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ひかりのなかに 1st ONEMAN TOUR「まっすぐなままでいい」ツアーファイナル 感想

まえがき

2月末だったか3月初めだったか。
音楽好きの友人と最近ハマっているアーティストについて話を少しした。

そこでお互いに共通でいいよねーと出てきたアーティストが
「ひかりのなかに」だった。

メンバーであるヤマシタカホさんはなんとまだ19歳。
しかしながら、RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 18/19にて優勝を果たし、COUNTDOWN JAPAN 18/19への出場経験がある(12/30)

彼女が紡ぎ出す曲は等身大のもやもやだったり爆発的衝動を見事に表現するもので、ティーンエイジャーだけでなく私や友人にも衝撃を与えてくれた。

今回はそんなアーティスト「ひかりのなかに」の
1st ONEMAN TOUR「まっすぐなままでいい」のツアーファイナルである、
渋谷 CLUB QUATTRO公演に参加してきたのでその感想を書いていこうと思う。


ライブ本編


の前に、入場口で検温、消毒、ドリンクチケットの交換を流れで済ませると
スタッフから一枚お受け取りくださいと封が渡される

"渋谷 CLUB QUATTROにお越しのあなたへ。"

なんだろう。
なかなか珍しいなと思いつつ、中を見てみると一通のお便りが。

ヤマシタカホさんからのお便りだ。
せっかくいただいたものを全公開するような野暮な真似はしないが、
どうやら今回のステージは彼女の掲げていた目標だったようで、
叶った嬉しさと足を運んでくれたファンに対する感謝の気持ちが込められていた。

始まる前からなんだか胸がポカポカして、
クアトロに並べられている椅子に腰をかけた。

会場では開演前BGMが既に流れ始めている。
本公演のサポートメンバーである、アベマコトさんが元々所属していた
挫・人間というバンドの曲であったり、ねごとaikoなどなど

開場後にしばらくしてから会場に来たため、選曲してくれた全部を聞けたわけではなかったが、彼女が作詞作曲をした「舞台裏」という曲でとあるアーティストを歌詞の中に書いている

教室の隅1人SAKANAMONを聴いていた

どうやら、このSAKANAMONもばっちり開場前に流していたらしく。
(終演後のヤマシタカホさんのツイートで知る)

そんなこんなでドリンクに口をつけソワソワしながら友人と開演を待っていると開演前アナウンスが流れ始める。
驚いたことに開演前アナウンスもヤマシタカホさんご本人が行っていた。

ステージの後方には、今回のツアーの表題でもある
「まっすぐなままでいい」という最新アルバムのジャケットである花の絵が掲げられていた。
(せっかくなので聞きながら読んでみてください。)


それから程なくして、暗くなり4人の演者がステージ上に現れる。
なんだかやっぱりライブハウスだと距離が近さにちょっとびっくりする。

4人揃って演奏されたのは
アルバム「まっすぐなままでいい」から「そばにいたいんです」

ヤマシタカホさんの観客の表情やステージを笑いながら見回しながら優しく寄り添うように歌い始める。

何度も何度も「そばにいたいんです」と繰り返し
君の全てはわからないけれども
共感できる部分は共感して優しく支えてくれるような。

手紙を書いてくれるような優しさが楽曲にもあらわれているような。

ちっぽけどうしのぼくらだから
未来とか明日すらわからないなら
きみと私にしかわからない言葉で
歌でも歌おうか

私のお気に入りの部分の歌詞。
この部分には歌というものが心の拠り所の一つである。
という面が垣間見えて好き。
二人しか知らないようなバンドの好きな歌詞を一緒に口ずさんでいるような場面を想像してなんだか温かい気持ちになる

そこから爽やかなロックナンバー「ナイトライダー」

モヤっとして諦めかけてそれでもがむしゃらに夢に挑戦するような
そんな心情が駆け抜けるような爽快なサウンドで流れていく。

これも"意味不明コード"、"メロディ"、"ラブソング"など
歌が物語の主軸になっているように思う。

パワフルに歌い上げる様はとてもかっこよく
胸がすくような気持ちにさえなった。


続いて、2分足らずで抒情的な歌詞を吐き倒す「ブルーユース」
(合っているかわからないけど2番以降がない構成?)
であっという間に駆け抜けると

アコースティックサウンドが景色を思い浮かべさせてくれるような
「潮風通り」

歌詞も曲も上手い具合にその場の情景をしっかりと思い浮かべさせてくれて
なんというか、ものすごくマッチしている感じがしていて。
でもやっぱりこの曲も日常の中でうまくいかない心象を語っていたりして。
こういうものを何回も見ているとこの舞台にやってくるまでに
並大抵ではない努力と葛藤を積み重ねてきたのかなと思ったりする。

いろんな曲があるけど、心情をこういう風に素敵な曲として形にできるって
芸術だよなぁと思う。

そこからさらにカントリーチックに、アコースティックの成分も強めに
「日曜日」

この曲も日常、景色とその中で思っていることを綴ったような歌詞。
ただ、「潮風通り」より"あなたを思う"であったり、視野が広がりつつも
日常を楽しめているような描写の気がする。

とても陽気な感じの音楽がライブハウス、ザ・室内!という環境で流れていても、体を揺らしながら外の景色を思い浮かべさせてくれるような。


その後の「満ちる月」だったか「ムーンライト」だったか
(曖昧で申し訳ない)
少し控えめな照明で後ろに掲げられた花のジャケットの絵の白井花びらの部分だけが綺麗に見えて、それがちょうど月のように見えた場面が合った。

偶然なのか、それとも狙った演出なのかはわからないけれども
それを見た瞬間に驚きとなぜか妙にステージ上がライブハウスという空間から切り離された不可侵の空間みたく思えて、要するにめっちゃエモかった。


そして本記事の冒頭で話した「舞台裏」がここで演奏される
学校生活でよくあるような"前ならえ"みたいな状況をぶった斬るような
よく知らないくせに根拠もないような励ましはなんだ、と言わんばかりに綴られるワード

合唱曲全員で心を合わせて
とかみんな考え違うのに
同じ型にはめてにっこり笑顔
退屈で鬱陶しい毎日だった
教室の隅1人でSAKANAMONを聴いていた

きっとこういう曲を歌っている歌ってどの世代でもあるにはあるかもだけれどもその世代に馴染みがあるワードというか、マッチしているワードというかそういうもので言い回しをうまく作っているのがまた良くて。
これで青春というものを強く思い浮かべさせておいてそれをぶった斬るという尖りがとても素敵だ。

こういう経験ってきっとそれぞれあったよなあ。
私の場合は謎に斜に構えていた方がかっこいいみたいないわゆる厨二的なもので思い出すと顔真っ赤になって悶えてしまうけど。
しかもなぜかなかなか忘れないという。

そんな真っ暗な春を同じように過ごしている人に向けて手を差し伸べてあげられるようにと。
手を差し伸べる対象が明確だし、きっと音楽を欲してる人ってある種の救いを求めてる人もいる気がして。
そんなオーディエンスをどんぴしゃりと救い上げてくれてるように思う。

と話していたらヤマシタカホさんの敬愛するSAKANAMONの記事が出てきた
読んでいたらなにやらこの曲とマッチした心情を語っているような文章が端端から感じられてうおおおおんとなってしまった。


「オーケストラ」、これもとても好きな歌詞がある

かけがえのないものは
意外とすんなり流れて
消えていってしまうものさ

こんな歌詞出てくるのかと驚いた。

かけがえのない〜から宝物にかかって大事にしようとか無くさないようにしようとかわりと目にするものだが、そもそもなんとかしようとかではなくて
普遍的に流れる日常と同時にこのかけがえのないものも一緒に流れていくみたいな。
言語化は難しいのだけれど、感覚としてはわかってしまうという不思議な感覚。

と作詞センスに圧倒されまくりなのだが、
なんといっても歌っているときの表情が良い。
目一杯楽しんでいる様子やがむしゃらな感じなど
曲ごとに上手く表現しているように取れてこちらも自然と体がのってくる。


「オレンジ」
曲中に合わせた照明の色もとてもよかった。
ここでもやっぱり"ロクでもない僕らの青春"とうたっている。

側から見られる偏見やら嘲笑やら挫折の中でも変わらないものを大切にしたい、続けていきたいと綴っているものでやっぱりその対象は歌だったりしていて。

曲ごとにシチュエーションは違えど一貫して挑み続ける、続けるという姿勢が見えてきてどんどん渋谷 CLUB QUATTROでライブをしたかったと語っていた彼女に対してこうどんどん感情が乗ってくるというか。

おめでとうって声を大にして言いたくなる私が生まれてきているような。


「ひかり」ではネガティブな面を抱えつつも前に進み続ける決意が前面に出ていて、なんだろうネガティブさとポジティブさの比というか、
黒い感情を燃料にして前に進む力にしているというのか。

その後に続く「MOVE ON」にしても「大丈夫」にしても
自分の中のもやもやや壁を一つ越えた先で
さらに進み続ける決意であったり、
今まさにもやついている"君"に対して手を差し伸べるような姿勢が見える
これ全部新しい配信アルバムの曲なのだが彼女の中でそういうモードなのだろうかと思うと何か転機があったのかなと思ったり。

共感しつつも最後にはスカッとさせてくれるような構成で
あとにはスッキリとした気持ちが残るような。


「MOVE ON」のまえのMCのときに去年のことについて触れていて、
毎日気が滅入るような情報が錯綜して、事態は一向に良くならなかった。
故にツアーが決まった時も「どうせできないんでしょ。わかってるんだから」と諦めの気持ちが強く占めていたことを明かしてくれた。

メンバーの体制の変わったときも不安だったでしょと問いつつも
今回の公演を経て
「でもかっこよかったでしょ」
「これからも進み続けます。だってそれが"ひかりのなかに"だもん」と話してくれた。

そのMCのときにそれぞれの曲中で出てくる進み続ける姿勢というのはまぎれもなく彼女の意思であり、言葉なのだと実感した。本当に立派だ。


最後の一曲を演奏してステージから姿を消してもすぐアンコールの手拍子がなった。私もすぐにまた聞きたくなって手拍子を打った。


すると「1曲、やって帰ります。」と「冴えない僕らに灯火を」

決意にも取れるようなメッセージの曲を高らかに歌い上げると
やり切ったときメンバーの笑顔。

シンガロングができなくとも会場のファンは思い思いに手を挙げて応えている。

この日の「ひかりのなかに」は間違いなく最高のロックバンドだったと思う


あとがき

友人とやっぱライブハウスのバンドライブはいいっすねとか
元気もらえるなとかいっぱい話した。

去年まで、かっこいいおっさんバンド最高!!みたいな感じだったのだが、
今年に入ってラジオや人伝てやら何やらで若手バンドやらを知るきっかけが多かった。

「ひかりのなかに」もそうだったのだが、
一貫した意思や主張、曲調だったりと特に惹かれるものがあった。

音楽やバンドに年齢も何も関係なくて良いものは良いというのはわかっていたが、今回のライブで確信に変わった。
そして、また「舞台裏」の歌詞になるのだが

みんな聴いてるヒットチャートJ-POP
お決まりになってたラブソング
受け流して管を巻いていた
ぼくだけが知っているあのトキメキを
好きなあの子にも知って欲しかったりするんだ

ここで綴られているような"ぼくだけが知っているあのトキメキ"を
大事にしたいなと思った。
なんだか自分の中で縮こまっていた(かは知らんが)
少年の心を奮い立たせてくれたような感じだ。

そして私も大事な人にはそのトキメキを知って欲しかったりする。

なので「ひかりのなかに」聞いてみませんか?


セットリスト


2021/3/28
ひかりのなかに 1st ONEMAN TOUR「まっすぐなままでいい」
渋谷 CLUB QUATTRO

Guitar support: 沙田瑞紀(miida、ex. ねごと)
Bass support: アベマコト(ex. 挫・人間)
Drum support: 岡山健二(classicus、ex. andymori)

セットリスト
01. そばにいたいんです
02. ナイトライダー
03. ブルーユース
04. 潮騒通り
05. 日曜日
06. 満ちる月
07. ムーンライト
08. 舞台裏
09. オーケストラ
10. オレンジ
11. ひかり
12. MOVE ON!
13. 大丈夫
——— encore ———
14. 冴えない僕らに灯火を

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