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エピキュロスの晩餐会 2020

 去る10月28日、全国7都市8会場で日本エスコフィエ協会の主催により ≪エピキュロスの晩餐会≫ が開催されました。(写真は京都会場のものです)

オーギュスト・エスコフィエの弟子たちの会

 日本エスコフィエ協会というフランス料理人ばかりが集まるシェフの会があります。1600名近くの会員は、一定の資格をクリアした料理長クラスのシェフばかりです。世界中にいくつもの支部があり、この協会は日本支部でもあるわけですが、その基準は ‟オーギュスト・エスコフィエ” という稀代の名料理長の弟子が集う会とされています。ですから会員のことをこの会ではディシープル(弟子)と呼びます。ディシープルになるとエシャルプという懸章が授与されます。(写真の赤いたすき)

日本エスコフィエ協会HP  https://www.escoffier.or.jp/

 このエスコフィエ氏はそれまでの古典を体系化してまとめただけでなく、ベルエポックといわれた1800年代後半から1900年代初頭にかけての、フランスそしてパリが一番華やかだったころに大活躍しました。         以前、天皇の料理番というドラマがありましたが、その秋山徳三氏もパリの ‟ホテルリッツ” でエスコフィエ氏に師事しています。彼はこの産業革命に支えられたホテルと鉄道の時代に、世界中に料理人を送り込み、フランス料理の地位を不動のものにしました。ブルボン王朝時代に花開いた、宮廷料理をベースに持つフランス料理が、世界中のホテルや豪華客船や列車の食堂をはじめ、晩餐会の主流になるのには、このエスコフィエ氏の働きがあったからに他なりません。

エピキュロスの晩餐会とは・・・

 そんな近代フランス料理の祖、オーギュスト・エスコフィエによって1912年、最初のエピキュロスの晩餐会が開かれます。ヨーロッパの37都市で同一メニューによる同時開催で行われたそうです。これから2か月に一度開催され、第一次世界大戦の始まる1914年まで続きました。エピキュロスは、ご存知の方も多いと思いますが古代ギリシャの哲学者です。後世の学者たちが快楽を楽しむ思想として世に知らしめたので、エピキュリアン=快楽主義者 の定義の元ともなっています。

ここは難しいこと考えずに、エピキュロスにあやかって ‟食の快楽” を参加者で享受しましょう!!

ソーシャルディスタンスを保って

とはいえ今年はコロナ禍の最中。ホテルや飲食の業界が大打撃を受ける中、フランス料理業界でも本当に久しぶりのイベント開催です。実は私たちの店舗もいまだオープンできていない店舗もあります。お客様にとっても今年はイベントが少なく満を持しての参加ということで、通常時の半分以下、30名の定員は早々に満席を頂き、在京都フランス総領事閣下にもご出席いただきました。ソーシャルディスタンスを保ち、スタッフもマスクや手袋着用は勿論のこと、細心の注意を払いながらの開催でしたが、お客様の笑顔が溢れ、本当に楽しんでくださっている様子。そして何よりも、私たちスタッフも本当に楽しかった!! ≪本当にレストランっていいなぁ≫ と再認識する楽しく、有意義な会になりました。

在京都総領事

当日は三兄弟+身内の協会メンバー2名で

実は最初の写真、真ん中三人は私の兄弟です💦 右から2人目が長男、真ん中が次男の私、その左が三男昨年の開催は京都の有名ホテルの料理長が勢ぞろいし、その様子は圧巻でしたが、今年はコロナ禍の影響でそれは叶わず。それならばということで、弊社の協会メンバーが勢ぞろいして行いました。そのおかげで・・・久々に三兄弟が一緒に料理を作る機会をいただきました。さすがにこの歳になると昔のように三人集まっても喧嘩にはなりませんが(笑)、ちょっぴりライバル意識もあり、それぞれの担当した料理をみんな全力で仕上げました。

アミューズ

お肉2

デザート2

厨房4

来年はもっと盛大に・・・

私は日本エスコフィエ協会の理事として、この催しに当初よりかかわってきました。今年たくさんの会場で開催予定だったのですが、残念ながら開催を断念せざるを得ない会場もあり。。。より多くの方にこういう機会を通じてフランス料理を楽しんでいただくために、来年の10月28日はさらに盛大に開催できることを祈ってます。たった一日のイベントですが、全国各地で同時にフランス料理を楽しむ日があるって素晴らしいですよね!!また来年お会いしましょう!!

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