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「海のはじまり」第五話感想

コロッケとか、美容院とか、一人で子育てしていた時に助けてくれた人の存在とか、色々繋げてくるあたりが生方さんって感じで好きです。生方さんの作品って、全てに意味があるのよね。無駄なんてない、丁寧に紡いでくれる物語が心に刺さります。

海「ママは?」
水李「ママ?ママはいいの。お仕事行きながら食べるから。」
海「ううん髪。かわいくしなくていいの?時間ないから?」
水李「美容院高くって。」
海「時間とお金がないから?」
水李「そういうの聞きたくないよね。海。ママ全力で時間とお金つくるからさ。」
海「うん。」
水李「今度一緒に美容院行って、かわいくなろう!」
海「うん。」
水李「表参道の行こう。」
海「うん。」
水李「カリスマ美容師に切ってもらおう。」
海「うん。」

「海のはじまり」第五話

海ちゃんが朝ごはんを食べながら、水李が慌ただしく海ちゃんの髪を結ってあげる。毎回の水李と海ちゃんの回想シーン、好きです。シングルマザー、お仕事に家事に育児に追われて、時間的にも金銭的にも大変で。美容院に行く余裕なんてない。そういう細かな現実が描かれています。そんな中でも、ママに可愛くいてほしいという海ちゃんと、一緒に美容院行こうという目標を作る水李が素敵です。

夏「こっちの家族に説明できてなくて。」
翔平「えっ海のこと?」
夏「はい。」
朱音(夏の手を叩く)
夏「痛っ…。」
朱音「さっさと言いなさいよ。時間が経てば経つほど言われた方はイラッとするんだから。」
夏「言わなきゃって思ってたんですけど。」
朱音「思ってたとこってすぐ言うの水李も。お風呂入りなさいよって言うと今入ろうと思ってたとこって。入ろうとしてないから言ってんのに。」
夏「言うつもりで連絡とかはして…。」
朱音「つもりってことはまだ言ってないってことなの。まだお風呂に入ってないっていうことなの。」
夏「お風呂の話してない…。」
朱音「私でよければ呼んで。行くから。」
夏「いや大丈夫です。嫌です。」
朱音「だって月岡さん、俺のせいだ俺が悪いって話ややこしくするでしょ。」
夏「だからちゃんと説明しますって…言ってるのに…。何かお風呂がどうとか…。」

「海のはじまり」第五話

とうもろこしを剥きながら話す夏と朱音さん。一緒に台所に立ったり、とうもろこしを剥いたりしながら話す二人。夏くんが南雲家の日常に溶け込んでいる感じがいいですよね。とうもろこしごはん、食べたくなります🌽夏くんと朱音さん、どんどん距離が縮まっていますよね。手をペシっと叩いたり、夏くんも嫌ですってはっきり言ったり。そんな様子を微笑ましくみている海ちゃんと翔平さんの姿もまた良くて、和みます。

弥生「ねえ海ちゃんに聞きたいこと代わりに聞いといて。好きな食べ物とか色々。」
夏「いいけど、自分で聞けば?」
弥生「会話のネタがあると助かるでしょ?」
夏「あっ。それはうん…すごい助かる。」

「海のはじまり」第五話

助かるでしょ?の弥生さんの首の傾げ方、可愛い、、、!有村架純ちゃんは、正義です。海ちゃんに聞いといてってお願いするものの、実は海ちゃんの対応に不慣れな夏くんをサポートしているってあたり、本当仕事出来る彼女さんだ…。

弥生「だからこう…自分のこと自分でやるのはどんどん上手になった。」
夏「うん。」
弥生「ごめんね。いつも理由つけて親に会わせなくて。」
夏「ううん。」
弥生「嫌いなの。」
夏「うん。」
弥生「好きなタイプは家族を大切にする人ですっていうあれ。それだったらごめん。」
夏「嫌いでいいよ。親だって人だし。」
弥生「うん。じゃあ…嫌いなままでいる。」
夏「うん。」
弥生「やっぱ月岡くんのご両親すごいわ。どう育てたらこうなるの?何て言ってるの?」
夏「んっ?」
弥生「月岡くんの方の家族、海ちゃんのこと。」
夏「ああ…。」
弥生「まだ言ってないの?」
夏「言おうと思ってたんだけど…。」
弥生(夏の手を叩く)
夏「痛っ。」
弥生「三つ編み編んでる場合じゃないじゃん。」

「海のはじまり」第五話

弥生さんがしっかりしているのは、そうせざるを得ない家庭環境だったからっていうのもあるんですね。家族のことが嫌いという弥生さんに、嫌いでいいよって寄り添う夏くん。家族仲が良いことがよしとされる世の中で、苦しんできたであろう弥生さんにとって、その言葉は救いになったでしょうね。色々な家族の形を描いてくれる生方さん。家族のことが嫌いでも、それはそれでいいよって肯定してくれるのが良いです。

ゆき子「中絶が悪いって言ってんじゃないの。産むのもおろすのもその子なんだから、あんたの意思なんてどうでもいいの。でも産むって言われたら?どうしてた?それでも隠した?心配かけると思ったんじゃないでしょ?隠せるって思ったのよ。男だからサインしてお金出して、優しい言葉掛けてそれで終わり。体が傷つくこともないし。悪意はなかったんだろうけど、でもそういう意味なの。隠したってそういうことなの。」
夏「そうだと思う。隠せるって思ったんだと思う。」
和哉「うん。隠したのはよくなかったけど…。」
大和「うん。違うんでしょ?産んでたんでしょ?」
ゆき子「だから言ってんの。あーよかった生きてたんだって。罪悪感なくなってすっきりって。そんなのんきなこと思うのお母さん絶対許さない。」
夏「うん。」
ゆき子「弥生ちゃんのことは任せる。弥生ちゃんの意思に異論はない。でも何か強要させんのは許さない。夏はそういうのないと思うけど。」
夏「うん。」
ゆき子「名前は?」
夏「海。」
ゆき子「海?」
夏「うん。」
ゆき子「女の子?」
夏「うん。」
ゆき子「海ちゃん。お母さん最近ちょうど孫が…欲しいなって思ってたとこ。連れてきて。会いたい。」
和哉「うん、お父さんも会いたい。」
大和「俺も。ずっと姪っ子に会いたかったし。」
夏「うん。」
ゆき子「はいじゃあほらみんな食べて。冷める。」
大和・和哉「いただきます。」
夏「いただきます。」
大和「うん美味しい。」

「海のはじまり」第五話

コロッケの並ぶ食卓で、家族に海ちゃんのことを伝える夏くん。お母さんのゆき子さんの、夏くんへの言葉。隠したことへのしっかりとした叱り。夏くん、海ちゃんのこと弥生さんに話す時にほっとしたって言ってましたよね。それでよかったって、それじゃ済まないって言ってくれる人のいることの有り難さを感じますよね。妊娠出産ってどうしても女性に負担がいく。そのことを分かっているからこそ、それを隠してたってことがどれだけ重いことか思い知らせてくれました。夏くんにもしっかり届いたんじゃないでしょうか。それでも、最後は孫が欲しかった会いたいって言ってくれる懐の大きさ。一緒に同意してくれるお父さんと大和くん。素敵な家族です。今の彼女である弥生さんの意思を尊重するって言ってくれるのも、優しいし弥生さんがそれだけ月岡家に信頼されているんだなって感じますよね。

ゆき子「早いとこ諦めつけて人の手借りることにしたの。母親一人で寂しい思いさせないなんて無理よ。」
夏「そっか。」
ゆき子「うん。水李ちゃんが誰にどのくらい助けてもらったか知らないけど、知ろうとした方がいいよ。その人から教わること多いと思うよ。」
夏「うん。」

「海のはじまり」第五話

知ろうとした方がいいよっていうお母さんの助言、たしかにですよね。8年という期間、何も知らなかった分、夏くんは水李と海ちゃんがどう生きてきたか知らなきゃですよね。そして、水李が助けてもらった人って、津野くんですよね。次回予告でもちらっと映っていたけど、夏くんと津野くんの掛け合いもこれからもっと見られそうで楽しみです。

津野「ジュースオレンジとリンゴあるけどオレンジだよね?」
海「オレンジ。」
津野「おばあちゃんちの近くにも図書館あるよ。今度連れてってもらいな。」
海「図書館に来たんじゃない。」
津野「ここ図書館だよ。」
海「津野くんに会いに来た。」
津野「嘘だ〜。」
海「ママがいなくなってから図書館来ないと会えなくなっちゃったから。」
津野「そうだね。」
海「津野くん元気?」
津野「うん元気だよ。海ちゃんは?パパと仲良くやってる?」
海「夏くん。」
津野「そっか夏くんね。」
海「今度おばあちゃんちに一緒に泊まりにくるの。」
津野「へぇ〜よかったね。」
海「津野くんも来れば?」
津野「俺いらないよ。おじいちゃんとおばあちゃんがいてくれるから。」
海「夏くんもいるから?」
津野「うん。あとお姉さんもいるでしょ?夏くんと仲良しの。」
海「うん、弥生ちゃん。」
津野「ほら。海ちゃんのこと助けてくれる人たくさんいるから。俺いなくて大丈夫だよ。」
海「ママが元気な時は津野くんだけだったのに?」

芽衣子「たしかに。でもホントだよね。ほとんど人の手借りずに。」
津野「ママの病気が分かったり死んでから現れるなんてみんな調子いいよね〜。言ってないですよ。思っただけです。」
芽衣子「気持ちは分かる。」
津野「はい。」
芽衣子「家族でもなんでもないんだけどさ、ずっとそばにいたのって私たちくらいで、支えてたの津野くんくらいで。なのに亡くなったら急に外野な感じ、ちょっとモヤモヤする。」
津野「血でも法律でも繋がってないですからね。弱いもんですよ。そばにいただけの他人なんて。」

「海のはじまり」第五話

海ちゃんの好きなジュースをきちんと分かっている津野くん。家族じゃないけど、海ちゃんのことをよく分かっていて、それだけしっかり関わってきた存在なんですよね。なのに、水李がいなくなってから、ただの他人になってしまうという悲しさ。海ちゃんは津野くんのこと、大切に思っているんですよね。それが海ちゃんの家族にも伝わって、津野くんが外野じゃなくなる日がくればいいのに、なんて思います。

大和(産みの母の遺影を見せながら傾けて)「初めまして。」
海「カワイイ。」
大和「ママ、カワイイでしょ。」
海「海のママもカワイイよ。」
大和「今度海ちゃんのママにも会いに行くね。」
海「うん。」
大和「あっねえねえ。兄ちゃんに内緒ね。」
海「内緒?」
大和「俺がこっちのママ、ママって呼んでるの内緒ね。」
海「うん、分かった。」
大和「分かった?しーっ!だよ。」

「海のはじまり」第五話

すぐに打ち解ける大和くんと海ちゃん。大和くん、流石です。二人が仲良くしている姿、微笑ましいな〜。水李には会ったことがあるけれど、それは両親にも海ちゃんにも伏せて今度海ちゃんのママにも会いに行くねっていう大和くん、配慮が出来る人です。

弥生「ふーんそっか、よかったね。大和くん子ども好きそうだし好かれそうだし。」
夏「うん好きだし好かれてた。」
弥生「ウフフ…。」
夏「あっあと弥生さんの意思には全面的に賛成だって。」
弥生「えっ?何それ?」
夏「お前の意思なんてどうでもいいけど、弥生さんの意思は全て尊重するって3人とも。」
弥生「ありがとうございます。」
夏「次の土日休み?」
弥生「うん休み。でも2人の時間優先してくれていいからね。」
夏「うん。でも海ちゃんが会いたがってたから。」
弥生「えっ!なら会うけど。コロッケコロッケ〜。」

「海のはじまり」第五話

じゃがいもをつぶしながら、夏くんの電話に出る弥生さん。弥生さん、一話ではコロッケなんて作れないですけど〜って言ってお惣菜用意してたのに、海ちゃんのために作る練習してるの健気すぎて、、、!2人の時間優先してくれていいからねっていうのも、優しすぎます。私も、弥生さん全面的に尊重(誰)。

美容師「本日カラーですね。」
弥生「はい。お願いします。」
美容師「あっ新しいトリートメント始めたんですけど、どうします?」
弥生「あっじゃあお願いします。」
美容師「ありがとうございます。少々お待ちください。」

別の美容師「はいどうぞ〜はい、じゃあ失礼しますね。」
女性「すみませんすごい久しぶりになっちゃって。」
美容師「ううん毎日忙しいですよね。今日アミちゃんは?」
女性「前の夫と会う日で。」
美容師「そうなんですね。じゃあ今日はゆっくりしましょう。ヘッドスパとかします?」
女性「いやカットだけでいいです。早く迎え行きたいし…。すいません。」
美容師「ううん。でも小学校入ってちょっと楽になったんじゃないですか?」
女性「うーん…。お金はかかる一方だから。」
美容師「まあそうですよね。」
女性「はい。」

「海のはじまり」第五話

水李と夏のお母さんが話していた、なかなか行けない美容院問題。弥生さんはカラーとトリートメントを注文します。一方で、隣のシングルマザーと思われる女性は、久々の来訪でカットだけ。複雑そうに話を聞いている弥生さん。母になるって、自分のことにお金も時間もかけられなくなるってことなんですよね。ましてや、一人で子育てをするとなるとそう。そのことを美容院で現しているのが、リアルだなと感じました。因みに、この美容院、いちばんすきな花の夜々ちゃんが働いていた美容院と聞いてテンションが上がりました!こういう、作品と作品の繋がりを持たせているのってファンとしては嬉しいですよね。

夏「おっ!何?」
海「おばあちゃんが暇ならお風呂掃除しろだって。」
夏「はい。します。水李とここで寝てたの?」
海「うんちょっとだけ。ママが元気なくなってから。」
夏「そっか。」
海「その前は図書館の近くの家。2人暮らし。」
夏「ああ言ってたね。その家今度連れてってくれる?」
海「うん。いいよ。」

「海のはじまり」第五話

水李のお部屋に入って、感慨深そうにしている夏くん。そして突入してくる海ちゃん。お風呂掃除してなんて朱音さん、義理の息子より距離近くありません?笑 それだけ夏くんが南雲家に既に馴染んでいるってことですね。水李と海ちゃんが2人で住んでいたお家に行く様子も描かれるの、楽しみです。

朱音「月岡さん。月岡さん!」
夏「はい。」
朱音「乾く前に風邪引くわ。熱かったら熱いって言えるから。」
夏「はい。」
朱音「不安だわ。」
夏「熱かったら熱いって言ってね。」
海「うん。」
夏「うん。」

(中略)

海「夏くんまだ〜?」
夏「えっ?」
海「まだ〜?」
夏「ごめんもう少し。ちょっと待ってて。」
海「早くして。遅いよ夏くん。」
(にこやかに見守る朱音と翔平)

「海のはじまり」第五話

ドライヤーをすっごく遠くから乾かす夏くん。三つ編みの練習はしたけど、ドライヤーの練習はしていなかったのね!笑 熱くないようにと配慮しすぎて、遠くからになっちゃうの不器用で優しい夏くんの性格が滲み出ていますね。すみっコぐらしの本を真剣に読む海ちゃん。弥生さんの買ってきてくれた本ですよね。ちゃんと気に入ってくれて良かったね、弥生さん。

***
誰に言われたのか分からないけど、「恋人に子どもがいるって発覚するの大丈夫な訳ないじゃない」って言われる弥生さんがまたしんどそうだし、津野くんが夏くんに本音を語るシーンがずーんときそうだし、大和くんと弥生さんのシーンも気になるし、夏くんのお母さんが南雲家に挨拶に来るし、夏くんは海ちゃんの担任の先生とも会うみたいだし、また次回が楽しみです。一話観終わった後に、スピンオフが観られるのも嬉しいですね。

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