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私は空き家

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空き家となってしまった住宅の悲哀と再生の物語。 「空き家」視点の小説を通じて、【株式会社フル・プラス】の空き家活用事業をご紹介いたします。 ※『私は空き家』はフィクションです。…
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#実家じまい

【小説】私は空き家(吹田市築53年)3

3 「はじめまして。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」 梅雨晴れのある午後、ス…

【小説】私は空き家(吹田市築53年)2

2 今にも雨が降り出しそうな、どんよりとした曇り空の午後。いつものように、ナツミさんとミ…

【小説】私は空き家(吹田市築53年)1

1 「あ、懐かしい。こんな写真が出てきたわよ」 色褪せた写真を手に、次女のミチエさんが長女…

【小説】私は空き家(さぬき市築57年)エピローグ

エピローグ 誰からも使われていない家。 本来大切な資産であるはずが、時の移り変わりと共に…

【小説】私は空き家(さぬき市築57年)4

4 朝晩の冷え込みが日増しに強くなり、木々が美しく色づき始めた。 今日は木曜日。 昨日のお…

【小説】私は空き家(さぬき市築57年)3

3 翌日の朝、今日も秋晴れ。 親戚の“のぶお”さんとその奥さんの“あき子”さんが、車でやっ…

【小説】私は空き家(さぬき市築57年)2

2 秋晴れの日曜日。 朝からあきらさんがやって来た。今日は娘の“のりこ”さんも一緒だ。 雨戸を開け、空気の入替えを行っている。 お昼過ぎ、スーツ姿の男女が2名やって来た。 どうやら、私の内覧に来たらしい。 「遠い所を、わざわざありがとうございます」 2名を丁重に出迎えたあきらさんに、スーツ姿の男性が「いえいえ」と明るく返す。 「私たちは車なので。2時間足らずで来れました」 男性の言葉に、女性も笑顔で頷いている。 「妹はまだ到着していませんが、良かったら一通りご覧になっ

【小説】私は空き家(さぬき市築57年)1

1 月のきれいな夜。 数日前の熱帯夜がうそのように、今晩は涼しい風が吹いている。 静かな夜で…