れもんの花
れもんの花が咲いて、とてもいい匂いだ。
この檸檬の木は、のびのびよく茂ったオリーブ達に若干埋もれるように生えている小ぶりな木だ。人通りに面した目立つ場所だが上手く存在感を消していて、可憐というより骨太で、用心深いけど自由闊達な枝ぶりは元気そのもので。そして、大きな実をたくさんつける。
木にも色々性格があるんだろうけれど、私はこのれもんの木は、男所帯で育った女の子みたいだなと思う。
檸檬の花に鼻を寄せて嗅ぐとき、自分の場違いさに愕然とする事がある。
Zoomで天とれもんが和やかに高度な交流をしておる所に、乱入してカメラに映り゙込んでグイグイ匂いを嗅いじゃった、、いけねっ！…みたいな（笑）
まことに植物の神秘は尽きないものだ。
チビコは最近、この小さなレモンの木の根本に引き寄せられて、犬のようにうっとり寝転ぶようになった。前はそんな事しなかったのに、花が咲いた頃から頻繁にするようになったのだ。チビコはれもんの花に気付いていないのに。
かわいい2人の交流が美しすぎて、（チビコ、れもんの花が咲いてるよ、すごくいい匂いだよ〜！）なんて、乱暴な事が言えなくなる。私が見てしまっていいのか迷うほどに、寝転ぶチビコの上で、れもんの木は優しくキラキラするからである。
【満月ライブ】
満月の夜は、テニスコートでチビコがライブをするようになって早半年くらいだろうか。
芝生の上でめちゃくちゃにウクレレやハーモニカを鳴らしつつ適当な即興ソングを歌うチビコと月を見る、っていうだけの会だったけど、いつしか夫くんと、ｓちゃんの旦那さんのｓさんを弟子として加えた3人バンドになった。バンド名は『照明の中で光を注ぎ、震える涙を添えて。』です！
チビコが考えたこの適当でかっこいいバンド名がみんな大好き（笑）
いつも観客は私とsちゃんだけだけど、今回は中秋の名月スペシャルで、ジイジやバアバやニイニ（夫くんの弟）、それにsちゃんのママも夜のテニスコートにライブを見にやって来た。おもちゃのサックスを吹く夫くん、iPadでいろいろ演奏してるｓさん、全身でハーモニカを吹き鳴らし、走り回るチビコ！
私は長ーいススキを振ってやんややんや、いっぱい拍手を送った。3人の最高の決めポーズでライブは終了。
ライブの後、月明かりを浴びながら芝生にすわったり寝転んだりして、バアバが作ってきてくれたお月見団子をみんなで食べた。巨峰が入ってる大福はとってもジューシー！チビコは今回集客も良かったしご満悦で、
「もっとここにいようよ〜！」
って何回も何回もデレデレと私に言いに来た。月夜のこだぬきみたいに、鼻に大福の粉を付けて。
