悲しいね
冬になると受験を思い出す。
夜遅くまで塾で勉強し、帰り道の寒さにかじかんだ手のひら。
踏切が開くのを舞っていると、あの甲高い音と街路樹を揺らす木枯らしが耳に響いた。
雪が舞うと、街灯に照らされて夜空に光る。小さな白い粒が、好きだった子が着ていたダッフルコートの形に優しく舞い落ちる光景は、なぜかスローモーションでいまも鮮明に甦る。
不安だったから、すべてが切なく感じられた。
あの不安が、私を強くしてくれた。
いまならそう思える。
冬はまだ遠く先。でも、あっというまにやって来る。
ガンバレ、受験生。
先輩風を吹かせ、エールを贈りたい。
たかが受験、されど受験だよ、と。
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