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1925年に発行された「時刻表第1号」について


旧字体(旧漢字)が使用されていたころに発行された「時刻表第1号」(1925年)の復刻版(出典:「NHK鉄道研究会」のSNS


1925年発行の「時刻表第1号」復刻版について

この復刻版の「時刻表第1号」は、大正14年(1925年)4月に鉄道省運輸局が編纂・発行した、日本初の全国版公式時刻表 です。
これ以前にも個別の鉄道会社が発行する時刻表は存在しましたが、国が編集した統一的な時刻表はこれが初めてです。
この時刻表の誕生によって、日本全国の鉄道利用がより便利になり、旅行や物流の発展にも大きく貢献しました。


1. 発行の背景と鉄道事情

大正時代の鉄道の発展

  • 鉄道網の急速な拡大
    大正時代には、日本全国の鉄道路線が拡大し、地方都市と大都市を結ぶ鉄道の重要性が高まっていました。
    1925年当時、日本の鉄道路線は国有鉄道(現在のJRの前身)と、地方の私鉄が混在する形でした。

  • 統一時刻表の必要性
    それまで鉄道の運行スケジュールは各鉄道会社ごとに発行されており、全国的な接続情報を一目で確認できるものはありませんでした。
    旅客や貨物輸送の利便性を向上させるため、鉄道省が全国規模の時刻表を編纂することになりました。

  • 自動車・汽船との接続情報
    当時は鉄道だけでなく、バス(自動車)や汽船(船舶)も重要な交通手段でした。
    そのため、この時刻表には鉄道以外の交通機関の発着時刻も掲載されており、総合的な交通案内の役割を果たしていました。


2. 表紙デザインと書式

表紙の特徴

  • 旧字体(旧漢字)の使用

    • 「汽車時間表」→ 現代の「列車時刻表」に相当

    • 「鐵道省運輸局編纂」→ 現代の「鉄道省運輸局編さん」

    • 「發着表」→ 現代の「発着表」

    • これらの表記は、戦後の漢字簡略化以前の書き方です。

  • 鉄道省の公式マーク(菊の御紋)

    • 表紙上部には菊の御紋(16弁の菊花紋)が描かれています。

    • これは当時、国の機関である鉄道省によって公式に発行されたことを示しています。

    • 鉄道省は、現在の国土交通省・JRグループの前身にあたる機関です。

  • 「定價五拾錢(50銭)」の記載

    • 50銭は当時の貨幣価値としては比較的安価で、広く一般の旅客向けに販売されていました。

    • 1925年の50銭は、現在の貨幣価値で約1,500円~2,000円相当と推定されます。


3. 時刻表の構成と使い方

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