移動日記 パエリア
チビコ誕生日の夜はパエリアのお店に行くことにした。
夫くんの亡きおばあさまは晩年、夏はスペインに住んでいたから、夫くんちもいつも一緒に行っていたという。その思い出話をする時は、ジイジもバアバも夫くんも皆がキラッキラと若返るみたいになるので、今や私とチビコまでスペインが好き。
昨夜夕食後に3人で、夜の河原町をブラブラ歩いた。新京極で冷たい紅玉タピオカを買って飲みながら、チビコを交互におんぶして。
すごくきれいな赤いものが照らされてて、よく見たらスペインの旗だったから、明日のお店はここがいいな、と思った。なによりパエリア゙はチビコの好物だから!
お誕生日の夕方、小さなロビーで待ち合わせ。
このホテルは場所が便利でコンパクト、なんちゃって竹林の中みたいなプチオアシスだった。ロビーにコーヒーとお茶の飲み放題マシンがあるとこなんてもう最っ高〜。先に来ていたiさんがニコニコ手を上げてくれる。
Iさんは舌の手術をして、言葉や食事に当然すごくご苦労があるけれども、ずっと明るくて優しい、素敵なじいじのお友達。さっき錦市場で食べたミニタコの写真をチビコがIさんに見せていたらバアバも来たので、すき焼き屋さんの近江牛コロッケが激旨だったとか、かわいいモナカ情報などを熱く報告し合う。
ジイジが来た。
「チビコさん!お誕生日おめでと〜う!」
ってユニコーンの木彫をくれた。まだ作り途中なんだ、帰ったら羽をつけてあげる。だって♡
そして、ゾロゾロと歩き出す。
流石に夕方はだいぶ暑さが和らいだね〜。と言い合う。広いキレイな道に提灯がいっぱい、その灯りの前をスーツの男女がポツポツと、静かにスッースッーと歩いていて、京都のマジックアワーの美しさに胸がぎゅっとなった。
こうして毎夕、こんな美しい道に繰り出せたらなあ〜!と思ったけど、我々は海山が馴染みすぎて街にはもう戻れそうにないか。
でも京都は外国人観光客が超いっぱいで、私達が多少海っぽくたって何も浮かないところもいいなと思う。
スペインの旗が見えてきた。
うん!美味しいし!リーズナブル!優しい!スペインの思い出キラキラ。
6歳newチビコが私の膝の上にずーっと座ってたので食べにくかったけど柔らかくてかわいかった。
昔の時間に急に逆戻りして憂鬱にハマっちゃう箇所って、きっと誰しもがある。
私はそりゃあもういっぱいあるけど、中でも大勢で集まるレストラン誕生会はド級の鬼門だ。
だからチビコが生まれてからは早朝ケーキで祝ってみたり、ちいさーいケーキで10日間位祝ってみたり、鬼門を避けて楽しんで来た。
今回は流れに乗る情熱でやってみて、良かった!と思った。思ったんだけど、解散後に鬼門炸裂のパニクった時間が急に来て、そっか、と思った。チビコ誕生日なのにごめんね。
オリンピック選手もテレビで泣いていた。そう。負けることもあるさ。
負けから抜け出そうとする時はいつも、二人の勇ましいチビチビガールズが「ウリャーッ!!!」って、全っ力で私の足腰を押してくれているのを感じる(笑)ガキンチョ時代の私と、今のチビコのコンビだ。
この子達がどれだけ全力で押しても大人の憂鬱の重さは絶対に動かせないけど、お相撲さんがチビッコ相撲で負けてあげるように。。。転がってチビッコに大喜びされるのは人生最高の大勝ちだ。
翌朝、お囃子の音がした。祭り?じゃないか。不思議。
ブッフェはリハビリとして心と会話しバキッバキにキメた!じいじに
「それは何っ?!」
て聞かれたから
「クラムチャウダー、もつ煮スープ、担々麺、味噌汁、カレー、コーヒー、焼いたロールパン!」
と指差しながら言ったら
「液体ばっか!!」
とみんな大ウケで胸を張った(笑)チビ子は飽きて、私達だけお先に部屋に戻ることにする。
「ママちゃん、カギは私が持ってるから。エレベーターのボタンも押さないでね!」
はーい。ピッって光るものが楽しいお年頃ちゃん。いつもありがとう。
最終日も快晴。鞍馬山か琵琶湖には寄るらしい〜
つづく♡