![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157541979/rectangle_large_type_2_8b0ccbea4720d71d128715a52361f4a3.jpg?width=1200)
「海のはじまり」シナリオブック感想(第五話・第六話)
ドラマに登場しなかった台詞が色々とあるのが楽しくて、登場したお気に入りのシーンを噛み締めるのも楽しくて、、、とても価値のあるシナリオブックです。
弥生「(冗談交じりに)好きなタイプは家族を大切にしている人です、っていうあれ、それだったらごめん」
夏「大切にはしてるんじゃない?」
弥生「してないよ」
夏「お母さんたちに迷惑かけたことないでしょ」
弥生「まぁ、ないほうだね。迷惑かけないことに全力注いできたし」
夏「嫌いなのに迷惑かけずに生きてんだから、十分大切にしてるって」
弥生「…」
夏「嫌いでいいよ。親だって人だし」
弥生「…うん。じゃあ嫌いなままでいる」
夏「うん」
弥生「(笑って)やっぱ月岡くんのご両親すごいわ。どう育てたらこうなるの?」
本編になかった夏くんのフォロー。
迷惑かけないことに全力注いできた弥生さん。涙
もう、なんでそんなに頑張って生きてきたの、、、報われてください!!!
嫌いでいいよ、って言われた後に、月岡くんのご両親すごいわって発想になる弥生さんも好きだな〜。
目の前にいる夏くんだけじゃなくて、夏くんの家族にも思いを馳せてくれるあたり、夏くんへの想いの強さだよなって。
ゆき子「はい。じゃあ、食べつつ、今決まってること、向こうのご両親とか弥生ちゃんと話してること、全部説明して」
夏「特に…何も決まってなくて」
ゆき子「は?」
夏「できるだけ、一緒に過ごそうってことだけ」
和哉「ん?認知するって報告じゃないの?」
夏「いや、今は子どもがいるってだけで」
ゆき子、また箸を置いて、
ゆき子「…あんたやっぱ親なめてるわ。自分の親の存在も、親になる行為も」
大和「お母さんお母さん」
和哉「落ち着いて。ちゃんと話してもらお」
夏、何から話していいかわからなくなり、
夏「向こうの実家に一週間住むことにはなってて」
ゆき子「住む!?住むってなに!?」
大和「お母さんお母さん」
和哉「夏、もっとお母さんの反応考えて説明できない?何年息子やってんの?」
夏「(頭を抱えて)…」
月岡家で、夏くんが海ちゃんのことを伝える場面。
本編になかった、ゆき子さんの感情爆発シーン、微笑みました。
説明下手な夏くん、そこがいいところでもあるんですが、巻き込まれる家族は大変ですね。笑
何年息子やってんの?って和哉さん、ごもっともすぎて。笑
大和くんの、お母さんお母さんフォローも可愛いです。
芽衣子「お疲れー…あれっ海ちゃん!」
海「三島さん!陸斗くん元気?」
と、芽衣子に駆け寄る。
芽衣子、スマホを出して、
芽衣子「元気だよー。見て見て、陸斗、海ちゃんにもらったお洋服いっぱい着てるよ」
海「かわいい!」
津野「…」
芽衣子さん、お子さんいたんですね!
そして、海ちゃんとも親しいの微笑ましいです。
陸斗くんはおそらく男の子なんだろうけど、海ちゃんのお洋服を着てるっていうところが、なんとも生方さんらしさを感じて心温まります。
芽衣子「海ちゃんのお下がり着てる陸斗見たら、なんか、元気な頃の南雲さん、急に思い出して」
津野「はい」
芽衣子、泣きそうになり、耐えて、気丈に、
芽衣子「ごめん、思い出したってだけなんだけど」
津野「はい」
芽衣子「家族でもなんでもないけどさぁ、ずっと側で見てたのって私たちくらいで、支えてたの津野くんくらいで、なのに亡くなったら急に外野な感じ、ちょっとモヤモヤする…」
津野「血でも法律でも繋がってないですからね。弱いもんですよ。側にいただけの他人なんて」
いただいたものを見てると、その人のこと思い出しちゃいますよね。
家族じゃないけど、側にいてくれた人、支えていた人って、とてもありがたい存在で。
なのに、いなくなった途端、外野になっちゃった。
津野くんの、側にいただけの他人なんて、って言葉が刺さります。
朱音、新しく買った食器を緩衝材から出している。
お茶碗や箸など一セットずつ。
翔平、冷蔵庫から飲み物を出しながら、それを横目に見て、
翔平「お茶碗買ったの?」
朱音「…水李のに。祭壇のに」
翔平「へぇ。ならお箸はいらないんじゃない?」
朱音「…安かったから」
翔平「寝る部屋どうしようかぁ。四人で並ぶ?川の字じゃなくて、なんて言うんだろ」
朱音「無理よ、狭いでしょ」
夏くんのために、食器を買い揃える朱音さん。
でも、翔平さんにつっこまれると、濁すのが可愛いです。
その人のために食器を用意するって、もう家族ですよね。
何だかんだ言いながらも、夏くん受け入れモードな朱音さんが微笑ましいです。
そして、そんな朱音さんにツッコミを入れたのに、返されると急に話題を変えるマイペースな翔平さん。笑
四人で並ぶのは、想像しただけで面白いですけど、夏くんめっちゃ気遣って眠れないでしょうね。笑
夏、泊まりの荷物を持って居間に入り、
夏「お世話になります」
と、翔平と海に頭を下げる。
翔平「こちらこそ、海のお世話、お願いします」
海「お願いします」
夏「はい…」
翔平「なんなら僕ら二人のお世話もしてもらって」
朱音の声「まだいらないわよ」
と、台所から声がする。
翔平「まだだって。まだ介護いらないって」
夏「はい…」
翔平「はい。じゃあ、荷物こっち。海ちゃんはおばあちゃん手伝っててください」
海「はい!」
夏、荷物を持って翔平について行く。
緊張気味の夏くんに、場を和ませようと、僕ら二人のお世話もしてもらって、と言う翔平さん圧倒的に優しい。
そんな翔平さんに、きちんと遠くからつっこむ朱音さんもまた良いです。
月岡家も、南雲家も、それぞれ違った優しさが溢れていますね。
夏「ここにいたとき、水李どんなでしたか?」
田辺「おかずお裾分けすると、そんなに?ってくらい喜んでくれて」
夏「(イメージできて、少し笑い)あぁ」
田辺「ままならない生活だったと思いますけど、でも、家賃滞納したこともないし、ゴミの分別もちゃんとしてるし、きちんとしたお母さんでしたよ」
夏「…ちょっと意外です。僕が知ってる頃は結構、大雑把というか、自由な人だったんで」
田辺「じゃあ、より大変だったでしょうね」
夏「…」
田辺「そういう人が、頑張って、そうしてたんでしょうから」
夏「…」
おかずお裾分けすると喜んでいる水季の姿、目に浮かびますね。
夏くんの目にも、浮かんだみたいで。
天真爛漫な人だったんだな。
家賃滞納したこともない、ゴミの分別もちゃんとしてるって、なんだかリアリティーありましたね。
生活をしっかりしていたってこと、分かりやすく伝えてくれるエピソードでした。
頑張っていたんだね、水季。
津野「南雲さん、待ってますって言うんです。貸出だから、返却でまた来るじゃないですか」
夏「あぁ、なるほど」
海「待ってます」
夏「また来ます」
津野「本屋じゃなくて図書館で働く良さって言ってました。同じ人に、一冊で二回会えるって」
夏「…」
津野「(思い出し笑い)一度に三冊借りたら、三冊で二回しか会えないよって言ったら、そういうことじゃないって怒ってました」
海「(笑って)怒られたの?」
津野「(笑って)津野さん物分かり悪いって」
夏「…」
水季の待ってます、素敵ですよね。
考え方が素敵です。
それに、茶々入れる津野くん。笑
水季に怒られるところまで想像して、優しい気持ちになりました。
本当に和やかな二人だったんだろうな。
ゆき子「…水季さんって、どんな字書くんですか?」
朱音「水曜日のミズに、季節のキです」
ゆき子「へぇ、綺麗な名前ですね」
朱音「私の両親は反対したんです。水季の前に何度か流産してて、あ、私、治療して水季授かってて」
ゆき子「…(頷く)」
朱音「何度も流れたのに、せっかくできた子にそういう、水って字を付けるのはって。また手を離れてどこか流れて行ってしまうって」
ゆき子「…」
朱音「でも、水季にしました。唯一、良い子に十か月、自分のところにいてくれた子だから、自由に好きなところへ行ってほしかったんです。自由すぎる子に育っちゃいましたけど」
ゆき子「素敵ですね」
朱音「こんなに早く、こんな遠くに行くとはね、思ってなかったですけど」
ゆき子「(返す言葉がなく)…」
朱音「私たちは待てるので、待ってあげてください。言葉にならないだけで、いろいろ考えてくれてるみたいなので」
水季という名前に込められた、想い。
自由に好きなところに行ってほしい、っていう願いがあったんですね。
それは、朱音さんが大変な経験をしてきたからこそで。
水季に会うまで時間がかかったんだよって話をした時、母親ってそうじゃない女より偉いのかよって水季にキレられていた朱音さんですが、水季のことを大切に考えているからこそ、自由に育ってほしいって思っていたんですね。
本当に、自由奔放に育った水季。
朱音さんの切なる願いは、きちんと叶えられたんですね。良かったです。
水季って、本当に愛されている人だったんだなって思いました。
弥生の声「他人に優しくなりすぎず、物分かりの良い人間を演じず、ちょっとズルをしてでも、自分で決めてください」
文章の最後に、【どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います】と。
この弥生さんの言葉、好きすぎて。
あんなに辛い経験をしたのに、人の幸せを考えられる弥生さん。
どれだけ優しいんですかね、もう。
自分が他人のことばかり考えて決めてしまったからこそ、綴れた言葉。
だから、水季に届いたんでしょう。
二人が繋がって、海のはじまりに繋がってくれて、良かった。
そう思う、素敵な第六話でした。