熟成どころかおかしな味になってる下書きのこと
「マザーボードがしゃべる」と言っても、たぶんいま、ほとんど意味が通じないと思う。
急に頭がおかしくなったわけではなく、本当にしゃべるのだ。マザーボードが。マザーボードはパソコンの中のメインの基盤のこと。
実は、すごい昔にネットワークエンジニアの知人と一緒に秋葉原の今は亡き「俺コンハウス」でパーツを買って組み立てた自作PCをわけあって超久しぶりに起動させたら、しゃべったのだ。
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最初、「何、何? どうした?」と一瞬固まったが、よく考えたらAOpenのマザーボードにそういう機能が搭載されていたことを思い出した。久しぶりすぎてマザーボードがしゃべることなんてすっかり忘れていた。
「CPUダメじゃん」「キーボードマウスむかつく」「PCIむり」とかなんとか、なぜか懐かしいコギャルテイストで喋るのだけれど、Dr.Voiceという、いたって真面目な機能。
BIOSのエラーをCPU、メモリモジュールというふうに切り分けて診断し、しゃべって教えてくれる。なんだか、いま改めて考えると何周か回って新しいような気がしないでもない。
AOpenはacerの子会社で自作ユーザー向けパーツメーカーとしてメジャーな存在だった(一応過去形)けど、こういうよく分からない遊び心を入れてくるメーカーでもあったのだ。
とはいえWindows8以降は、フルブートでBIOSのチェックとかしないでカーネルやデバイスを「休止」させて起動させる高速スタートアップを実行するので、まあこの機能の存在意義すらないわけですが・・
――というような下書きが発掘されたのだけど、ひどい。熟成の味どころか、おかしな味になってる。
いったい自分でも何を書きたかったのか、何を伝えたかったのかも謎すぎてどうしたものか。そもそもパソコンの中身に興味のない人(大半だ)には、何のことやらな単語や話に終始している。
というか僕自身がいまは、それほどパソコンの中に興味関心がない。秋葉原すら寄り付かなくなった。
最後にパソコンの中をどうにかしたのは妻のMacBook Proのメモリを乗せ換えた以来だ。たぶん、いまのMacBook Proはそれもできない仕様になってると思う。
いま思うと、パソコンのマザーボードがしゃべってくれていた時代は、スマホと違って「人」の要素がマシンの中にもあったのだ。すごく賢かったり、そうかと思えばすごく適当だったり、ご機嫌だったり、そうでもなかったりするような。
それを、そのときそのときで「そんなものか」とどこかで思いながら付き合っていた気がする。だけど、いまのスマホや2in1タブレットに「そんなものか」はきっとあり得ないんだろう。
エラーをギャル語(意味通じるのかな)で返してたら真面目にクレームになりそうだ。そう考えたらいい時代だったのかもしれない。何がだろう。