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ブロック形成時のサイドにおける効果的な守備①

チャンピオンズリーグ 名勝負
15-16  準決勝 1leg
アトレティコ マドリード vs バイエルン

~アトレティコに見た、
自陣でのブロック守備~

 今回は、15/16シーズンのアトレティコ・マドリードより、ブロック守備時におけるサイドの効果的な守備の方法について紹介します。
 試合は、15/16UEFAチャンピオンズリーグ準決勝1Ieg アトレティコvsバイエルンです。
 当時のバイエルンの長所はサイド攻撃でした。そんなバイエルンに対してアトレティコは長い時間をブロック守備に徹し、1-0で勝利しました。その中で、サイドにおける守備が非常に効果的であり、面白かったので紹介していきます。


【システム】
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Away : バイエルン


アトレティコの
自陣でのブロック守備

① 陣形
 この試合でアトレティコは自陣でのブロック守備時、下図のようにコンパクトな「4-4」あるいは「4-4-2」のブロックを形成していた。
 ここで、ブロックの縦幅(DFとMFのライン間)は約5~10mであり、MFラインの横幅はペナルティエリアよりも狭く非常にコンパクトに設定されていた。


② 基準点
 守備の基準点は、ボールと味方の位置に置いていた。つまり、ラインの位置関係を崩すことなく一体的に動く「ゾーンディフェンス」を行っていた。


③ サイド
 
サイドのエリアでは、必ず1枚orダブルチームでボールホルダーへ寄せ、敵のサイドからの突破を防いでいた。
 具体的な方法としては、SBのフアンフラン / フェリペ・ルイスが、予め大外に位置する敵ウイングをマークしていた(CB脇のスペースが空いてでも)。その後、大外へボールが出ると、フアンフラン / フェリペ・ルイスはボールホルダーへ対して縦方向を消すようにアプローチしていた。敵ウイング(D・コスタ / コマン)は縦方向のドリブルによる突破力があり、以上のプレーはこれの対策と言える。
 そして、敵ウイングの内側への侵入を防ぐためにSHのサウール / コケが内側を消すようにサポートすることで、サイドからの突破を完全に防ぐことが可能となっていた。

【左サイド】

シーン1
シーン2

【右サイド】

シーン1
シーン2


 以上、①敵の長所であるウイングをSBが予めマークする、②サイドへボールが出た際は、必ず1枚(SB)が縦方向から寄せる、③その敵ウイングに対してSHが内側を消すように寄せることにより、アトレティコはバイエルンのサイド攻撃を見事に防いでいました。特に、サイドにスピードとドリブルによる縦への推進力のある敵がいる場合には有効な守備と言えます。
 しかしながら、①により下図のようにCBとSBの間のスペースが空いてしまうのが分かります。

 よって、このスペースに敵が侵入した場合にはカバーをする必要があり、アトレティコはCMFの選手がこの役割を担っていました。

 当時のアトレティコのようにゾーンによる守備を行う場合、必然的にボールが外回りになりやすくなります。そのため、いかにサイドの守備を効果的に行えるかが、強固なブロック守備を作るうえで重要になると思います。

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