グラブジャムンと、幻のジェラート。
我が家のスイーツ♡担当大臣こと父が、今日も朝からキッチンに立っていた。
ご機嫌にミキサーを動かしているので、何を作っているのか聞いてみるとマンゴーココナッツジェラートだそう。
まさか家でマンゴーココナッツジェラートが食べられるとは思わなかった。猛烈にマンゴーココナッツジェラートを食べたいと感じたことはないけれど、マンゴーでココナッツで、それがジェラートなら美味しいだろう。この前作っていた、世界一甘いと言われるインドの団子よりは美味しいに決まっている。
ジェラートなんてアイスよりも固まるのが早そうなのに、案外時間がかかるものらしく、おやつの時間にジェラートは間に合わなかった。かわりにおやつには、これまた父の作った手羽先が出てきた。
おやつに手羽先を食べ、夜ご飯に回鍋肉を食べ、さあ、やっとデザートにジェラート。あまりの情緒のなさに他の人の胃ならびっくりだろうが、私の胃はこんなことでは驚かない。どんな食べ合わせでも、どんとこいという感じである。
朝から待っていた念願のマンゴーココナッツジェラートまであと少し、というところで、ミキサーから嫌な音がした。
父が木のスプーンごとミキサーをかけてしまった。
ジェラートの中に散り散りになるスプーンのかけら。夜のデザートタイムは一変、スプーンのかけら捜索時間に。家族総出でジェラートをかき回しても、なかなか簡単には見つからない。ココナッツのつぶつぶと見分けがつかない。
「木だし、細かいし食べちゃっても平気では?」母の意見に、食べたさあまりに賛同しかけたが、「木だし」というのはどうか。木は食べれるを認めるのは、後のためにもあまりよろしくない。
スプーンが混じっているかも、と思いながら食べるのも気持ち悪いという父の意見に落ち着き、マンゴーココナッツジェラートは食べられずじまいで処分された。
今夜は家族全員が、ジェラートの幻にうなされそうだが、ジェラート以上に木のスプーンを一本失ったということも重大な問題である。毎日三人揃ってご飯を食べるのに、全員分の木のスプーンがないとは大問題だ。
ご飯の時間をずらすか、誰かが鉄のスプーンで我慢をするのか。そうだとしたら、誰がその我慢をするのか。この話し合いを今からしていたら、いつ寝れるのかわからないので、気付かなかったふりをしておこうと思う。
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