言葉は刃物
人は人を傷つける
ペンは剣よりも強し
だから、発する言葉は大切にしていきたい。
それが、薬にも毒にもなるから
私は以前、作業所(就労支援B型)というところに通っていました。
そこでは様々な障害を持った方々がそれぞれの思いを抱えて、就労に向けて訓練する場所です。
人が減ったり増えたりと入れ替えが激しい日々の中、私はいつしか長めにそこに通っていました。
居心地が良かったのか、ただ辞められる術を知らなかったのか。一喜一憂しながら頑張っていました。
その当時、入りたての男性と送迎車で会うことがありました。
ある時、運転をしてくださっているスタッフさん以外その方と2人だけとなった頃、その方の身の上話になりました。
たくさんの苦しみと後悔を抱えていたことをゆっくりぽつりぽつりと話してくれました。
どうして私に話したのかは今でも分かりません。
わたしもかける言葉が大層なものは無いと思っていました。だけど、今ここで会えたこと、生きてこれたことは素敵なことだよ。と素直な気持ちを伝えました。
生きていたら、どんなことも少しづつ変わってくるから
「生きてて良かったですね」
私の素直な感想で、ただ目の前にいる方が生きてて良かった。亡くなってしまったら何も残らないから。
言いすぎたかな……とか、軽い気持ちで言ったつもりじゃないけど「生きててよかった」なんて、褒められた感想じゃなかったかな。なんて、その後の無言の空間で思ってしまったけれど
その日の一日が終わり、帰る時間になる頃。その方がふらっとこっちへ向かってきて、「ありがとうございます」とあたまをさげたんですよね。
「生きてて良かったですね。って言ってくれてありがとう」って。
私が素直な感想をただ話しただけで、その方は私がその場所を辞める時まで、ずっとお礼を抱えていたのかもしれない。
私がその作業所を辞める報告をした後、真っ先に「ありがとうございました」を伝えてくれたのはその方だった。
生きててよかった。
本当に、良かった。
私は、その方がこれからの未来を掛けだせると思っているし、苦しみや悲しみがあったとしても、ちゃんと感謝できる方だから、だからこそ大切な人と大切な時間を過ごして欲しいなーー
たった一言で、その方は「ありがとう」を伝えてくれた。でも、もし逆の意味に取られていたら?そう思うと、やっぱり言葉は「贈り物」なんだなと感じました。
毒にも薬にもなるーー
だから、私はより丁寧な言葉を使えたらいいな。人を貶めるような言葉を使わずにいられたらいいな……と願うのでした。