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「海のはじまり」第二話感想

鳩サブレーを食べたくなって、弥生さんの過去に心苦しくなって、海ちゃんの可愛さにただただ癒された、そんな第二話。

水李がランドセルを開け閉めしている海ちゃんを眺めた後、海ちゃんとお話。
夏くんというパパがいることを海ちゃんに教える。
水李「夏くん、会いたい?」
海「ママは?海とパパ、会ってほしい?ママの好きでいいよ。」
水李「フフ…ホントそっくり。フフフ…。」

「海のはじまり」第二話

水李の言葉に、ママの意見を尊重したいという気持ちを返す海ちゃん。他人に合わせる夏くんとそっくりで、水李は微笑ましかったんでしょうね。はーそれにしても、海ちゃん可愛い!そして、今回のタイトルバックは、水李の遺影が映る今海ちゃんが住んでいるお家。ランドセルが置いてあって、扇風機があって、机の上にマグカップが置いてあって。生活感のある感じがして、好きです。

海ちゃんと夏くんのいるお家にやってくる弥生さん。
弥生「昨日の関係の?」
夏「えっと…」
弥生「じゃあ後で聞くよ。大丈夫大丈夫。」
海「お迎え来るまでここで待っててって。」
弥生「うん?あっお迎え待ってるんだ?」
海「うん!おばあちゃん。」
弥生「おばあちゃん待ってるんだ。へぇ〜。じゃあそれまでお姉ちゃんの遊び相手してもらってもいい?」
海「いいよ!」
弥生「いいの?イェーイ。お名前は?」
海「海!」
弥生「海ちゃん?」
海「うん。さんずい。」
弥生「えっ!?漢字分かるの?凄いね!何して遊ぶ?」
海「うーん…お絵描き!」
弥生「お絵描き?いいよ。」

「海のはじまり」第二話

状況を飲み込めていないけれど、咄嗟に後で聞くから大丈夫と冷静に対処して、海ちゃんに接する弥生さん。海ちゃんの言葉に繰り返し相槌をうってあげる感じとか、遊び相手してくれる?って謙虚になっているところとか、漢字分かるの?凄いね!って褒めてあげているところとか、子ども慣れしているのかな、凄いなって感じますよね。

弥生「それで?海ちゃんはどういう?」
夏「昨日の葬式の…。」
弥生「親戚の子?」
夏「親戚っていうか…。その…。」
弥生「いいよ。ご家族きっとまだバタバタしてるもんね。またこういうことあったら呼んで。月岡くん子ども苦手だもんね。フフ…あっねぇこの絵どうする?飾っとく?」
夏「ちょっと…。真剣に聞いてほしいんだけど。」
弥生「ふざけてないよ。」
夏「ちゃんと話しときたくて。」

弥生「えっと…うーん…。何を何から…。」
夏「俺もまだ…よく分かってないことばかりで…。」
弥生「昨日知ったの?それはあれだね。うん…きっと私より混乱してるっていうか。うーん…。」
夏「ごめん。」
弥生「いやいや謝ることじゃ。その…妊娠を知らされずに別れたってことでしょ?それは…どうしようもないよ。」
夏「いや…。」
弥生「うん。しょうがない。」
夏「こうなったのは…しょうがないことかもしれないけど。あの子のことちゃんと考えようって…。」
弥生「考えるって?」
夏「だから…。」
弥生「父親になるかならないかってこと?認知するってこと?」

「海のはじまり」第二話

夏くん的には一日の出来事で収集ついてなかったと思うんだけど、視聴者的にはやっと弥生さんに話してくれた!という想いでした。そして、夏くんはお話するのが苦手なんだなというのが、…でよく伝わってきますよね。それでも何とか不器用ながらも言葉を紡ごうとしている。頭の中で考えていることは、沢山あるんだよね。弥生さんの認知するってこと?っていう表情と声のトーンが、なんとも…リアルなんですよね。有村架純ちゃんの演技力、毎回素敵だなと思わされます。

そしてお家でトーストを齧る弥生さん。生方さんの作品は、こういう日常を丁寧に描いてくれるから好きです。弥生さんのお部屋、整理整頓されていて、緑がきちんと合って、弥生さんのイメージにしっくりくる。そして見つめる引き出し。これが伏線になるとは…。

海「先生の名前聞いた?」
朱音「ああ…乃木先生でしょ?」
海「夏なの!」
乃木先生「夏美ね。いい名前だねって褒めてくれるんです。」
朱音「ああ…。」

「海のはじまり」第二話

夏なの!って嬉しそうな海ちゃんの笑顔、堪らないです、、、朱音さんも海ちゃんが既に夏くんのこと大好きになっているって気付いているんだろうな。複雑な気持ちなんだろうなって思うと、切ない。

鳩サブレーを食べる海ちゃん。
海「美味しい!」
朱音「ママがそれ好きだったから海ちゃんも好きだと思ったの。」
海「じゃあ夏くんも好きかなぁ?」
朱音「うん?」
海「夏くんにもあげよっかなぁ。お出掛けしてきます。」

「海のはじまり」第二話

鳩サブレーという皆が知ってる親しみやすい商品を登場させるの、生方さん(そして生方さんの敬愛する坂元裕二さん)あるあるですよね。親が好きなものを子どもも好きになるって、ありますよね。私も、うさぎが好きとか、本が好きとか、ミュージカルが好きとか、ドラマが好きとか。親に影響されて好きになったものばかりなので、よく分かります。そして、夏くんにあげたいっていう海ちゃんの気持ち。私が大好きな瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」という作品に「俺もさ、おいしいもの食べると、優子ちゃんに食べさせたいって思うんだよね。会社で取引先からの差し入れとか置いてあったら、こっそり二個持って帰ってきちゃうもんな」という台詞があるんだけど、そうなの。好きな人、大切な人がいると、自分が美味しいものを食べた時共有したいって思うんだよね。

夏「大和さぁ。」
大和「うん。」
夏「お父さんと二人で暮らしてた時どうだった?」
大和「どうって?」
夏「どうって…。」
大和「兄ちゃんがお母さんと二人だった時と同じじゃない?この人までいなくなったら終わりみたいな。」

「海のはじまり」第二話

木戸大聖さん。9ボーダーで観てから、好きな役者さんになりました。大和にお父さんと暮らしていたことを聞く夏くん。海ちゃんとの生活を、ちゃんと考えているんですよね。そしてこの人までいなくなったら終わり、という子どもの時の辛い心情。

夏「妊娠したことは…。知ってた。」
弥生「うん?」
夏「産んでたことを…知らなくて…。」
弥生「ごめんどういうこと?」
夏「おろしたと…思ってた。妊娠したことは聞いてた。知ってた。」
弥生「月岡くんがおろせって言ったの?」
夏(小さく首を振る)
弥生「だよね。だと思うけど。」
夏「向こうが意思固くて。」
弥生「うん。」
夏「それで同意したんだけどすぐ振られて。その後のこと何も知らなかった。」
弥生「うん。」
夏「この先あの子のことをどうするかまだ分かんないけど…。」
弥生「うん。」
夏「でも…。正直…。ほっとした。生きててくれたんだなって。ずっと…。自分が殺したんだって思ってたから。」
弥生「殺したなんてことは…。」
夏「あるよ。」
弥生「その頃まだ二十歳とかでしょ?そういう選択すること珍しくないと思うし悪いことじゃないと」
夏「年とか関係ないし、自分の意思で同意したし。もっと話し合えばよかったって。もっとできること考えてれば、一緒に育てることだって…。そのときはそういうことを後悔してた。そのころは、別れたばっかのころは。」
弥生「いいよ、変な気遣わなくて。よかったよ。ずっと罪悪感抱えてるより。」
夏「うん。」
弥生「話せたから会えそう?」
夏「うん。会ってくる。」
弥生「うん。あっ先食べてて。ちょっとトイレ行ってくる。」
夏「ありがとう。」
弥生「ううん。」
お手洗いで一人涙を流し、上を向く弥生さん。

「海のはじまり」第二話

海ちゃんが自分の子どもって弥生さんに話した時、なんで妊娠を知ってたことも言わなかったんだろうって思ったんだけど、夏くんなりに整理するのに時間がかかったんですよね。やっと言ってくれて安堵しました。海ちゃんが生きててくれたと知って、ほっとした夏くん。弥生さんの言うとおり、ずっと罪悪感を抱えて生きてきたんでしょうね。そして、弥生さんのフォローが優しい。この立場だったら、こんな優しいこと言えないよ普通。そして、夏くんの前では堪えて一人で涙を流す弥生さん。本当どんだけいい彼女さんなのよ。でも、この時はまだ知らなかった。この涙の本当の意味を。 

引き出しに入ってある封筒からエコー写真を取り出す弥生さん。

弥生「もしもしお母さん?弥生。この前話したことだけどもう大丈夫。相手も同じ考えだったから大丈夫。お金も出してもらえたしお互いに同意の上だから。これでよかったと思う。今仕事休んじゃうと大変だし、父親いないとか子どももかわいそうだし。私も…うん全然大丈夫。別にこの先妊娠出来なくなるとかそんなことないんだって。全部終わったから大丈夫。お騒がせしました。ごめんねお母さん。」

「海のはじまり」第二話

弥生さん、、、泣。そんな経験が、あったなんて。だから夏くんの「殺した」って言葉が刃物のように突き刺さっちゃったんだよね。お母さんへの電話も、お母さんを心配させないように、大丈夫だよって何度も言ってて、辛くなる。そうやって、自分がしっかりしなきゃってずっとそうやって、生きてきた人なんだろうな。そして、そのことは夏くんには言わずにいるつもりなんだろうな。もっと周りを頼ってもいいのにって心配になっちゃうよ、、、。

弥生「もしもし月岡くん?今大丈夫?海ちゃんと一緒?」
夏「大丈夫。これから行くとこ。」
弥生「あっホント?ちょうどよかった。」
夏「うん?」
弥生「もし月岡くんがお父さんやるってなったら…。」
夏「うん。」
弥生「私がお母さんやれたりするのかなって。」
夏「えっ…?」
弥生「決めるのは海ちゃんだけど、選択肢の中に入れてもらえたらなって。それも考えてみて?」
夏「ごめんそういうこと…」
弥生「フフフ…あの…違うからね。誰の子でもそうする訳じゃないから。」
夏「分かった。ありがとう。」
弥生「海ちゃんにさ誕生日いつか聞いといて。」
夏「分かった。」
弥生「うん。じゃあね〜。」

「海のはじまり」第二話

弥生さん、、、泣(二度目)。海ちゃんのお母さんが出来るのかなという気持ち。自分が堕した子への贖罪の思いがあるのではという説もSNSで見たけれど、私はそれより大好きな夏くんが海ちゃんと生きていくっていう選択肢を選ぶなら、それに寄り添っていたいなという弥生さんなりの強い覚悟なのかなと感じました。

鳩サブレーの缶を朱音に差し出す夏くん。
朱音「フッ…。ウフフフッ…。ごめんなさい。フフフ…。ウフフ…いいのいいの。買いたそうと思ってたから。ウフッ…。ちょうどいいわ。」
夏「すみません。」
朱音「何でこれにしたの?」
夏「水李が好きだったんで。」

「海のはじまり」第二話

水李が好きだった鳩サブレーを受け取り、思わず笑いが込み上げてくる朱音さん。娘が好きだったもの、分かってくれているって嬉しいですよね。よく分かったなって思いますよね。

回想シーン。大学の講義中。
鳩サブレーを咀嚼する水李。
水李「食べる?」
夏「食べる。」
鳩サブレーを3枚トランプのように持つ水李。
水李「選んで。」
夏「違うの?」
水李「選んで!」
夏「じゃあ…。」右端の鳩サブレーを選ぶ。
水李「あったり〜!」
夏「他のと違うの?」
水李「フフフ…。でも当たり。」
夏「誰かのお土産?」
水李「自分で買った。」
夏「自分で買った?」
水李「自分で食べたくて買った。食べたくて食べてる。」
夏「自分で買うお菓子じゃなくない?」
水李「えっ買わないの?」
夏「えっ?じゃあ…萩の月とか東京ばな奈とか。」
水李「買ったことある。」
夏「ホントに?」
水李「でもこれが一番よく買う。一番好き。」
夏・水李「フフフ…。」

「海のはじまり」第二話

何この幸せな回想は、、、鳩サブレーを講義中に食べちゃうのも、トランプみたいにして選ばせてあたり〜っていう水李も可愛さが過ぎる。自分で食べたくて買った、食べたくて食べてるっていうの、意思の固い水李らしさが垣間見えていいな。因みに私も、東京ばな奈も萩の月も自分のために買ったことあるからほぼ水李(は?)。新幹線や飛行機に乗る前は、旅のお供として東京土産を買うタイプの人間です。そして、鳩サブレー買いたくなったな。私はそんなにだけど、夫がとても好きなお菓子です。

朱音「水李からね海のことでこれだけは絶対って言われたことがあるの。海に選ばせてあげてって。正解を教えるより自分の意思で選ぶことを大事にさせてあげてって。手引っ張ったり横に張り付いたりしないで後ろから見守ってあげてほしいって。」
夏「水李言いそう。あっ…すみません。」
朱音「言いそうでしょ?言ったの。」

「海のはじまり」第二話

水李の考え方、価値観、素敵だ、、、海ちゃんのことを一番に尊重してあげてほしかったんだよね。これ言えるお母さんって素敵だな。私も将来そんなお母さんになりたいな、なんて思ってしまいました。夏くんの、水李言いそう、も水李のことよく分かってていいですよね。

お家に帰ってきて、夏くんに抱きつく海ちゃん。
海「ただいま。」
夏「あ…うん。おかえり。」
海「今日ね学校で色々あった。」
夏「…そう。」
海「聞いて?」
夏「うん。」
海「聞いて!」
夏「うん。ああ…。何があったの?」
海「手洗いうがいしてくる。」
夏「えっ…?」
海「いてね。そこにいてね。」

「海のはじまり」第二話

ああ、海ちゃん可愛い、、、お母さんにしてもらっていたみたいに、夏くんにただお話聞いてほしかったんだよね。そして、いてね、というのが第一話のオープニングに繋がってくるんですよね。水李の言葉に。美しい伏線回収です、流石生方さん。そして今回もback numberが流れるタイミングが最高でした。そして、全編を通して徳田さんの音楽が身に沁みます。至高。

***
次回予告では、海ちゃんを真ん中に夏くんと弥生さんが歩く姿が。朱音さんと津野くんはそのことをよく思っていないようで(そりゃそうだよね水李のことを考えちゃうよね)、第三話以降がどういう展開になるのか、楽しみです。

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