まだまだ大人になれない私は
「大人になったわたしたちは」の同じ夜の話。
一緒に給食をつついてた彼らは目の前でテキーラをあおっていた。人は年月が経つだけじゃ大人にはなれない。なんとなく変わってないなとも思う。こういう子は昔からこうだった。調子に乗るのだ。潰れるぞ。今に潰れる。
酔った男は女子に絡む。
こんなご時世、駅前は新成人で溢れかえっていた。寂れたと思ったこの街もこんなに若者がいるのか。
なんとなくおもしろくなくて、私はふらっとコンビニの前で一服していた。そしたら雪が降ってきた。大人になった夜は冷たい。こんなに人がいるのになんだか孤独だった。
そんなとこに、見覚えのある男が通りかかった。中2の時私が好きだった男だ。なぜあんなに好きだったのかって思い出せないものである。彼いわく、自分も飲みサーみたいなノリが楽しくなくて抜け出してきたと。
お互い大変だね。ありがと。ほんの少しの会話ではあったけどあの頃の私なら喜んだだろうか。
雪が綺麗だった。孤独な夜に雪はよく似合う。しかし、自分の人生に少しでも関わった人間が健やかにこの世界のどこかで生きているというのは嬉しいものだ。
店と極寒の外を3往復したくらいで同窓会は終わった。テキーラをあおっていた男は無事に潰れた。(ちゃんとみんなに連れて帰ってもらってた)
飲み屋街の終わりには救急車が来ていた。
心身ともに密だった。
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