「鐘・イタリアの女」 アイリス・マードック
丸谷才一・中川敏 訳 集英社版世界の文学 集英社
「鐘」は何の象徴か?
昨日からマードックの「鐘」を読み始めている。始めの方に「象徴は大事だ」っていう会話があって、この小説が象徴に貫かれたものであることがわかる。その象徴の中心にあるのが、タイトル通りの鐘。湖の奥底沈む、言い伝えでは修道尼が男と密会していたのに告白しないことから、自ら恥ずかしくて?落ちていった鐘(と、書いたら小説の筋は見当つくと思う)。
筋はともかく、雰囲気や次から次へと象徴が繋がっていく構造など、自分の好きなタイプの小説だが、こういうのはおのずから読むスピードが遅くなってしまう。
(2008 02/12)
象徴を抱合する象徴
今、読んでいるところでは、泳げる・泳げない、が重要なキーになっている。修道院の敷地の中に湖があって、鐘がそこに沈んでいる。泳ぐの反対は溺れる。泳げない、泳げるけど恐い…と、いろいろある。そんな一行がボートに乗って向こう岸に渡っている時に、すいすい泳いでいるのは実は犬。
そして、「鐘」は盛り上がりを見せ始めた。といっても、静かな雰囲気の小説なのだが。今日の読みどころは、p150の文と、18才のトビーが修道院の壁をよじ登り、禁じられた領域に侵入するところ。その境目であるドアが、生死を分かつ境に感じられて印象的。その境は、湖のイメージにも繋がって。
(2008 02/14)
「鐘」は引き上げられた。あとは新しい鐘とすり替えるだけとなっている…
(2008 02/15)
午前中に「鐘」を読み終えた。次は「イタリアの女」。
(2008 02/18)
「イタリアの女」
順列・組み合わせでの全てのパターンで肉体関係があるという、劇っぽい小説。この作品は「鐘」より舞台となる場所が限定されているので、場所の一致を求める劇にはぴったりかも。マードック本人は19世紀大作作家(ディケンズとかドストエフスキーとか)が好きらしいのだが、作品の親和性としてはギリシャ悲劇の方が大かも。特にこの作品については…
あと、追うのと追われるのは実は共同作業なのではないだろうか、とも思う。
(2008 02/20)
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