数々の洋服たち②
昨日の続き
値段やブランドに囚われず、自分の好きな私に似合う洋服が欲しいと思い立ち、それからというもの、雑誌の熟読に加え、地図を頭に叩き込む訓練をした。
何故なら、雑誌を手にしてお店を探すなんてお上りさんと言われてしまいそうだから。
よくある自意識過剰な思春期の行動?
まずは雑誌を見ていて、目に留まる洋服や小物のお店の名前をチェックする。そして地図を見てさらにマーカーをつける。
どうやら、原宿界隈、そして代官山辺りに私の好みのお店が密集しているらしい。
まずは馴染みのある線で行ける場所として原宿をターゲットにする。
そして、一軒ずつ予算を決め、交通費、食事代と大まかではあるがどれだけのお金が貯まれば決行できるか、そして目標の日を決めた。
また、虚弱体質の私はご飯を食べるたびにお腹が痛くなるため、友達と一緒だと迷惑を掛けるため、最終的に日帰りひとり旅を計画する。
ひとりであれば行きたいお店を探しててくてく歩き回ることも、食事のタイミングを合わせる心配も不要。懸念事項としては、地図なしで本当にたどり着けるのか。
そんな思いを抱えながらも、予定の日はやってくる。
ひとり特急に乗り、頭上の案内を頼りに山手線に乗り換える。休みの日でもぎゅうぎゅう詰めな電車におののきながら、やっとのことでドアから押し出される。
駅から出るとまた更に満員電車のような竹下通りが見える。
必死の思いで抜け出すと、右手に目的のお店を発見。
入念に準備して来た甲斐があった。
店内は地元では見かけないオリジナリティに溢れた商品が並ぶ。
しかも値段もかわいらしい。
そうは言っても、電車代をかけて来ている分使えるお金はかなり減っているため、吟味に吟味を重ねて商品を選ぶ。
次のお店でも、数ある中から同じように私だけの一枚を探すことに専念する。
中には一枚に決められず悩みに悩んだ末に二枚買うことも。
その分、行けるお店は減ってしまう。
一大決心をして私だけの洋服を選ぶ旅は終わった。
しかし、また翌日からは次のたびに向けて節約と計画、そして準備の日々が始まる。
これだけの思いを込めて選び抜いた数々の洋服たちを実家の整理に伴い、処分しなければならない。
まだまだ書き足りないため、明日③に続く。