(笑って)え?月岡さんあれ?帰れって言われたらほんとに帰る世代?」
夏「(笑って)そんな世代ないです。帰らないです」
朱音「(笑って)水李、帰りそうじゃない?」
夏「(笑って)水李は帰りますね。絶対帰ります」
朱音「(笑って)ね。だよね」

「海のはじまり」第四話


また本編になかったシーン。
怒られたりするでしょ?に、はいよく、って答える夏くん。笑

帰れって言われたらほんとに帰る世代?話も面白い。水李、帰りそうじゃない?絶対帰りますって、二人の知っている水李について語り合うのも良いです。朱音さんと夏くんって、水李がいなかったら、繋がっていない二人で。水李はもういないけど、いない水李を通して繋がっている訳で。それぞれに見せている顔が違ったと思うんだけど、思い出は共有できる。そんな二人が、見ていて微笑ましいです。

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