【仕事】沙悟浄が首からかけてるドクロは三蔵の前世
こんにちは、イラストレーターのfunenoです。
株式会社愛言社様の中国語学習雑誌「聴く中国語」で連載中の西遊記の扉絵を担当中です。
今回は沙悟浄登場のシーン。
沙悟浄ってカッパじゃないらしいんですよ。水の精だか妖怪だからしい。もとは天界の捲簾大将が、天界を追われたもの。
天界を追われたあと、剣が何日かに一度もれなく体に刺さってくるという恐ろしい罰のせいで、妖怪か何かになり果てた。
沙悟浄の住んでる河(流沙河)までやってきた三蔵一行。
河幅広すぎてとても渡れない、どうしよう、ってことで、観音の力で直近、仲間に加わった沙悟浄の首にかけてある9つのドクロが役に立つ。
この9ドクロの中心に、観音が恵岸行者(哪吒の兄弟)に渡した赤いひさごをセットすると、何と不思議なことか、河を渡れる船になる。
え? ドクロ? って思うじゃないですか。
でも、このドクロたちは過去に取経の旅に出た僧侶たちのもので、一説には、三蔵の前世らしい。つまり、三蔵は9回、沙悟浄に喰われている(諸説あります)。
三蔵は10回目にして、ついに転生チートを使えるようになった、と思うと感慨深いような? 俺の屍を超えていけ、みたいな感じなんだろうか。
仏僧のドクロなので、たぶんありがたいドクロなんですね。だからすごいパワーがある。多少の荒くれ河くらい、渡れて当然。
あとこのドクロネックレスは、川を渡ったあとは風になって消えるらしい。だからこれ以後のシーンで、沙悟浄が首から下げてるドクロのイラストがある時は、たぶんそれ、レプリカなんでしょうね。
沙悟浄は苦労人そうなので、ちょっとシリアスでニヒルな感じの表情にしてみました。
そういえば、沙悟浄といえば、山月記を書いた中島敦の『悟浄歎異』が有名ですよね。
中島の書く悟浄は常に鬱々と悩んでいます。三蔵の弟子に取り立てられたけど何も特に変わってないんじゃないかっていう自分について悶々としたり。また、同じ弟子の悟空や八戒について冷静に見てたり。
そしてこの話の悟浄は、三蔵の(美しい)寝顔を見たり、寝息を聞いて、心にポッと火がともるタイプです(うろおぼえ)。
中島敦は幼いころから古典籍に耽溺して育ったらしいので、文章がひときわ洗練されていて無駄がなくて好きです。
・過去の西遊記イラスト記事はこちら↓
・『聴く中国語』今月号(3月号)は、カンフーの世界特集です。
あの有名なカンフーの方が表紙です。フレッシュなチャイナトレンドを仕入れたい方におすすめの語学雑誌。全文訳つきなので、ふつうに読み物としても楽しめます。