「進化の隣人 ヒトとチンパンジー」 松沢哲郎
岩波新書 岩波書店
チンパンジーの教育
これまで第1、2章を読み終えた。
第1章では、チンパンジーの地域的文化伝播をみた。どの実を石器で割って食べるのか、という点において(たとえその実がどちらにもあったとしても)一方は石器を使って食べ、一方は何もしない、ということがある。これは雌のチンパンジーが文化を伝播していくからだということ。
第2章では、チンパンジーの教育について。ヒトと同様に生得的なものとして新生児微笑と新生児模倣と喃語というものがある。喃語はどの言語圏でも全ての人間に共通な母音子音を発音する時期がある。チンパンジーにもそれに似た喃語期というものがある。
チンパンジーの教育の特徴として「親が手本を示す」「親と同じことをしたいという子供側の強い欲求」「親が子供のすることに関して寛容、積極的な働きかけはしないけどしやすいように環境づくりをする」ということが挙げられる。1、2番目のはヒトとある程度共通していると思う(2番目のには自分はとても興味がある)が、3番目のはヒトとチンパンジーとで違うところ。
最後にちょっと文を引用。
ちょっとチンパンジーを離れて、この文、多様性の中の統一とか、社会的なものの形成とか、前にちらっとだけ見たデリダにも似たような議論とか、分析哲学的あるいは認知科学的などなどいろいろなエッセンスをさらっと述べているような感じがするのだけれど、どうだろう。
(2015 10/18)
人間の言葉はチンパンジーは発音できない
人間の言葉は息を吸っている時に一瞬だけ止めて、子音を変えられるから成立したという。
チンパンジーでは吸って、吐いて、吸って、吐いての繰り返しだから人の言葉は発音できない。喉辺りの構造が違うらしい。 それだけの差が…
(2015 10/19)
チンパンジーと心の理論
第4章の内容から。 鏡像の認識は子供の頃から鏡を見てきた成人?チンパンジーはできるが、同じく鏡を見てきている2歳児チンパンジーではまだ成立していない。感情や身振り手振りも同じ感じかな。 似たような形成傾向を持つものは、それら以外にもまだあるとは思うのだけど…
(2015 10/20)
埋め込み式知性
チンパンジーの新書を昨夜読み終えた。
チンパンジーとヒトは500万年くらい前に分かれて、ゲノムも1.2%しか違わない。ヒトの環境に置いておけばかなり共通なところを見せる。鏡像とか記号(言語・数など)も理解することができる。
違いはというと、物と物、人と人の関係の複雑化。埋め込み式というか、メタ○○というか。タマネギの一番表皮だけ剥くか最後まで剥いてしまうかみたいな…
ちなみにこの本、チンパンジー(ゴリラもだけど)を「何人」と数えるなど独特な味も楽しめた。
(2015 10/21)
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