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「スウィングガールズ」の思い出

発表会が終わって次のレッスンの時。

先生と「来年は何弾きますか?」という話になり、好きな曲を色々挙げてたら 、昔、子供の発表会で「Sing sing sing」の連弾が素敵だったのを思い出した。

「Sing sing sing」は一番有名なところのメロディーは知っていたが、長尺バージョンを初めて聞いたのは映画「スウィングガールズ」を見た時である。

この映画ではほかにもビッグバンド・ジャズの代表的な名曲が色々聞けて、映画を見た後はしばらくビッグバンド・ジャズにはまった。CD買って、車の運転しながらスウィングしまくった。

「スウィングガールズ」は、東北の田舎の女子高生たちが楽器演奏とジャズに目覚めビッグバンドを組んで最後は音楽祭に出てホールで演奏するという、ただ単純に楽しいfeel-good movieだ。私はくだらないと言われようがなんだろうが、この映画の大ファンである。(ちなみに、同じ監督による、この前の作品「 ウォーターボーイズ」も大好き。)

一般的にこの映画の売りは、田舎の女子高生とジャズという組み合わせの面白さと、女子高生役の女優さんたちが実際に楽器演奏を学んで映画の中で演奏したこと、と言われている。


でも、私の場合はちょっと違う。自分自身が田舎の女子高生だったので、この映画の女子高生たちのありようが何やら懐かしくて仕方ないのだ。

映画の女子高生たちは、方言丸出しで、いつも面白いことを探していて、短絡的かつ衝動的に行動して、感激屋ですごく騒がしい。


私の高校時代も一緒だった。仲間はほぼ皆が田舎の素朴な女子で、「家に帰ろう」というところを「けえるべ」(帰る→けえる+べ<私の出身地では文末に「べ」や「べえ」がついた。東北で「だべ」とか「ず」なんかがつくのと一緒>)と言う。学校の最寄から3つ離れた駅のホームの立ち食いそばがおいしいとの情報を誰かが持ってくると学校帰りに制服着たまま皆で食べに行くし、変なあだ名で互いを呼びあってみたり、下らないことを一生懸命やっては、いつもキャーキャー騒いでた。

そして、色々な子がいた。超絶賢い子から赤点とってあっけらかんと笑っている子、太った子、痩せた子、ミーハーな子、地味な子など、本当に様々だった。しかし、不思議といじめも仲間外れもなく、皆伸び伸び屈託なく過ごしていたと思う。

この点もスイングガールズは一緒だ。いつも何か食べている子、口数少なく目立たないけど最初から金管楽器が吹けちゃう子、やたら惚れっぽい子、校外に彼氏のいる子などなど、個性あふれる子ばかりなのだが、互いの違いとか全然気に留めず誰もがあっけらかんと生きている。

このカラッとした明るさは、田舎ならではのものなのか、時代なのか良く分からない。スウィングガールズは2004年公開なのでけっこう前の映画だが、半世紀以上生きた私からすると充分最近の映画のように感じる。それでもまだパソコンが高価で高校生が家の電話で連絡とりあったりしているので、私が高校生の頃に近い感覚かもしれない。だから、きっと時代と田舎の両方の産物なのだろう。

いや、ひょっとすると、この令和の時代でも、女子高生の実態は大して変わってなくて、大体の女の子たちは屈託なく楽しくやってるのかもしれない。娘がいないので分からないが、そんな気がしてきた。人間はそんなに簡単に変わったりしない。

是非そうであってほしい。

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