『カレーライス』(1971年)/遠藤賢司
好物はカレーライス、好きなものは猫。彼の楽曲には猫について歌ったものも多く、本楽曲『カレーライス』はまさに自身の趣味を存分に詰め込んだ一曲といえる。
本楽曲は1971年発表の2ndアルバム『満足できるかな』に所収。その後はライブや音楽番組などで歌われる機会も多く、あまりの人気から翌年にはシングルカット盤がリリースされた。
楽曲の内容は、主人公(おそらくエンケン自身)がギターを弾き、時に猫とじゃれながら、交際中の女性が作ってくれるカレーライスを待つ――という、当時の長屋住まいの若者たちのごくありふれた日常を描いたもの。
ただ、その彼女が調理中に玉ねぎで涙を流したり、うっかり指を切ってしまったり、主人公がテレビを観ていたら腹を切る人が出てきたり(おそらく三島由紀夫を指していると思われる。三島はこの前年の11月25日に東京・市ヶ谷で割腹自害を遂げた)、となかなかの情報量が詰まっている。
そして、彼女と猫は甘口派だが、自分は辛口派だと謳い上げ、台所からいい匂いがしてくるカレーライスの出来上がりを今か今かと待ちわびるのだ。
なお余談だが、猫や犬にネギ類の植物を与えると、含有成分である硫化物によって血中のヘモグロビン(赤血球)が破壊され、溶血性貧血や血尿症などを引き起こすことがある。硫化物は加熱しても分解・失活しないため、ネギ類を含む食品は絶対にペットに食べさせてはいけない。
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