【おふとんな日々Vol.76】選書、はじめました
こんばんは!
毎週水曜日更新、旬香さんとfumiの交換日記「おふとんな日々」第76回です。
本日7月17日(水)はfumiが担当いたします。
夏の暑さが本格的になってきて、自宅で育てているみょうがちゃんがすくすく育っています!
日照時間が短いうちのベランダの環境に合っていたようで、これならもう2株ぐらい植えてもよかったかな、とプチ後悔中です。苗を植えて1年目だからか、葉っぱばかり伸びて、みょうがは出てきてないんですけどね……とほほ。
ベランダ菜園は試行錯誤の繰り返しです。でもそれが楽しい。
選書はじめました
さて、今回は旬香さんが予告してくれていたとおり、「選書」をテーマにお届けしていきます。旬香さんのパーソナルな部分をお聞きした上で、今の気分に合いそうな本を選書させていただきました!
図書館でお仕事をしていると、おすすめの本を聞かれたり本をプレゼントする機会はあるのですが、相手から事前になにか情報をいただくことはほぼありません。
また、図書館での仕事を知らない方には驚かれますが、個人情報を厳重に取り扱う仕事でもあります。ゆえに利用者の方から調べ物の依頼を受けたからといって、個人的な情報を聞き出すこともないし、「この方はこの本好きそうだな」と判断して本をおすすめすることもありません。
だから、実は今回のような形で本をおすすめするのは初めてです。
未熟な部分もあるかもしれませんが、暖かく見守っていただけると嬉しいです……!
選書までの流れ
本を紹介する前に、まずは選書までの流れをお話していこうと思います。
まず、旬香さんに質問シートをお渡ししました。
質問シートの内容はこんな感じ↓
答えにくい質問があったら書かなくてもいいですよ、とお話ししていたのですが、旬香さんから届いたのはびっちり埋まった質問シート。ありがたい!
それから、質問シートの回答をもとに、オンラインで詳しいお話もお聞きしました。
苦手なジャンルについて聞いてみると、「あまり作家さん視点で選ばないので、この人苦手という認識がないかも。ただ苦手な文体はあって、読み進められない」と答えてくれた旬香さん。
普段は、柚木麻子さんや原田マハさんをよく読むということで、明らかに文体に特徴のある作家さんは選ばず、小説も少なめにしてみました。
旬香さんへの選書リスト
さて、お待たせしました!ここからは本のご紹介に移ります。
「どんな本なら普段と違う発見があるかな?」「こっちもおすすめしたいけど、あれもおすすめしたい〜!」と悩みつつ、選んだ本は6冊。
かなり本を読まれているので、「いつもと違う本、だけど今の気分にフィットしそう」というギリギリのラインを狙ってみました。
丁寧に暮らしている暇はないけれど 時間をかけずに日々を豊かに楽しむ知恵(一田憲子)
まずは、「暮らしのおへそ」(主婦と生活社)の編集ディレクターであり、取材・執筆も精力的に行なっている一田憲子さんの本をご紹介。
暮らしについての本って「1日の最後に全てをきれいに整える」「ふきんをたくさん用意して汚れたら都度拭く」みたいな内容があって、毎回「こんなの無理だろう!」とイライラ、挫折しがち(実体験)。
無理しない、でも快適に暮らしたい。
それを叶えてくれるのがこの本です。
今回の質問シートを通じて、旬香さんから『子どもがいてもいいなっと思うようになったけど、自分の「大丈夫感」を自力で作れる手立てがない、そんな不安を感じる』という悩みをいただいていました。
毎日の生活がスムーズに回ると、大丈夫感(自己効力感)を保てる。私は日々、そう感じています。
旬香さんから日々の話を聞くと、「無理しない」ことを大切にされているので、この本が大丈夫感を作るヒントになるのでは?と思い、おすすめさせていただきました。
華岡青洲の妻(有吉佐和子)
「日々の悩みと無縁の物語」が読みたいとリクエストをいただいていました。また、最近読んだ本をお聞きしていく中で、意外と歴史が好きなんじゃないか?とおすすめしたのが「史実を元にした小説」です。
普段はこういったジャンルはほとんど読まないということでしたが、旬香さんの関心が強いジャンル(女性の生き方、家庭、心理)と掛け合わせたものをチョイスしてみました。
この小説は、外科医の夫、華岡青洲を挟んだ嫁姑関係の描写が見どころ。
古い小説ではありますが、有吉佐和子さんの文章は気づくと引き込まれてしまうんですよね。どうでしょうか?
ミトンとふびん(よしもとばなな)
今の気分を「曇り」、元気を「50%くらい」と答えてくれていた旬香さん。
気持ちがゆさぶられすぎない、じわっと染み込んでくるような小説をご紹介したいな、と考えて選んだのが「ミトンとふびん」。
極端な事件が起きるわけじゃない、ドラマティックでもない、生死を扱っているシーンもあるのに、どこか軽いというか……掴みどころがない。手を伸ばしても、するするっと解けて飛んでいってしまうスカーフのような感覚。
この奇妙な軽さが曇りの気分と合いそうだな、とセレクトしました。
「美しい」のものさし(AYANA)
旬香さんから「どんな仕事をしてどういう見通しで暮らしていくか分からないモヤモヤがある」と伺っていました。モヤモヤをするっと吹っ飛ばしてくれそうと思い、選んでみました。
この本で、個人的になるほどと感じたのが、AYANAさんと息子さんとのエピソードでした。自分と周りとの境界線がしっかりしている方で、だから物事についてもどこか俯瞰的というか偏見なく捉えられる方なんだなという印象を受けます。
コスメなどビューティ関連の話はもちろん、性別、ルーティン、時間の使い方、コンプレックスとの向き合い方、アイドルについて、テーマは多岐にわたりますが、この姿勢は一貫しています。
そうそう、今月に入ってAYANAさんの新刊「仕事美辞」が発売されています。
仕事についての悩みごとにAYANAさんが答えていく内容で、突き放しすぎず必要以上に踏み込みすぎない距離感が心地よい一冊でした。求職中の旬香さんにはぜひこちらもおすすめします。
メメンとモリ(ヨシタケシンスケ)
「今後も在宅で働きたいけど、今までやってきた好きなこととはなかなか両立しないジレンマ」がある、と旬香さんはおっしゃっていました。
好きなことと働き方を両立させるってむずかしいですよね。
私たちみたいに両立に悩む人が多い一方で、ヨシタケさんは「好きなことを尖らせまくった方」だと思います。
インタビュー記事や雑誌の記事でもよくご紹介されていますが、独特の方法で絵本を制作しています。ノートに描きためたイラストメモを拡大して、色もデザイナーさんにお願いして塗ってもらっているとのこと。
なんでもできる人が重宝される今の時代、真逆なのかもしれませんが、ヨシタケさんの”独特の視点を突き詰めていく製作スタイル”には潔さと強さを感じます。
なかなかこうは働けないのかもしれないけれど、憧れます。
「今まで逃げつづけてきた」「怒られるのが嫌い」などご本人はネガティブなのに、一周回ってポジティブになっちゃったみたいな作風もユニークです。
「生きていくって、そんなに特別な理由が必要なんだっけ?」と心が軽くなるような一冊です。
こちらのインタビューも面白かったのでぜひ↓
物語をおいしく読み解く フード理論とステレオタイプ50(福田里香 絵・オノナツメ)
最後は、方向性を少し変えてこちらの本を。
「少女漫画で落ち込んだ時によく出てくるココア」「刑事ドラマで張り込みをしているときに食べるのはあんぱんと牛乳」など、物語に出てくるフード描写。ぼんやり見過ごしてしまうこともあるけれど、フード描写が与える印象は絶大……!
そこで、ステレオタイプのフード描写について、「どんな意図があるのか」「心理的にどんな印象を与えるのか」等々、菓子研究家の福田里香さんが分析していくのがこの一冊です。
旬香さん、好きな本として「あまからカルテット」(柚木麻子)
「弁当屋さんのおもてなし」(喜多みどり)を挙げてくれていたんです。どちらも食にまつわる物語です。
物語を読む上で新しい視点が見つかるかもしれません。
また、本の中ではあくまで物語上の話として分析していますが、現実世界でも食べ方、食べるもので人に与える印象は変わるもの。旬香さんならこの本を楽しんでくれそうだと思って、ご紹介しました。
選書、いかがでしたでしょうか?
旬香さんのパーソナルなところをお聞きした上で、6冊選書させていただきました。いかがでしたでしょうか?
本好きの自分にとって、誰かのことを考えて本を選ぶのは本当に幸せなひとときです。どんな本なら気に入ってくれるかな。こんな本なら新規開拓できるかな。自分の脳内のデータベースを漁り、本屋で本を眺め、自宅の本をめくり、検討する。
選書で喜んでもらうはずが、私自身が楽しくなっちゃっていいのかなと思いつつ、ハッピーはやはり連鎖させるものよね、と思ったり。このような機会をいただけて嬉しかったです!
ぜひ感想を聞かせていただけると嬉しいです!
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