湯上がり列車
お風呂上がりのチビコはパジャマに着替えた後、ふらりとどこかに遊びに行くのが常だ。
ウォーターサーバーで一杯引っ掛けてたり、おしゃべりあいうえおタブレットに『ままだいすきだよ100まんてんだいすきだよ おしり』とか言わせてくれていたり、静かだなと思ったら私の携帯で犬犬さんの新作をチェックしたくてロックと格闘してたり。(やめて)
本当はそのまま歯磨きに直行して欲しいんだけれど、このふらりの時間が1日で一番リラックスしてるみたいから、ちょっとスキンケアでもして待つ事にしている。
パジャマズボンにシャツをインし、お風呂上がりのヘアバンドして『ワンダーオイル快』をテカテカ塗りなりながら、気は心程度にシワ周りを優しくタッピング。そして(ああこれは、子供の頃にめっちゃ面白いなーと思っていた『湯上がりのママ』の姿そのものだよお〜〜。)と思う。
適当なところで
「オチビちゃん、歯磨きしよ。」
と呼びに行けば、本日のチビコはソファーでイモムシのようになっていて
「え〜っと、歯ブラシをここに持ってきてくれない〜?」
とかニタニタと言うもんだから、「いやだよ!」って言う。そして
「お、列車の時間ですかね。」
と、どちらともなく言う。
『なかなか歯磨きに行く気にならない時は列車で行こう』
いつ頃からだったか、私達はそう思うようになった。チビコはいつだって空箱やバスケットに入り込みたいヤツだから、それを私が引っ張ってシュルシュル走る『ちびちゃん列車』は大人気。愛車のフェルトバスケットだと飛ぶように軽く滑るから、猛スピードですっ飛ばせばダルい空気も彼方に吹っ飛ぶ。
ただし、結構な割合で横転するスリルありすぎ列車ではあるんだけど…!
「歯磨き駅、到着でーす。」
クスクス寝たフリをしているパジャマ客の、半乾きの髪をモキュっと撫でる。
まだまだふざけていられるらしいチビコのプニっとした丸い鼻とかを見ると、もうなんだっていい!(笑)と思う。
そう遠くなくオチビは大きくなり、胸が潰れるように辛い夜、疲れて泣き腫らした目で這うように歯を磨きに行こうとするかもしれない。そんなこと思うと泣けてくる。今すぐ抱きしめに行って、『チビちゃんロロフス』を歌って笑顔にしてあげるよーーーっ!!(笑)と時空を0.1ミリくらいなら爆破できそうなパワーを、フェルトの列車に乗せてきっと送るよ。
寝たフリ客を抱きあげ、歯磨き駅の椅子の上に乗せたら、今までずっとクスクス笑ってたチビコが、急に眉をひそめ怪訝な顔になって
「ぅえっ…ママちゃんの顔…お化粧……?」
と、言ってきた!!
「えっ?いや、オイルマッサージをしてみたのよん!そうだよね、変な匂いがしてベトベトしちゃってるもんな(笑)すまんね(笑)」
と言ったら「いいけどぉ‥」と嫌そうだった。
だがねチビコ!まじでっ、びっくりするほどこうなるんだよおお〜!