見出し画像

「海のはじまり」第六話感想

水李と弥生さんが、こんな形で繋がっていたとは…同じ病院だから何かあるかもとは思っていてもこんな繋がり方させてくるなんて…生方さん凄すぎる。自分の意思で自分のことを決めてきた、そんな水李が影響された相手が、きっかけをくれたのが、弥生さん。衝撃の回でした。

朱音「自分の時間なんてなくなるのよ。全部子どもに合わせて。水李絶対に向いてない。あんたみたいなマイペースな子は一番子育てに向いてないの。」
水李「お母さんは?お母さんは向いてた?子育て。」

「海のはじまり」第六話

結婚に向いている向いていないとかよく言いますが、子育てにも向いている向いていないってあるのでしょうか。自分で向いていないと思っていても、意外と向いていたり。他人が向いていないと思っていても、実はそんなことなかったり。その逆だったり。どちらの選択も責任が伴ってくるから簡単には言えないけれど、やってみないと分からないのが人生なんだなって思います。

夏「髪やろっか?」
海「出来んの?」
夏「出来るよ。」
海「やってー!」
夏「はい。」
朱音「出来るの?」
夏「出来ます。」
朱音「そう。じゃあお願いします。」
夏「はい。三つ編みでいい?」
海「編み込みがいい。」
夏「何?」
海「編み込みがいい。」
夏「…うん?何?」

「海のはじまり」第六話

弥生さんと三つ編みを練習してきたから、出来るよと得意げな夏くん。まさかの海ちゃんから編み込みがいいと言われちゃって、何度も聞き返します。笑 あんなに頑張ったのにね、出来るよドヤってしてたのにね、子育てって準備していても予測不能なことが沢山起こるんだなってことを実感させてくれますよね。

彩子「朝時間ある人の頭してる〜。」
弥生「そんな時間かかんないよ?」
彩子「色もちょっと変えました?」
弥生「ごめんなさい。」
彩子「えっごめんなさい?」
弥生「美容院って贅沢品だよね。」
彩子「私は生活費カウントしてますけど。」
弥生「最近何かとこう…自分がいかに自由であるかを実感するんだよね。」
彩子「いいことじゃないですか。縛られてるより。」

「海のはじまり」第六話

編み込みしてほしいって夏くんが海ちゃんに言われたシーンの直後に映る、弥生さんの編み込みヘアスタイル(可愛い)。やっぱりこの間の美容院で隣だったシングルマザーの女性の会話、気にしていたんですね。美容院って、贅沢品って。そして水李や世の中の子育てしている女性と自分を比較してしまっている。弥生さんは弥生さんなんだから、そのままでいいのよと声高に言いたい、、、!真面目だからこそ、自分が他の人と比べて楽してるんじゃないかって思い詰めちゃうんですよね。そんなことないのに。

夏「ここにいた時水李どんなでしたか?」
田辺「ままならない生活だったと思いますけど、でも家賃滞納したことはないし、ごみの分別もちゃんとしてたし。きちんとしたお母さんでしたよ。」
夏「ちょっと意外です。僕が知ってる頃は結構…大ざっぱというか自由な人だったんで。」
田辺「じゃあより大変だったでしょうね。そういう人が頑張ってそうしてたんでしょうから。」

「海のはじまり」第六話

水李と海ちゃんが二人暮らししていたアパートに来た海ちゃんと夏くん。引き払っていたけど、海ちゃんが大家さん(田辺さん)に頼んで、入れてもらえました。大家さんに当時の水李のことを聞く夏くん。一つずつ、過去の水李と向き合っていこうとしていますね。大家さんにきちんとしたお母さんだったと言われ、意外だという夏くん。朱音さんにも子育てに不向きと言われていたけど、努力してしっかりお母さんしてたんですね。ごみの分別というワードがリアルです。関係ないけど、ベランダに一人で出ている海ちゃん心配じゃありません…?笑 視聴者ながらハラハラしちゃいました。

海「今日もしかして水曜日?水曜日いつも休み。」
夏「ごめん調べればよかった。」
海「スマホ貸して?」
夏「うん?」

津野「はいどうぞ。」
夏「すみませんお休みの日に。
津野「暇なんで。子どもも彼女もいないし。あっ大丈夫ですよ、ちゃんと許可とってます。」
夏「ありがとうございます。」
津野「海ちゃんがって言ったらあっさり。ここの人皆南雲さんと海ちゃんのこと大好きなので。」
津野「海ちゃん。」
海「なに〜?」
津野「貸し切りです!」
海「大きい声出していい?」
津野「いいよ!」
海「走っていい?」
津野「いいよ!」
海「わー!!」(走る)
津野「うわ〜!アッハッハッハ!ワッハッハッハ!」(海ちゃんを追いかけて走る)

「海のはじまり」第六話

水李の働いていた図書館に一緒に行く夏くんと海ちゃん。夏くんが海ちゃんにしてあげた不器用な三つ編みが可愛いです。笑 休館日だった図書館を津野くんを呼び出して開けてもらおう!という海ちゃんと、お休みの日にわざわざ来てくれる津野くん。津野くんは、海ちゃんにとって家族じゃないけど甘えられる存在なんですよね。そして、引き払ったお家もお休みの図書館も開けてもらえる海ちゃんのパワーったら、最強ですね。海ちゃんが可愛くていい子っていうのも勿論あると思うのですが、水李が周囲から愛される努力をしてきた、愛される人だったっていうのも大きいんじゃないかなと思いました。そして、人のいない図書館ではしゃぐ海ちゃんと津野くん。この二人の姿を見ていると、津野くん外野なんかじゃないよって言いたくなりますよね。海ちゃんが笑顔になれる、大切な存在ですよね。津野くんにとっても、海ちゃんは大切な存在ですもんね。家族という括りでない、友人ともまた違う、でも括れないけど大切な存在って、いてもいいよねと思わせてくれます。

弥生「フフ…大丈夫だよ。私の心配までしてくれなくても。」
大和「しますよ。もう家族みたいなもんだし。でもお母さんはちょっと冷静で。まだ結婚してなくてよかったって。カップルが別れるのと夫婦が離婚するのとじゃ、全然違うから。弥生ちゃんは弥生ちゃんの意思だけで決めたらいいって。伝言です。」
弥生「ありがとう。でも…。大丈夫。今はホントにいたいからいるだけ。」
大和「ですよねぇ。海ちゃん…。めちゃくちゃ可愛いですもんね。」
弥生「可愛いよね〜。」
大和「姪っ子って可愛いとは噂では聞いてたけどもこんなに!?って。」
弥生「分かる、好きな人の子どもってえっ?こんなに可愛いんだ!って。やっぱ似てるとこちょいちょいあるしね。うん?」
大和「好きな人。」

「海のはじまり」第六話

カフェでお茶する大和くんと弥生さん。夏くん抜きで二人で外で会うなんて、仲良しでいいですよね。海ちゃんと夏くんのことを楽しそうに話す弥生さんを心配そうな目で見る大和くん。家族みたいなもんって言ってくれるの、弥生さんからしたらきっと嬉しいですよね。それに対するお母さんの、結婚してなくてよかったっていうのも弥生さんのことを尊重した、優しい現実的な感想。より辛い決断を迫られる前に、選択できる余地があって良かったってことですもんね。弥生さんの大丈夫、はこれ本当に大丈夫じゃないよね?って今まで散々心配になってきたけど、いたいからいるだけというこの気持ちは、本当なんだろうなと思えますよね。そして海ちゃんの可愛さを共有する二人が、また可愛いです。笑 好きな兄の子だから可愛いというのはやっぱり分かるけど、好きな人の自分との子じゃない子だけど素直に可愛いって言えるのは、弥生さん、凄いですよね。

津野「帰り電車ですか?」
夏「あ…はい。」
津野「じゃあ。」(缶ビールを渡す)
夏「えっ。」
津野「やってみたかったんです職場で。しかも昼間に飲むの。」
夏「いただきます。」
津野「海ちゃん。ジュース飲む?」
海「後で。」
津野「はい。」
夏「水李いつからここで働いてるんですか?」
津野「海ちゃんが3ヶ月くらいからですかね。」
夏「えっ…0歳のですか?」
津野「フフ…0歳のです。」
夏「へぇ…。」
津野「妊娠中に講習受けて司書補の資格取ったらしいです。その後働きながらすぐ司書の資格も取って。」
夏「へぇ…。」
津野「南雲さんに聞いたらいいんじゃないですか。おばあちゃんの方の。」
夏「ご両親には。聞きにくくて。」
津野「病気のことですか?」
夏「はい。」
津野「検診とか受けたことなかったらしくて。まあそうですよね。1人で子ども育てて、時間とお金なくて。時間とお金出来たら子どもに使うって生活してたら。」
夏「治療とかって…。」
津野「最低限だけ。そもそも見つかった時には出来ることがもうほとんど。っていうのもあるし、元気なまま辛そうな姿見せずにスッていなくなるのが理想って言ってたんで。」
夏「実際…どうだったんですか?」
津野「思い出したくないです。海ちゃんと向き合おうとするのはまあ分かるんすけど、今さら南雲さんと向き合おうっていうのは綺麗事ですよね。死んだんだから。もう掘り返さないでください。」
夏「嫌です。」
津野「嫌です?」
夏「知りたいです。掘り返します。すみまさんごめんなさい。」
津野「比べるもんじゃないとかよく言いますけど、月岡さんより僕の方が悲しい自信があります。」

「海のはじまり」第六話

図書館でLINEを見る夏くんに、缶ビールを持ってやってくる津野くん。職場で昼間にビール、いいですね、この二人の雰囲気から明るい感じ一切ないのがシュールなんですけど。笑 夏くん、水李いつからここで働いてるんですか?って現在系で聞くんですね。無意識かもしれないけど、現在系。ここに水李がいそうな感じで。妊娠中に勉強して、産後も資格を取って、海ちゃんが3ヶ月の時から働いて。水李凄すぎる。あの自由な感じなのに、必死に頑張っていたんだろうなっていうのが伝わります。思い出したくないですっていう津野くんの表情が、なんともいえない辛そうな感じで。でも、そのトーンで掘り返さないでくださいっていう津野くんに、嫌です知りたいですって堂々と言える夏くん。いつも他人に合わせるけれど、嫌な時ははっきり嫌と主張できるのが夏くんですよね。今側にいる海ちゃんと向き合うために、水李とも向き合わなきゃって真摯なところが伝わってきます。僕の方が悲しい自信があるという津野くん。そうですよね、8年間を知らない夏くんよりずっと側にいた津野くん。悲しいという気持ちは負けないって、伝えたかったんですね。

津野「あっそうだ。海ちゃん。」
海「何?」
津野「ジャーン。」(ヘアゴムを見せる)
海「えっ!?」
津野「えっ?発掘した。つけよっか?」
海「うん。」
津野「三つ編みほどいていい?」
海(夏を見つめる)
夏「やってもらいな。」
海「うん。」
津野「うん。」
津野(三つ編みをほどいて、ボンボンのヘアゴムでポニーテールに結ぶ)「いいねふわっふわ。」
海「ありがと。」
津野「どういたしまして。もうなくさないようにね。」
海「うん。」

「海のはじまり」第六話

前回津野くんの家のソファで発掘されたボンボンのヘアゴム!出てきましたね!夏くんがしてくれた不器用な(言わなくてもいいことを言う)三つ編みをほどいてもいいか聞かれて、夏くんの顔色をうかがう海ちゃん。子どもながらに一生懸命頑張ってくれた夏くんを気遣う表情でしたね。そんな三つ編みがほどかれていく様子が、なんともまた丁寧に描かれていて、ちょっと切なくなりました。

ゆき子「すいませんあの子全然そういう話してくれないから。」
朱音「男の子なんてそんなものですよ。あっ…あの…。よく分からないですけど。男の子育てたことないから。すみません、想像で物を言って。」
ゆき子「いえ。女の子うらやましいです。お母さんに恋愛の話とかしてくれたんじゃないですか?」
朱音「全然全然。もう水李は…全然。」
ゆき子「ごめんなさい。女の子育てたことないくせに偏見で話しちゃって。」
朱音「お互いさまですから。」
ゆき子「いただきます。」
朱音「言葉にはならないけど…色々と考えてくれてるみたいです。私たちは待とうと思っています。」
ゆき子「ありがとうございます。」

「海のはじまり」第六話

夏くんのお母さんのゆき子さんが、南雲家を訪問。このシーン、良かったです。男の子、女の子ってこういうものではって思ってお互い話して、想像と偏見で話しちゃってごめんなさいってお互い謝るの。知らないけど、これはこうだってラベリングして、勝手に思っちゃってるって結構ありますよね。一人ひとり違うから、決めつけない方がいいってこと、生方さんは「silent」でもそんなことを教えてくれましたよね。

朱音「イライラしないのね。」
夏「何にですか?」
朱音「子どものペースに合わせたり待ったりすること。何か平然としてるから。」
夏「ああ…すみません。」
朱音「うん?」
夏「人に合わせちゃうんです。自分で決めるの苦手で。昔からずっとそうで。待つのも待ってないで自分から動けって、仕事でもよく怒られたり。あと自由過ぎるのも苦手で。ある程度やること決められてた方が、楽に思っちゃうというか。」
朱音「子育てに向いてるのかもね。」
夏「それはないと思いますけど。」
朱音「いいことよ。人に合わせられるのってすごいことよ。でもまあ今はここだし、仕事に行く日の朝二人っきりとか、いざとなったら月岡さんでもイライラするのかもね。」
夏「それも練習できたらしたいです。」

「海のはじまり」第六話

人に合わせられるってすごいって、初対面の時に水李が夏くんに言ってくれた言葉ですよね。それを言ってくれるんだから、やっぱり朱音さんと水李は親子なんだなと感じます。夏くんが自分の性格について、朱音さんに詳らかに打ち明けるの、心を開いている証拠な気がしますね。そしてそれも練習できたらしたい、と夏くんが言った時の朱音さんの目。少し驚いたような寂しそうな表情でしたね。夏くんがきちんと考えてくれているのは嬉しいけど、このお家から海ちゃんが離れてしまうっていざ考えると寂しいですよね。

弥生「妊娠9週で中絶しました。強い罪悪感に襲われています。彼がああしてくれたら母がこう言ってくれたらと罪悪感を他人のせいにしてしまい、そんな自分にまた落ち込みます。まるで自分が望んだように振る舞っていただけで、実際は他人に全てを委ねていました。人に与えられたものを欲しかったものだと思い込むのが、私は得意過ぎました。後悔とは少し違う、でも同じ状況の人に同じ気持ちになってほしくありません。他人に優しくなり過ぎず、物分かりのいい人間を演じず、ちょっとズルをしてでも、自分で決めてください。どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います。」
看護師「南雲さん、先に同意書お預かりしますね。(母子健康手帳を見ながら)ご自身のですか?」
水李(涙ぐみながら)「読んだらおろすの無理ってなる気がして、まだ中見てないんですけど。でも…。読んでそれで決めます。ハァ…他人のせいにしたくない。ハァ…あんまりないんだけどな、人に影響されること。この人が来たら伝えてもらっていいですか。」

「海のはじまり」第六話

病院で「ご意見・ご感想」のノートを手に取る水李。そこに書かれていたのは、弥生さんの綴った文章でした。弥生さんの言葉が、いつも自分の意思で決めてきた水李を動かしたのね、そして海ちゃんに繋がっていくのね…と思わず声が出た場面でした。弥生さんの文章、凄すぎる。自分が辛い思いをしたからこそ、他の人にそうなってほしくない。弥生さんの強い優しさを感じます。どちらを選択しても、それはあなたのためです、ってここでも出てきた「選択」。水李が海ちゃんに選ばせてあげてって言ったのも、この弥生さんの使った「選択」という言葉がどこかにあったからなのでしょうか。凄い影響力ですよ、弥生さん。弥生さんはもうこの病院に行くことはないだろうから、伝わることもないんだろうけど、視聴者だけが知っているんだけど、でも届けばいいのに、そう願ってしまいました。

水李「お母さん向いてた?子育て。」
朱音「向いてるわけないでしょ。短期でせっかちなんだから。」
水李「ハハハ…自覚あんだ?凄いね、向いてないことこんなに長く続けて。」
朱音「続けるしかないわよ。産んだら最後子どもに振り回される人生が始まるんだから。」
水李「いつ終わんの?お嫁行くまで?死ぬまで?」
朱音「死んでも終わんないわよ。お母さんどうせ先に死ぬけど、それでも水李のお母さん続けなきゃいけないんだもん。」
水李「それは大変だね。」
朱音「ハァ…。あんたホント他人の影響受けなさ過ぎ。普通もうちょっと気持ちが揺らいだりするでしょ?」
水李「そんなことないと思うけどね。おろすのやめたりしたし。」
朱音「何かあって産むことにしたの?」
水李「うん?やっぱ産もうって思っただけ。神のお告げ?」
朱音「あっそう。これ早めに食べてね。」
水李「はーい。」
水李「どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います。」

「海のはじまり」第六話

冒頭の回想シーンに戻ります。向いてないと思ったけど、子育てを長く続けてきた朱音さん。水李の言うとおり、向いてないことを長く続けるって、子育てって、凄いですよね。お母さんどうせ先に死ぬって言って、先に水李がいなくなっちゃったの、悲しすぎますよね…。そして、死んでもお母さんは終わらないと言う朱音さん。水李のお母さんも、今も続いているということですよね。このドラマで、水李が今もいるかのように描かれているのも、そのことを表しているのかもしれないと思いました。
水李が弥生さんの言葉を繰り返す時に映る、笑顔で笑う弥生さんと夏くんと海ちゃん。この描写、とても綺麗でした。

***
「いつ死ぬかは選べないんですね」という水李。海ちゃんとお墓参りをする津野くん。どこか寂しそうな表情をする弥生さん。津野くんに「海の父親のこと、知らないのに悪く言わないでください」と別れてからも、夏くんのことを大切に思う水李。水李と夏くんのことで思うことを、ゆき子さんに話す弥生さん。「死ぬの急に怖くなっちゃった」と朱音さんと一緒に泣く水李。来週も、見どころ満載そうで、楽しみです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?