ひまつぶし
ども、全地球の皆様おはこんばんちわ。人呼んで「謎作家」、船沢です。 m(_ _)m
今回は「ひまつぶしにひつまぶしを作った」話。ややこしいのう。🤔
■PRESENTED by UNAGI
そういや去る7月23日は、うなぎがおいしい「土用の丑の日」だったわけだが。
その後日『ひつまぶしの素』を見つけてしまった由にて、某スーパーにて特売品の「一本もののうなぎ蒲焼き」を改めて買う破目に。😱
かくして、名古屋名物「櫃塗し」の自作チャレンジと相成った。
■「ひつまぶし」の素が売られる良き時代
んで、件の『ひつまぶしの素』がこちら。
ひつまぶしは言わずと知れた「名古屋めし」のひとつだが、うなぎ料理店で出された残り物を集めて作った“賄い料理”とか、高価な鰻の蒲焼きを少量でも効率よくシェアして食べるための知恵――といった諸説がある。
それはさておき、さっそく作ってみよう。
…………ん?🤔
なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!😱
確かに、本来のひつまぶしはその名の通り「お櫃」の白飯と鰻の蒲焼きをまぶし、銘々の茶碗によそって供するもの。そりゃあ飯の量も多くなるワケさ。
なるへそ、“名古屋発のシェアフード”の二つ名は伊達じゃあないぜ。😏
■うなぎパワーは“諸刃の剣”
ところで、うなぎってのは脂質を豊富に含み、存外にカロリーが多い。なおかつその油脂の大部分が天然のビタミンAであるため、調子こいて食べ過ぎると過剰摂取により「ビタミンA中毒」に陥る場合もある。
ヒトでいえば所要量の約4.5倍が許容上限で、それ以上は致死量に達するため、下手すりゃあ命に関わる代物だ。
ビタミンAは植物からβ-カロテンとして摂る方が望ましいが、含有量は動物性食材の方が豊富である。
特に哺乳類や深海魚のレバー(肝臓)は成分が濃縮されているため含有量が多く、少量で栄養効率も高い反面、気づかぬうちに摂り過ぎで中毒化しやすい。私も過去に豚レバーの燻製1パックを食べ切れずに気分が悪くなったことがある。
うなぎといえば「肝焼き」も美味だが、平均的な成人男性ならば1〜2串程度で充足量に達してしまうため、蒲焼きや肝吸いと一緒にフルコースを堪能したい御仁は一考の必要があろう。
また、サプリメントを常用している人も要注意だ。特にマルチビタミンなどは1〜2粒でまんべんなく栄養所要量を満たすので、無計画に摂取しているとたちまちビタミンA許容量を超過してしまう。
そのため、コアなサプリユーザーは「必要な栄養素」だけを個別に買い、その日の食事や体調に応じて足したり抜いたりするのだ。
何事もほどほどに、「過ぎたるは及ばざるが如し」である。
■ひつまぶしを食べよう
ひつまぶしを端的に言えば「うなぎの蒲焼きの混ぜごはん」だ。鰻丼や鰻重が白飯の上にうなぎを載せるのに対し、ひつまぶしは白飯に蒲焼きのタレをよくかき混ぜて、その上に小さく切ったうなぎを散りばめる。
しかし、複数人だと一尾まるっと食べられるわけではないから、いかんせん物足りない。かといって全体的に量も多いから食べ飽きやすい。
そこで発想を転換し、より満足感を得られるよう「味の変化を楽しむ」スタイルが生まれた。
本場では木桶や深皿で供されることが多く、しゃもじで四等分してから茶碗によそい、一杯分ずつ食べ進めるごとに食べ方を変えていくのが“作法”とされている。
◆PHASE1 普通にうな丼風
まず一杯目は、タレご飯の上にうなぎが載ったそのままの状態でマリアージュを味わおう。
本来はうなぎの蒲焼きを1cm幅に切って出すのだが、自分で作って自分だけで食べる分なら堅苦しいこたぁ言いっこなしだ。
◆PHASE2 うなぎを混ぜて炊き込み風
こっからが本領発揮、ひつまぶしのひつまぶしたる所以。
二杯目はうなぎとご飯をよ〜っくかき混ぜて、お好みで刻みねぎ・おろしわさび・刻み海苔といった薬味を乗せ、新しい食味と出会うのだ。
もし普通のうな丼であれば、豪快に箸でうなぎをザックザクと切り刻み、十分にかき混ぜてうなぎとご飯を馴染ませる。
そういや世の中には、カレーライスや混ぜそばなどでも「とにかく混ぜるのが好き」な人と「きっちり別けるのが好き(=混ぜるのが嫌い)」な人がいて、しばしばお互いの食べ方を巡って争いが起きるらしいが、ひつまぶしはそんな双方のニーズにも応えてくれる万能選手だ。えらいっ!(コウペン風に)
◆PHASE3 だし汁をかけてお茶漬け風
お櫃の中身が半分になったら、いよいよ佳境。ご飯とうなぎもそろそろ冷めてくる頃だろう。
そこに取りい出しましたるは、鰹節と昆布のだし汁。すでにひつまぶし自体が風味も塩味も十分なので、だし汁はあえてあっさり薄味にしてある。
これで三杯目は薬味が乗ったひつまぶしに熱々のだし汁を注ぎ入れ、お茶漬け風にしてサラサラと頂くわけだ。
タレ染みご飯がじんわり口の中でほぐれ、うなぎの風味が溶け込んだだし汁が広がっていく瞬間は、まさに至福。内側から程よくあったまるので、少し重くなりかけた胃にもやさしい。
何なら「もう最初から全部これでいいんじゃあないか」という気もするが、さすがにそれは不粋というものだろう。
◆PHASE4 あとは各自でご自由に
私の場合は先の時点でフィニッシュだったが、本式のひつまぶしであればこの時点で4分の1残っているはず。本場ではこの残り分を「各自の好きな食べ方、お気に入りの食べ方で召し上がれ」と教えている。
よほどエクストリームな食べ方で店員に怒られたりしない限り、最後の一碗は好きなように食すがよろしい。というか実質3種類しかないのだが、まあ気にするな。
私は好きにした。君らも好きにしろ。
■そして夢のあとさき
幾多の艱難辛苦を乗り越え、ついに念願のひつまぶし(のようなもの)は平らげられた。
だが……さすがに二人前はつらい。私の場合はお吸い物(肝吸いではない)もつけたのだが、案の定おなかは汁分が上回ってタップンタップンになってしまった。げぷぅ。😗💨
こういうものは、やはり家族や恋人、気心の知れた友人と卓を囲んで味わうに限る。
一人でうな丼やうな重をガッツリかき込むのもいい。でも時には、皆でワイワイとひつまぶしパーティーに興じる日も悪くなかろう。
そんなことを思った、8月初めの昼下がりでしたとさ。まる。
西友で『ひつまぶしの素』を見つけることなく、普通にうな丼を食べ続けていては、こんなに新しい発見をすることも、また一介の料理についてつらつらと書くこともなかったかもしれませんな。まあこれも僥倖ってことで。
というわけで、それではまた。 \(^o^)/