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バスク地方料理 その1

暫くのご無沙汰です。前回ご紹介したドイツ国境のアルザスに続き、今回は地図上では反対側、フランスとスペインにまたがるバスク地方の料理について書いていきます。このバスク地方にも大変特徴的で美味しい料理が沢山あることは勿論です。ビスケー湾を囲むこの地域は海産物の宝庫で、世界一の美食の町と呼ばれるスペイン・サンセバスチャンの市場にはたくさんの種類の魚介類は勿論、オリーブ、生ハムやサラミが所狭しと並んでいます。そしてフランス側のバスクにはバスク豚、有名なバイヨンヌの生ハムがあります。

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また古くから居住するバスク人によって、この地域には独自の言語や文化があることでも知られています。その文化もとても興味深いので、その1では ≪バスクってどんなところ?≫ をテーマにその風土について簡単に触れます。

バスクってどこにあるの?

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バスク地方はフランスとスペイン、2国にまたがっています。現在は国境で分断され、特にスペイン側では国の行政区分も複雑なようです。ここでは ”古くからこの地域に居住していたバスク人の独自の言語や文化的な区分としてのバスク地方” として見ていきます。そもそも二つの国にまたがっているわけですから、島国の日本人には感覚的にとらえにくいですが。。。

人口はバスク全体で広島県ぐらい。面積は四国より少し大きいくらいです。バスク全体から見るとフランス側のバスクは北バスク、スペイン側のバスクを南バスクともいうようです。全体の中では北バスク(つまりフランス側)はバスク全体の、人口では10分の1、面積では6分の1程度を占めるに過ぎません。

海バスクと山バスク

バスクの北側は大西洋のビスケー湾に面していてます。(海バスク)   西岸海洋性気候で夏はさほど暑くならず過ごしやすく、冬も暖流のおかげで温和、雨量も安定しています。このため南バスクは、荒涼として乾燥したイメージがあるスペインの中では(緑のスペイン)と呼ばれるほど豊かな土地です。ビルバオやサンセバスチャンという大都市を中心に、産業が発達しスペインの中で最も裕福な地方なんだそうです。だから治安もよく、アートや美食、グルメも発達しています。同じくフランス側にもビアリッツやサンジャンドリュズといったリゾート地があり、サーフィンのメッカとしても有名です。

一方、バスクの山側(内陸部・山バスク)は大陸性気候で海側とは気候が異なっていることや、ピレネー山脈の北のほうや、それに連なるバスク山脈があり、高地では酪農も盛んに行われ、シードラの原料となるリンゴが作られる気象条件もあります。 
またバスク山脈の向こうのナバーラ地方はワイン産地でもあり(もう少し南に行くとスペインの最大のワイン産地、リオハの北限)マスやサケの料理(ナヴァーラ風)もあります。
このように海あり山ありの、地理的にも気候的にも、本当に恵まれた豊かな地方だといえます。

図1

             (バスクの地形)

バスクといえば・・・

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バスクの有名なもの並べてみました。バスク土産の定番は、バスクリネンですよね。これは丈夫な生地であることから、昔はウシの背中に暑さよけ、虫よけの為にかけたりしていたものだそうです。この7本のラインはバスクの7州や県を表していて、ラインの色は職業を表していたそうです。ブルーは漁師、緑は農業、赤は酪農だったとか。

他にはベレー帽、ボーダー柄のシャツが有名。
そして町のあちらこちらに(特にフランス側)ではバスク十字(ローブリュー)を見かけます。

バスク語

図2

図4

そしてもう一つ重要な要素、言語がバスク人のアイデンティティの核にあります。バスク語という独特な言語の起源はいまだに謎なのだそうです。
文法的に他のヨーロッパの言語とはずいぶん異なり、綴りも独特だそうです。むしろ語順やそのむずかしさは日本語に近いとか。
そしてやはりこの地方にも、アルザスなどと同じようにフランス語とバスク語と両方の表記があります。
上の写真はスペインで撮ったもので上からバスク語、スペイン語、英語、の表記があります。下の写真はフランスで撮ったもので上からフランス語、バスク語、スペイン語です。

いろんな逸話があります。
神からどんな罰を与えられても全くひるまなかった悪魔でさえ、3年間岩牢にこもってバスク語を勉強する罰を課されると神に許しを乞うた・・・とか
悪魔がバスク人を誘惑するためにバスク語を習ったが、7年かかって覚えたのは『はい』と『いいえ』だけだった・・・とか
フランスのバイヨンヌにあるバスク民族博物館では、「かつて悪魔サタンは日本にいた。それがバスクの土地にやってきたのである」と挿絵入りの歴史が描かれているものが飾られているそうです。             サタンが日本にいたって。。。

旅行中に仕入れた話を一つ。バイヨンヌの酒屋さんで地元のリキュールを探していた時にそこのマダムが、日本に行ったことがあるとか、日本の食べ物がおいしいとかの話をたくさんした後で、、、バスク語でサクラという言葉があって実はこれは犬のことなのね。ある日市場で日本人の女性がいて私たちがサクラと大声で話していたら、サクラという名前の犬かと思って勘違いしていて、犬のこと自体をサクラっていうと知って驚いていたわよ!! ってとても楽しそうに話してくれました。

次回はサンセバスチャンのバル巡り。。。

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