【小説】私は空き家(さぬき市築57年)2
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秋晴れの日曜日。
朝からあきらさんがやって来た。今日は娘の“のりこ”さんも一緒だ。
雨戸を開け、空気の入替えを行っている。
お昼過ぎ、スーツ姿の男女が2名やって来た。
どうやら、私の内覧に来たらしい。
「遠い所を、わざわざありがとうございます」
2名を丁重に出迎えたあきらさんに、スーツ姿の男性が「いえいえ」と明るく返す。
「私たちは車なので。2時間足らずで来れました」
男性の言葉に、女性も笑顔で頷いている。
「妹はまだ到着していませんが、良かったら一通りご覧になっ