輝くな!アラフォー【#2021年のおすすめマンガ】
こんなマンガを待っていた…!
竹内佐千子・著『沼の中で不惑を迎えます。輝くな!アラフォーおっかけレズビアン!』。
このタイトル。
ちょっともう、どこから突っ込んでいいのかわからない。
でも私の中で、春にNHKのアニメで見た『赤ちゃん本部長』の作者というだけで、手に取るには充分だった。
『赤ちゃん本部長』の舞台はオフィス。
主人公はおっさん(見た目は赤ちゃん)だけど、いろんな価値観があっていい!という主張のステキなアニメだったからだ。
で、今回は『沼ー』である。
独身、実家暮らし、追っかけ対象は男子で、レズビアンの漫画家 VS 既婚、2人の子持ち、非オタの担当編集者
いや、別に"VS関係"でも何でもないのだけど。
とにかく、アラフォー、女性、という共通項しかないふたりが、家族とか、推しとかの存在を通して、わかりあったり、わかりあえなかったりする、コミックエッセイである。
いやぁ、笑った、笑った。
"推し"が、まさかの結婚!?
そのポスター、剥がす?剥がさない?問題とか。
同居する60代男性(実の父親)は、どれだけ家族の言うことを聞かないか問題、だとか。
(いや、このモンダイは、親が70や80になっても変わらないよ、と思う…)
健康、お金、老後…。
誰もが気になる、将来のハナシ。
不安な先行きを、ぶっちゃけながら面白おかしく描いている。
同じ立場で、「あーわかる、わかる」と共感したり、理解出来なくて、「どゆこと!?」と驚愕したりしながらも楽しめる作品だ。
かつて女性に「輝け、輝け」と要求する時代があった。
「仕事でも家庭でも活躍」だの「内面から輝く」だの。
世の中がそんな風潮だったもんで、私自身も「輝くためには!?」なんて、ジタバタした。
「女性」とか「キャリア」なんて名のつくセミナーには必ず足を運んだし、大企業の取締役まで勤めたバリキャリ女性の講演会を聞きに行ったりもした。
世間の波に取り残されまいと必死になった。
でもある日、気がついた。
…これ、ムリじゃね?もう頑張りたくない!と。
私は、結婚も子育てもしていない。
だけど仕事と家事と親の介護と看取りも経験。
なんかもう、疲れちゃったのだ。
これまでむちゃくちゃ頑張ってきたのに、さらに輝け!とか、どゆこと!?
全方位に向けて、頑張るのはやめよう。
頑張りたいことだけ頑張ろう。
この本では、
ただでさえ選択肢の多いこの世の中で、幸せのために選択しない勇気も必要。
って、言ってくれる。
私は、誰かに「輝かなくていい」と言われたかったのだ。
↑こんなこと、誰も言ってくれなかったよね…。
名言の数々がしみる…。
紹介動画もあったから、それも貼り付けときます。
この動画が心の琴線に触れた方は、ぜひ本編も読んでいただきたい。
痛々しいほどの自虐、意地悪なくらいの人間観察、そういうコミックエッセイは読み飽きた。
でもわかりあえない他者を、ありのまま楽しく読んで昇華したい。
そんなあなたにオススメ。
気になる方は、試し読みだけでもどうぞ。