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「海のはじまり」第十話感想

転校と名字。家族じゃないけど味方の人。親の生きがい。変えたくないことと、選ばなくてはいけないこと。色々詰まった回でした。

海「ママも南雲でしょ?」
水李「うんママも南雲。家族でお揃いにできるのが名字で、家族からもらうのが名前。」
海「書きたい。」
水李「書きたい?おっ上手になったもんね、あっじゃあ…ここに書いてください。」
海「漢字で書きたい。」
水李「漢字?じゃあ『海』だけ先に覚えよっか。はい。『海』。最初にちょんちょんちょんって。さんずい。」
海「さんずい?」
水李「水って意味。あっママと一緒!」
海「名前もお揃い?」
水李「名前もちょっとお揃い。」

「海のはじまり」第十話

名字のことを家族でお揃いにできると表現できる、水李の言語センス、素敵です。そして、海ちゃんが名前を聞かれた時に、さんずいって答える伏線回収、ここできましたね!そしてまた最後に繋がっていくんですよね…綺麗な物語を紡ぐのが上手すぎませんか生方先生…!

ゆき子「楽しく生きなさい。夏と別れたなら私たちとももう他人なんだから。気にせず好き勝手してちゃんと幸せになんなさい。」
弥生「ありがとうございます。」

「海のはじまり」第十話

うう、ゆき子さんと弥生さんの関係素敵すぎてお別れしてほしくなかったです…。涙 他人になっちゃうのか…ってこっちがしんみりしちゃいました。楽しく生きなさい、ちゃんと幸せになんなさいって涙ながらに伝えるゆき子さん、身近にいてほしい大人の女性ですね本当。

夏「ただいま。」
ゆき子「おかえり。どうしたの?」
夏「いろいろ話あって。2人は?」
ゆき子「お父さんお風呂。大和は部屋かな。」
夏「そう。」
ゆき子「うん。あっ。夏も食べる?弥生ちゃんが謝罪に持ってきたいいとこのゼリー。」
夏「えっ?」
ゆき子「かみしめてお食べ。」
夏「そういうわけだから。」
ゆき子「はい。」
夏「1人で育てようと思ってる。」
ゆき子「1人は無理よ。お母さん知ってる。無理。」
夏「2人で暮らすから頼らせてください。」
ゆき子「はい分かりました。」
夏「はい。」

「海のはじまり」第十話

弥生さん、謝罪にいいとこのゼリー持ってきそう〜ってなりました。笑 ちゃんとしてますよね、本当。

夏「あっただいま。」
和哉「よく食べれるねゼリー。」
夏「えっ…。」
和哉「弥生ちゃんが謝ることなんてないのに。」
大和「うわっ兄ちゃんいる。よくうちの敷居をまたげるよね。」
和哉「ねっ信じらんないよね。」
大和「信じらんないね。」
和哉・大和「ハァ〜。」
ゆき子「フフッ…。うちからは変わらず愛されてるから、これからも気にせず海ちゃんと仲良くしてあげてって。」
夏「伝えます。」

「海のはじまり」第十話

弥生さんのこと全肯定な月岡家、微笑ましいです…!夏くんのこと、からかいながらも、ふんわり優しく受け止めてくれていて、良い関係性ですよね。海ちゃんと夏くんの2人の生活も、月岡家が近くにいれば(勿論南雲家もですが)きっと大丈夫って思えますよね。大和くんと海ちゃんも、もう仲良しだし。

LINE
夏「ご報告しておきます。弥生さんと別れました。海ちゃんとは二人で暮らす予定です。」
津野「ご報告ありがとうございます。」
「別れる予感はありましたが、いざとなると海ちゃんが心配です。」
「百瀬さんがいるならまぁと思ってましたが。」
「一人でどうするんですか?」
「真面目に考えてます?」
「子育てなめてませんか?」
「このまま南雲さんのお宅でお願いしてもいいと思いますけどね、俺は」

「海のはじまり」第十話

津野くんの追いガン詰めLINE、笑いました…いや笑っちゃいけないシーンなんですけど、笑っちゃいました…!勿論夏くんの味方なんですけど、特に「恋のおしまい」を観てから、津野くんに感情移入しちゃうんですよもう。大切な海ちゃんだから、大切な水李の子どもだから、ちゃんと生活していけるの?ってシンプルに心配なんですよね。夏くんの立場からしてみたら、大分怖いと思いますけど。笑 そして、津野くん、夏くんと弥生さんが別れる予感、あったんですね。弥生さんと二人で話していた雰囲気で感じたのもあると思いますが、洞察力鋭そうですもんね津野くん。

津野「あっごめん。」
海「遊び来た。」
津野「嘘〜。」
津野「夏くんと暮らすんだって?」
海「うーん。」
津野「嬉しくないの?」
海「夏くんと一緒なのは嬉しい。いろんなこと変わるのやだ。転校やだ。」
津野「そっか。」
海「こうやって学校帰りに津野くんに会いに来れなくなっちゃうよ。」
津野「それは嫌だね。」
海「夏くんが言った通りにした方がいいの?海のこと嫌いになっちゃう?」
津野「嫌なら嫌って言いまくっていいんじゃない?」
海「夏くん困らない?」
津野「困らせたらいいよ。」
海「いいの?」
津野「いいんだよ、親なんだから。子どものことで困るのが生きがいなんだからあの人たち。」
海「ふーん…。」
津野「あと、絶対に嫌いにならないよ。それは大丈夫。」

「海のはじまり」第十話

嘘〜と言ってとっても嬉しそうな津野くんスマイル、最高ですね(津野くんに肩入れしすぎ)。転校が嫌だけど、夏くんを困らせちゃうと心配そうな海ちゃんに、困らせたらいいよと言ってくれる津野くん。こうやって、相談できる大人が海ちゃんにいて、良かったって思いますよね。子どものことで困るのが生きがいなんだから、って言葉、身に染みました。生方さんの、皆なんとなく思っているけれど上手く言語化出来ないことを掬い上げてくれる感じ、本当に凄いですよね。そして、絶対に嫌いにならないよと言い切ってくれる人が、海ちゃんにいてくれて本当によかった。どうしても不安になっちゃう海ちゃんを支えるのに一人だけってどうしても無理で、だからこうやって支えてくれる存在がいるっていうのが、海ちゃんにとっても、夏くんにとっても大切なことなんだって思います。

海「美味しい!」
弥生「んっ?うん。でしょ。お肉屋さんのコロッケ海ちゃんと一緒に食べたかったの。」
海「おいしい。」
弥生「ちょっと待って。フフ…。手作りじゃなきゃ愛情伝わんないなんてそんなことないんだよね。んっ?」
海「夏くんも呼ぶ?一緒に食べる?」
弥生「ううん。呼ばない。お別れしたから。お別れしたの。もう恋人じゃないから海ちゃんと3人で遊んだりないかも。」
海「ママにならないの?」
弥生「うん。ならない。」
海「海夏くんと一緒に住むよ。弥生ちゃん一緒じゃないの?」
弥生「うん。一緒じゃない。」
海「もう会えないの?」
弥生「会えるよ。パパとかママじゃない大人にもちゃんと味方っているの。親にすがらなくても生きていけるし、もちろんすがってもいい。よく分かんないよね。」
海「夏くん嫌いになったの?」
弥生「ううん好き。海ちゃんも好き。一緒に暮らしたり家族になったり、そういうのがなくなっただけ。海ちゃん学校にお友達っている?」
海「いる。」
弥生「友達ってね会いたい時会って、頼りたい時頼ればいいの。どっちかが嫌になったら縁切ったっていい。分かる?」
海「仲良くしたい時だけ仲良くすればいいの?」
弥生「そう!海ちゃんのママにはなれないけど友達にはなれる。友達になってくれる?」
海「うん。」
弥生「フフフ…。家族に話しづらいことあったら友達に話したらいいよ。友達だから会えなくなる訳じゃない。」
海「うん。」
弥生「夏くんと二人暮らし楽しみ?」
海「うん。でもちょっと不安。」
弥生「フフフ…。ちょっと不安だよね。何かあったらいつでも相談して。ちゃんと聞くから。」
海「うん!」

「海のはじまり」第十話

公園でブランコに乗りながら、コロッケを一緒に食べる弥生さんと海ちゃん。夏くんとお別れしたことを、海ちゃんに伝えます。そして、海ちゃんに友達になってくれる?という弥生さん。なんて素敵な最適解…!お母さんになれなかったけれど、代わりにと出した選択肢が友達だったんですね。弥生さん、出来る女は違う…!パパとかママじゃない大人にも味方っている、とか、友達って会いたい時会って頼りたい時頼ればいい、とか名言ばかりのシーンでしたね。夏くんとお別れしても、この物語の圧倒的なヒロインは弥生さんです、最高です。

翔平「じゃあここに住めるね。」
夏「えっ?」
翔平「いや四人でここに住めばいいじゃない。この前みたいに一週間過ごしたのがそのままずっとになれば。」
夏「嬉しいですけど甘えてしまうと思うんで。」
翔平「甘えていいんだよ。海が孫ってことは、月岡くん息子みたいなもんなんだから。」
夏「いや、自分がしっかりしないとなんで。」
翔平「いいのいいの。水李だってね全部一人でやってた訳じゃないんだから。」
夏「でも…。」
翔平「孫や子どもに甘えられないで何生きがいにしたらいいの?娘がもういないっていうのに。あっ…。ほらあの〜学校が始まって昼間静かになっちゃったから、ちょっとさみしくてね。」
夏「すみません。」
翔平「違う違う。ごめんね。忘れて。」

「海のはじまり」第十話

転職も考えているという夏くんに、ここに住めるねと切り出す翔平さん。穏やかに皆を見守っていた翔平さんだけれど、娘を亡くした父親だということは確かで。寂しさをしっかり感じて、海ちゃんに水李を重ねて、海ちゃんがお家からいなくなることに虚しさを感じてしまっていたのですね。翔平さんの本音が初めて見えたような気がしたシーンで、じーんときました。孫や子どもに甘えられないで何生きがいにしたらいいの、っていう台詞、津野くんの言葉にも繋がる部分があって、親とは何かを考えさせられるものでしたね。

夏「お話していい?」
海「うん。」
夏「やっぱり転校してほしいと思ってる。」
海「やだって言った。何回も言った。」
夏「うん。どうしても転校したくなければ、今はまだ二人では暮らせない。」
海「なんで?」
夏「海ちゃんに大変な思いさせるから。落ち着いて安心して生活できる自信がないと、俺は一緒に暮らしたくない。おばあちゃんたちから引き離せない。だからどっちか選んで。転校して一緒に暮らすか、転校しないでこのまま別々に暮らすか。」
海「ずっと?」
夏「んっ?」
海「一緒に住んだらずっと一緒にいれるの?」
夏「ずっとは…ないよ。水李と今は離れてるでしょ。ずっとはないんだよ。でもできるだけ一緒にいる。水李がいなくなっていろんなことが変わって、それがつらいのはすごく分かる。何で子どもばっかりって思うのも分かる。俺も思ったことある。でもだからできるだけ一緒にいる。できるだけ長く一緒にいれること考えて決めた。一緒にいたいから転校してほしいんだよ。」
海「海も夏くんと一緒にいたい。」
夏「うん。」
海「いなくならないでね。」
夏「うん。」
海「ママがいたとこ連れてってね。」
夏「うん。」
海「理央ちゃんに手紙書くから手伝ってね。」
夏「転校していいの?」
海「毎日会えるんでしょ?」
夏「毎日会えるよ。」
海「じゃあいいよ。」
夏「うん。ありがとう。」

「海のはじまり」第十話

夏くんの決断。二つの選択肢を、海ちゃんに選んでもらうことにしたんですね。ここでも選択というキーワードが出てきましたね。ずっと一緒なのという海ちゃんの問いに、普通はずっとと答えてしまいそうなものだけれど、ずっとはないよと答えるあたりが誠実な夏くんのお人柄を表しているなと感じました。ずっとはないけど、できるだけ一緒にいる、という真摯な回答。それが海ちゃんにしっかり伝わったから、ずっと嫌だった転校のことも受け入れてくれたんですね。はー…この物語のおしまいは近づいてきてしまいましたが、物語が終わっても、二人に本当に幸せになってほしいです。

夏「あの…。娘が転校したくないのって何でか分かりますか?」
夏美「お友達と仲もいいですしそれが大きいと思いますけど。」
夏「うん…。そうですよね。」
夏美「あとは…。お母さんと一緒にいた場所だからじゃないですかね。一緒に登下校の道覚えたりとか、面談も何回かしたのでこういうただの廊下とかでも一緒に歩いた記憶が大切なんだと思いますよ。」
夏「ああ…。」

「海のはじまり」第十話

担任の夏美先生と廊下を歩きながら、話す夏くん。海ちゃんが転校したくない理由は、水李と一緒にいた場所が大切だからというのも大きな理由だったんですね。些細な日常が、海ちゃんにとって、大切な大切な思い出になっているんですよね。夏くんにそれが伝わって、良かったです。

弥生「はいはい、どうしたの?」
海「友達にちょっと聞いてほしいことがある。」
弥生「うん聞くよ。」
海「海転校することになった。夏くんのおうちで一緒に住もって。」
弥生「そうなんだ。」
海「ホントは転校したくない。」
弥生「うん。」
海「でもすることにした。」
弥生「そっか、偉かったね。」
海「新しい学校で友達出来なかったらどうしよう。」
弥生「大丈夫だよ。だってほら海ちゃん今誰と電話してるの?」
海「フフ…。」
弥生「ねっ大丈夫。海ちゃん友達作るの上手だよ。」
海「また電話していい?」
弥生「もちろん。」
海「弥生ちゃんもさみしくなったら電話してね。」
弥生「うん分かった。」

「海のはじまり」第十話

弥生さんに電話する海ちゃん。弥生さんのことを早速友達という海ちゃん、可愛いです。新しい学校で友達出来なかったらどうしようという海ちゃんに、今誰と電話してるの?って安心感を与えてあげる弥生さん、本当出来る。弥生ちゃんもさみしくなったら電話してねという海ちゃんが、お姉さんぶってて可愛かったです。笑

夏「そうだ。もう一つ海ちゃんに相談あって。あの…好きな方選んでほしいんだけど。」
海「何?」
夏「南雲って名字、月岡になるのってどう思う?」
海「夏くんの名字?」
夏「うん。」
海「書いて。」
夏「うん。あっ漢字分かんないか。はい。今まで通り水李と同じ南雲でもいいし、月岡に変えてもいいんだけど。」
海「分かった。月岡になる。」
夏「えっ?そんなにあっさりいいの?嫌なら変えなくてもいいんだよ。」
海「大丈夫。なる。」
夏「あんなに色々変わるのやだって…。」
海「大丈夫。変える。」
夏「おばあちゃんたちと違くなるよ。」
海「おばあちゃんたちはママと一緒だから大丈夫。」
夏「海ちゃんは水李と一緒じゃなくなっていいの?」
海「名前がママと一緒だから大丈夫。」
夏「ママは水李だけど…。」
海「見て。」
夏「うん。海。」
海「さんずい。ママとちょっとお揃いなんだって。」
夏「ああ…ハハハ!そっか。うんそうだね。」
海「名字は家族でお揃いが出来るんだって。だから海夏くんと一緒のがいい。」
夏「うん分かった。」

「海のはじまり」第十話

あっさり月岡という名字になるという海ちゃん。その背景には、冒頭の水李とのやりとりがあったんですね。ここで繋げてくるあたり、本当に生方さんらしくて好きです。海ちゃんがさんずい、と何度も口にするのは、ママとお揃いが嬉しかったから。名字を月岡に変えることに戸惑いがなかったのは、名前がママと同じで、名字を夏くんとお揃いにしたかったから。海ちゃんの歳で、そんなに素敵な発想が出来るなんて…水李の過去の言葉がしっかり刻まれているんですね。変わっていくことも色々あるけれど、海ちゃんの中で変わらないことは確かにあるんだろうなと思えます。

***
次回予告、海ちゃんがいなくなるって大丈夫かという展開だし(関係ないけど、西園寺さんは家事をしないでも次回ルカちゃんがいなくなるという偶然凄くないですか?笑)、津野くんの「南雲さんがいた時もいなくなった時もお前いなかったもんな」という言葉が刺さるし(それでも津野くんの辛い気持ちは分かるから、夏くんの味方だけど津野くんの味方でもいたい…)、本当皆幸せになってと願う月曜9時です。

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