見出し画像

被害者は何も悪くない

 11月12日から「女性に対する暴力をなくす運動」期間が始まる。それに先んじて「そのとき、あなたは、何を着てた?~What Were You Wearing?~」展が男女共同参画センター横浜で開かれた。「挑発的な服装をした女性が性暴力被害に遭う」という先入観に異議を唱えるためだ。

 性暴力に服装は関係ない。加害者が性暴力に至るのは、被害者がどんな服装だったか(特に女性が挑発的な服装だったか)でなく、抵抗されなさそうか、発覚しなさそうか、後から訴えられるリスクがなさそうか、といった「できるかどうか」の判断の結果だ。「そんな服装するからだ」「油断するからだ」というありがちな言説は、大抵は後付けの理由に過ぎない。被害者をさらに責める点でセカンド・レイプでしかない。

 それに、もし仮に服装に原因の一端があったとしても、だから「被害に遭っても仕方がない」という話にはならない。加害者が一方的に、100%悪い。被害者は何も悪くない。

 たとえ裸で歩いたとしても、性暴力に至らない状況は山ほどある。「男性の性欲はコントロールできない」などのデマを公然と主張する人もいるけれど、例えば女性の上司が挑発的な服装をしているからといって襲うことはしない。したら部下である自分に大きな不利益が生じるからだ(つまり性欲を完全にコントロールしている)。やはり、服装や見た目の問題ではない。「できる状況だからやる」のだ。

 その点で言えば、男性も「屈強そうだから」「ガタイが良いから」「強そうだから」性暴力に遭わないわけではない。先の条件に合致すれば、どんな男性も性被害に遭い得る(中高年の男性だって性被害に遭う)。私も複数回経験している。

 だから性被害に遭った女性を責めても男性は何も得をしないどころか、自身が性被害に遭うリスクを高めてさえいる。憎むべきは性暴力そのものだ。その点で、男女関係なく誰もが連帯していけるはず。そろそろ服装や見た目の話から脱却して、次の段階に進まなければならない。

いいなと思ったら応援しよう!