“シンパイ”にふり回されてない?
感情のことについて学ぶ時、
法政大学文学部心理学科の渡辺弥生教授の記事は
とてもわかりやすくて勉強になります。
『インサイドヘッド2』はぜひ
これから思春期に向かう子どもたち、
今まさに思春期の子どもたち、
そしてお子さんをもつ親御さんにも
見てもらいたい映画です。
“感情”についてのお話なので、
子どもに関わらず、
全ての大人に見てもらいたい
映画です。
思春期の子どもたち(大人ももちろん)が
どれだけ複雑な感情を
心の中にもっているのかというのが
よくわかります。
特に思春期になると、
はじめて出会う感情
(“シンパイ”や“ダリー”など)
がどんどん現れて、
自分のことが自分でもよくわからない
というような戸惑いが
すごく多くなってくる年頃なのかと、
今、向き合っている中学生たちを見ていても
日々感じています。
以前、「思春期と不登校」の研修を受けた時、
奈良女子大学の伊藤美奈子教授から、
脳も身体も、
思春期というのは
ぐんぐん発達している途中で、
“アクセルの脳(大脳辺縁系)は
数年で急激に発達してはやく完成
(ホルモンにも強く影響)するけれど、
それを制御するブレーキの脳(前頭前野)は
4歳から25-30歳まで時間をかけて
完成する”
というお話を聞きました。
思春期は
アクセル全開!だけど
ブレーキがうまくきかない!!
という脳の状態なので、
本人も感情のマネジメントが
かなり難しいようです。
思春期外来というものがあるくらい、
10歳-15.20歳というのは
精神疾患も起こりやすい年齢だと
言われています。
これはなかなか
本人にとっても、
その周りにいる大人にとっても、
難しい年頃になっていきます。
ただ、ネガティブな感情が
あってはいけないものかというと
そうではなくて、
感情には良いも悪いもなく
この映画を見ていると、
どんな感情も
ライリー(このお話の主人公)を
“守る”ために働いている感情
だということが、
“ライリーのために”
“ライリーが大好きだから”と
一生懸命に動き回る
感情のキャラクターたちを通して
あたたかく伝わってきます。
どんな感情も愛おしく思えます。
この映画を観ていると、
私が今向き合っている
思春期の子どもたちと重なって、
どんな感情も含めて、
子どもたちのすべてを
ぎゅーっと
Big Hugしたくなりました。
そして
子どもだけでなく
私たち大人の複雑な感情も
同じように
自分を守ろうとしてくれているもの。
それらのどの感情も
人間としてあって当然で
とても自然なもの。
ただ、
それに振り回されすぎると
しんどいし、辛いです。
振り回されていると
人にも当たってしまったりします。
そこで、
まずは自分の中に
どんな感情があるのかに
気づいてあげること、
ジャッジせずに
ただただあるんだなぁ、
そうなんだなぁと
みつけてあげること
が大切になります。
そうして客観視できることで、
次にどうするかを冷静に考えて
行動を選んでいくことができます。
それらの感情に振り回されないように
していくことがポイントになります。
この記事で渡辺先生は
感情に振り回されそうになった時、
と書かれています。
まさにこの映画の中のシーンにも、
ライリーが悪い記憶ばかり思い出して
自己嫌悪になっているところで
この方法が出てきます。
これらは私自身よくやっていることで、
映画を見ながら、すごく共感した部分です。
私はよく
だれかからもらった言葉を
“お守り”や“ギフト”
として、
スマホやノートに書き留めています。
自分が情けなくて
無力感でいっぱいになったとき、
もう無理だと諦めそうになったとき、
恥ずかしくて自分なんてダメダメだと思ったとき、
そんな自分自身を否定して
ネガティブループにハマりそうな時に、
その“お守りギフト”を
見返したり、その時のことを思い出したりして
自分を勇気づけています。
だれかの言葉が
だれかの次への一歩になる。
実は、私の“お守りギフト”は
子どもたちからもらった言葉が
かなり大きな割合をしめています。
子どもたちの純粋な言葉は
私にとって、
いつでも
次に進むための
勇気、希望になっています。
ふとかけた
その一言が
だれかの“お守り”となって
大きな大きな支えに
なっているかもしれません。
そんな良い循環を
自分から生み出していくためにも、
まずは自分自身の感情に
ちゃんと気づいて
受けとめてあげたいです。
ある中学生が、
自分の感情を
私と一緒に見ていったときに
“自分の中に、
こんなにたくさんの感情があるなんて
知らなかった。
こんなにがんばってくれてたんだ。
頑張ってきた自分に
ありがとうって言いたい。”
と教えてくれました。
自分の感情に気づいて
労わってあげられることは、
次への一歩を踏み出すための
ものすごく大きなパワーになります。
子どもたちと
自分の気持ちを優しく見つめて
うまく付き合っていく方法を、
これからも
一緒に探究していきたいです。