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「タッチ」だけじゃない。 あだち充のショートはときめきの塊である

上杉達也は朝倉南を愛しています。世界中のだれよりも。」

漫画「タッチ」の主人公、達也がヒロインの南に告白するシーン。 はあ、好きすぎる……。



あ、余韻に浸っている場合じゃなかったですね。すみません。

突然ですが、あだち充先生が描く、短編が好きです。

あだち先生と言えば、「タッチ」「みゆき」「ラフ」「H2」「クロスゲーム」「MIX」……
代表作はいろいろあるけど、私は声を大にして言いたい!

あだち先生の短編は! いいぞ! ってね。

「ショート・プログラム」 に胸が熱くなる

小学館文庫全4巻。カラーリングがオシャレなのです。


あだち先生の短編といえば、「ショート・プログラム」シリーズ。

1988年に発行、2005年に新装版が発行。私が持っているのは、2013年発刊の文庫版です。表紙がおしゃれすぎる。

全4巻、短編がこれでもか!というぐらい、ぎっしり収録されています。(4巻目は「ガールズ・タイプ」なので厳密には女の子が主人公の話)
それぞれ1話ずつ、長くても前後編なので、全巻揃えなくても楽しめます。

個人的には、1巻の「テイク・オフ」「プラス1」が好き。

「タッチ」や「ラフ」のような長編もときめきがつまっているんだけど、短編はさらにときめき要素を濃縮してギュッと詰め合わせた感じ。あだち充ワールドにどっぷり浸かれます。

話の伏線回収が見事すぎて、「こんなどうでもよさそうなネタ(失礼)がここにつながった! わお!」と、アハ体験(古くて伝わらなそうだけど、本当にアハ体験)。

短編はコンパクトになるぶん、1つの小さなエピソードにぐいぐい深みにハマっていけるのがいいですね。

ハートがむずかゆくなる、キャラクターたち

短編の話をしているところに、ぶっこんでいいでしょうか。

私、あだち先生の描く、男の子が好きです。

ちょっとおっちょこちょいで、少し鈍感で、自分の恋心にも無自覚。でもなんだか粋で。

寝癖をそのままにして学校に来ちゃう、少しズボラな男子のイメージです。

実際にいたら、なかなか恋が進展しなくてじれったいのかもしれないけれど、読んでいるとハートがむずかゆい。あだち先生の描く男の子は、どうしてこんなに私の心を揺さぶるのでしょう……。

作品内ではモテない設定が多いけど、「いや、これモテるやろ……こういう男の子好きな人、いるやろ……?」と思いながらいつも読んでいます。笑


男の子が好きといいつつも、気づくと女の子にも感情移入。

意地っ張りで素直になれなくて、でも主人公にはときどきポロッと本音が出ちゃう。主人公に徐々に気を許して、距離が近づいていく過程で、またしてもハートがむずがゆくなります(どのヒロインか想像できた人は、すでにあだち充ファンですね)。

サブキャラも、のほほんとしたやつが不意に真理をついてきたり。お調子者の極みみたいなやつが急に活躍する回があったり。もう目が離せないのですよ。何度も読み返しちゃうんですよ。


そうね、訂正。男の子だけじゃなくて、あだち先生の描くキャラが好きです。

(ちなみに、私が1番好きなのは「クロスゲーム」の東くんです……。次点が「ショート・プログラム」に収録されている「プラス1」の今井くん。男の好みがバレる。泣)

力的なキャラクターがよりどりみどりで楽しめちゃうのが、短編集「ショート・プログラム」の旨みなんじゃないでしょうか。ぐふふふ。

小説が好きなあなたにも、「ショート・プログラム」

あだち先生のストーリーとキャラクターをギュッと詰め込んだ短編。どちらかというと、小説のショート・ショートを読んでいる感覚に近いので、漫画は普段読まない人もとっつきやすい作品かなあ、と思います。

「タッチ」は長すぎて途中でダレてしまって読めなかった、ラブコメはちょっと苦手、そんな人も「ショート・プログラム」であだち充ワールドに浸ってみませんか? 

PLOWでも、「ショート・プログラム」を今、推しています。

水色縛りみたいになってる

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