頭痛の予防と対処法
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より
今回は頭痛の予防と対処法ついてお伝えしたいと思います。
以前に頭痛の生理学から「片頭痛と自律神経」の関係性をお伝えしました。まだお読みになっていない方は、以下の記事もぜひお読みください。
最初にお伝えしておきますが
こんな頭痛はすぐに病院へ!
・今までに感じたことのない痛みを感じた時
・急に痛みが出はじめ、どんどん痛みが強くなる時
・頭痛と一緒に吐き気や嘔吐、めまいが生じている時
・頭痛と一緒に手足の動きにくさ、目の見えにくさ、耳の聞こえにくさ、体のしびれなど、体の異変を感じる時
・頭痛と一緒に熱や発疹が生じた時
・頭痛が繰り返していて、痛みが強くなってきているような時
上記の症状の原因をしっかりと検査してもらい、必要に応じて治療してもらうことが最優先です。
頭痛には、さまざまなタイプがありますのが
今日は
片頭痛と緊張型頭痛の対策
についてお伝えしたいと思います。
【片頭痛の原因】
片頭痛の原因については、まだはっきりとはしていない部分も多いです。血管説、神経説、三叉神経血管説の3 つの仮説が、片頭痛における病態の一部をそれぞれ反映しているものではないかと考えられています。
つまり、血管の収縮や拡張、神経の圧迫や炎症などが関連しているということですね。
実際に頭痛を感じている部位としては、以下の部分が挙げられます。
【頭痛を感じる部位】
[頭蓋内]
硬膜および血管
(硬膜とこれに分布する硬膜動脈と脳動静脈の一部)
[頭蓋外]
皮膚、筋・筋膜、骨膜、血管、副鼻腔、眼球、歯など痛覚を感じる器官がある
つまり
硬膜、血管、皮膚、筋・筋膜、骨膜、副鼻腔、眼球、歯
に神経を加えた部位で痛みを感じ取って
脳に信号を送っているんですね。
これらの部位に問題が生じたり、炎症が広がってきたりした場合に痛み、すなわち頭痛として感じることがあるということですね。
私自身の経験としても、歯や歯茎の痛み、副鼻腔炎で真っ黄色な鼻水が出ていた時なども頭の痛みとして感じましたね。片頭痛や緊張型の頭痛とは部位や感じ方が明らかに違うと感じ取ることはできましたね。
歯や歯茎の痛みの場合は、噛むと局所(例えば左の奥歯)だけ痛みが強くなるので、判別はしやすい印象ですね。
副鼻腔炎の場合(私が経験したのは左上顎洞)は、明らかに左の目と鼻の間辺りが重く痛い感じがしましたね。
片頭痛や緊張型の頭痛であれば、これほどピンポイントで部位がはっきりとはしない場合がほとんどですよね。
臨床において、片頭痛と緊張型頭痛を症状で明確に分けることは、とっても難しいと私は感じています。ほとんどの方が混在しているからです。
症状の出方を問診していくことで、どちらがより原因として優位かというところには行きつきますが、どちらか一方の頭痛しかないという方は、私が関わらせていただいているクライアントさんでは少ないですね。
具体的には、以下のようなタイミングで頭痛が生じている方が多いです。
頭痛が生じるタイミング
・パソコン仕事の時間が長くなると
首や肩まわりの筋・筋膜が硬くなり血行不良も重なり、後頭部の神経に対して痛みを感じやすい状態にしてしまうことが原因の一つ。
・眠気を我慢して仕事をしていると
交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなかったり、体の部位によって自律神経の働きがバラバラになってしまった場合などに頭痛が生じている可能性があります。
・屋内と屋外の温度差
温度の急激な変化に自律神経による体温調節が間に合わず、視床下部からの信号にエラーが生じる可能性があることが原因として考えられます。
・雨天など気圧に変化
気圧の急激な変化に自律神経による調整が間に合わず、血管や神経に負担をかけてしまうことが原因として考えられます。こちらも上記の温度差と同様に視床下部からの信号のエラーも考えられる。
・飛行機に乗ると
これも上記の気圧の変化によるものと考えられますね。
・朝起きてすぐに
枕やベッド(マットレス)などが身体に合っていない場合や睡眠姿勢が偏ってしまっている場合などが原因として考えられます。また、寝ている間に噛み込みや歯軋りなど顎や首周りの負担が大きくなる特徴のある人にも起きやすいですね。
・メガネを新調したら
二つ原因が考えられます。一つはメガネがきつくて、頭を脇から強く圧迫されることによって起こる頭痛です。もう一つは、新しいメガネの度数に慣れず、目が疲れて起こる頭痛です。
・髪を結んで時間が経つと
ポニーテール頭痛と呼ばれます。頭蓋の軟部組織が引っ張られることにより起こります。
・お腹がすくと、水分が足りないと
食事をすれば、水分を摂ると改善します。空腹や脱水が片頭痛を引き起こすこともあるようです。この頭痛が生じる原因も様々な説が言われていますが、まだ分からない部分が多いようです。
・精神的ストレスが続き、息を止めて力を入れる機会が増えると
精神的ストレスなどのために息んだり、息を止めて力を持続的に入れてしまう(普段からの癖も含めて)と頭痛が生じることもあります。
・「休日の午後」や「休み明けの午前」
緊張とリラックスの切り替えのタイミングと言われています。睡眠のリズムを大きく変える人(仕事の日と休みの日の睡眠時間に大きな差がある人)にこのような症状が強いと感じています。すなわち、就寝と起床のリズムを大きく変えすぎることが頭痛の要因の一つと考えられます。
これ以外にも、その人それぞれ、頭痛が生じるタイミングがあると思います。自分自身の頭痛が生じるタイミングを知っておくことで、できる対策が大きく変わってくるので、ぜひ、自分の頭痛の傾向を探ってみてください。
ちなみに、、、
少し難しい話なので、以下の部分は興味のある人だけ読んでみてください。
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以前は、片頭痛の原因として血管説が有力とされていましたが、脳の画像診断の技術が進んだことで、血管の収縮が認められない時期から痛みを感じることもあることが分かってきたようです。
今現在、以下のようなところまでわかってきているそうです。
【片頭痛予兆期】
予兆期には、あくび、疲労感、集中力の低下、頸部の肩こり、抑うつ気分などの症状が認められる。この時に脳内の視床下部が既に活性化されていて、三叉神経脊髄路核との連絡が活発化する。予兆期初期には、後外側視床下部、中脳被蓋野、黒質・中脳 水道周囲灰白質、橋背側、後頭葉皮質、側頭葉皮質、前頭前野などがはじめに活性化され、後期には、橋背側、後頭葉皮質、側頭葉皮質、前頭前野が活性化される。片頭痛発症の generator として視床下部活性化が注目を集めるようになってきている。
[私見]
片頭痛が生じる元となっているのが視床下部だとするとますます自律神経とのつながりが強くなるのも頷けますよね。自律神経が不調になると片頭痛が生じる回数も増えることはみなさん感じていますよね。
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片頭痛と緊張型頭痛との明確な線引きは難しいですが、緊張型頭痛の特徴を知っておくと良いですね。
緊張型頭痛の特徴
・小さめの帽子やヘルメットを被って常に締めつけられているような痛みがある
・重苦しい痛みで後頭部を中心に両側がじんわり痛む
・片頭痛のような脈を打つようなズキズキとした痛みではない
・首や肩のこりをともなうことが多い(肩こりが片側だけの場合、側頭部に片側だけに痛みを感じることもある)
・吐き気を感じることは少ない
・頭痛がしている時に光や音を煩わしく感じることは少ない
・首や肩の硬いところを動かすと頭痛が強くなる(動かす方向によっては痛みが少ない動いても痛みは悪化しない)
※片頭痛の場合は頭を振ると頭の中が痛い感じがする
※頭痛が生じるタイミングを知ることが頭痛対策の第一歩
以下に頭痛に対する対処法をお伝えしていきますが、その前にぜひ、ご自身の頭痛がどういうタイミングで起きているのかを今一度確認してみてくださいね。
頭痛の種類やタイミングをよく分からずに対策だけやってみたら、余計に頭が痛くなるということも珍しくありませんからね。
緊張型頭痛の対処法
・首や肩を温める:
濡らしたタオルをレンジにかけて温めたものを首の付け根に敷いて仰向けに寝る
・入浴:
ぬるめのお湯にゆっくり浸かって、全身を温めて血液循環を促し、筋筋膜も緩みやすい状態にする
※ 片頭痛の場合は温めると頭痛が増強する場合が多いので注意が必要です!
・首、肩甲骨、背中(胸椎)のストレッチ:
普段、硬くなりやすい首・肩・背中の部分を動かすことが大事(分からない場合は、首と肩甲骨をゆっくり大きく動かす)
・耳を動かす:
耳を自分の手で掴んで丸を描くようにゆっくり大きく動かす
・頭皮を動かす:
手のひらを頭皮に押し付けて丸を描くように大きく動かす
※ 上記の3つのストレッチと動かすものは、頭痛が生じてからやると痛みが強くなる場合がありますので、予防的に行うことが有効です!
・施術を受ける
自分で動かすぐらいでは改善が認められなくなってしまった場合には、他者に首や肩周りの筋・筋膜を柔らかくしてもらう施術を受けること一つの手段です。ただし、首周りは重要な神経や血管が多く密集しているため、専門的な知識と技術を持ったセラピストの施術を受けることをお勧めします。
・枕やマットレスを変更する:
寝具選びのポイントとしては、実際に仰向けと横向きに寝てみてその際に深呼吸をした際、リラックスできて、全身が脱力できるもの良いと考えています。
※ 実際に寝てみることができない寝具をネットで購入することはお勧めしません!
値段が高いから良いものだとは限りません!
・鎮痛薬を服用する
病院で頭痛の状態に合った薬を処方してもらって服用することも大事です。
片頭痛の対処法
・暗い、静かな場所で横になる
片頭痛は、光のまぶしさや音によって痛みが増すことがあります。また、動くと痛みが増すので、光や音を防いで安静に過ごしましょう。
・冷やしたり押さえたりする
痛いところを冷やしたり、圧迫したりすることで周辺の血管が収縮するため、痛みがやわらぎます。
・睡眠をとる
片頭痛は眠ることで改善します。仕事中に痛みが起こった場合も、可能なら仕事を中断して仮眠をとりましょう。15〜20分ぐらいでも頭痛が軽減することがあります。
・カフェインの入ったものを飲む
カフェインには血管を収縮させる働きがあるため、痛み始めにコーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物を飲むと痛みが和らぐことがあります。カフェインは摂取してから20〜30分程度で覚醒に影響が出てきますので、短時間の仮眠を摂る際には、寝る前にカフェインを摂取すると起きた後の仕事の効率を上げられると思います。
・鎮痛薬を服用する
過剰摂取には、本当に気をつけなければいけませんが、痛みのために吐き気が生じたり、動けなくなることが多いような場合には、病院で頭痛の状態に合った薬を処方してもらって服用することも大事です。
・施術を受ける
片頭痛の場合、首周りや頭周りへの介入により頭痛が強く増強してしまうこともありますので、注意が必要です。基本的に痛みの出ないリラックスできるような施樹を受けることをお勧めします。※緊張型頭痛の対処法でもお伝えしたように専門的な知識を持ったセラピストに施術を受けましょう。
今日は、頭痛の対処方法についてお伝えしました。
最後までお読みいただきありがとうございました🍀
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アレルギーや自律神経に対するリハビリテーションの講習会情報につきましては、以下のHPをご覧ください。
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【今後の研修会予定】
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【アレリハアーカイブ研修】
①『ポリヴェーガル理論と理学療法』
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④『頭痛の生理学と対策』
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③-2「排便の運動学」
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動画公開期間:2024年3月13日〜2024年4月28日
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