ハムスター走る
思えば彼が「自転車レースに出てもいいですか?」となぜかモジモジ言った時から、なんとな~く面白かったのです。
見事バキバキに仕上がった夫くんがついに富士山レースに行く日、私とチビコも一緒に行くことにした。
我が家では、チャリの家トレの事を “ハムスターが滑車の中でシャーシャー走る姿”と見て「ハムスター、通称ハム」と呼んでいる。だからこのレースは『フジサンハムスターレース』という愛称でチビコに呼ばれることになった。
フジサンハムスターレースは会場でエントリーしてゼッケンとかをもらって、その翌日がレースだ。
到着してわかったのは、夫くんはレア種って事。みんな派手なヒョウみたいな浮かれポンチな装備じゃなかったのだ。
でもまあ、9千人いるのだから、ひとり位は似たような人がいるだろう!と探し、めっちゃ派手なトラの人がピューと前を通った時は3人で顔を見合わせて笑い合った!あれは今回のハイライトでした!
このレースの紙ゼッケンにはキリトリ線で小さな「うどん引換券」が付いていた。
我々が会場入りした直後はもう、早い出走グループがレースを終え、ライダーさん達が仲間同士で背中の「うどん引き換え券」をちぎり合い、地元のお母さん達からうどんをもらって美味しそうに食べていた。
みんなが通信簿みたいなタイム表を見ながら、「去年より1分早かった」「おっ!やりましたね!おめでとうございます!」「この1秒削りたかった〜!」とか言い合っている。うどんを抱えながら、イイ顔達。
雲多めのポカポカした空、風も気持ちいい。
ところで、この会場近くには車が入れないから全員自転車でガンガン山を登って来てるのに、トコトコのんびり山を登って紛れ込んでしまった我々は珍客なようだった。タヌキの親子感がほんとに濃厚だ。
チビコは引き換えうどんコーナー脇のヤンチャ系屋台の前で電撃に撃たれたように発奮し「ママ!ママ!焼きとうもろこしとタピオカ!!チビちゃんの大好きなもの!」と、その組み合わせがいっぺんに売ってる状況に感極まって目を潤ませたので両方買ってあげた。。
富士山の5合目にゴールがある。夫くんから「ついたよ〜」と電話が。よくわからないタイムを悔しがりながらも、抜群に空気のいい電話、チビコと大拍手!「ハムスター山登ったねえ。ハムスターって速かったんだねー。」と口々に見直す。
えっと……この後の記憶は砂嵐の中のように荒い。雨が降ってみるみる激寒になり、夫くんと会えたのも束の間、また果てしなく別行動になり、ずぶ濡れて震えるチビコと分け合って食べたうどんは、旨かった……
喫煙所の屋根下にベンチがあって、かなり寒そうな参加者の青年が中国語で席を譲ってくれた。忘れられない恩人だ。
屋根のあるこの場所に人が集まってくる。バスタオルでくるんだずぶ濡れのオチビは抱っこが温かいらしく寝ちゃって、
グ〜ッッ……ピーッ!!
…グ〜ッッ……ピーッ!!…
と特大のいびきをかいたので、
とても恥ずかしかったが、心強かった(笑)
「初めての漢字」
すったもんだはあったけど、派手なヒョウが元気に帰ってきたので良かったです。
曇っててなんと一度もフジサンが見れなかったのだが、その代わりと言っちゃあなんだけど、この旅でチビコちゃんが初めての漢字を書きました。
それがこれ↓
『うどん引換券っ!!!』
(笑)
いやに一生懸命なにか見ながら書いてるな、と思ったらこれ!
『うどん』さえ正しく書けない実力なのに、『引換券』頑張ったなあ!!(笑)