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黒部・宇奈月②水力発電を知る💧黒部峡谷鉄道トロッコ電車の旅🚃【ひとり旅 富山県#12】

この電気がどのようにして作られたか”など考えたことがなかった私が、初めて富山県の黒部を旅して、水力発電の歴史や黒部の地形などの知識を得るだけではなく、実際に自分の目で見て感じることの重要さを学ぶ素晴らしさを体験しました。

そんな2泊3日飛騨高山・富山の旅の最終日は、トロッコ電車に乗って黒部渓谷を観光します。

宇奈月温泉

富山駅から最寄り駅の宇奈月温泉駅に到着。
宇奈月温泉は、黒部川の電源開発とともに大正時代から発展してきた温泉地です。黒部川上流の黒薙温泉から引湯しています。

駅前の足湯

黒部峡谷鉄道本線(トロッコ電車)

元々は電源開発のための専用鉄道であり、現在でも一般旅客用の列車とは別に、沿線にあるダム・発電所への資材運搬列車や、関西電力(関電)関係者専用列車が運行されています。

富山県観光公式HPより

トロッコ電車は、宇奈月駅~猫又駅の往復2時間の乗車です。
能登半島地震での東鐘釣山落石被害の鐘釣橋が年内の復旧が難しい為
今年は、猫又駅で折り返し運転になっています。

新ルート黒部宇奈月キャニオンルート

電源開発の軌跡をたどる新ルート『黒部宇奈月キャニオンルート』

今年は、黒部峡谷の欅平から上流の黒部ダムまでの約18kmにわたる新ルート黒部宇奈月キャニオンルートも公開予定でしたが、黒部峡谷鉄道の全線開通できないことにより公開が延期になりました。

キャニオンルートとは、黒部川第四発電所の建設などに伴い、日本電力(株)や関西電力(株)が工事用ルートとして整備したルートで小説にもなっている『高熱隧道』など先人たちの想像を絶する自然への挑戦の跡が刻まれているトンネル内部を実際に見ることができます。

乗車

天井にカメムシ🪲

入場は、10分前からでしたが、景色がよく見える席を取るために早めに並びました。白川郷も黒部も温暖化の影響でカメムシが大量発生していました。
紅葉が遅れたりカメムシが大量発生したり温暖化の影響を感じます。

トロッコ電車に乗車すると黒部の歴史や見どころなど案内放送が流れます。
ナレーションを担当しているのは、富山県出身の室井滋さんです。

黒部川水力電源開発

黒部川の水力電源開発は、大正時代から始まりました。

水力発電は、水を高いところから低い所へと流れる時の位置エネルギー利用して発電機を動かし、電気をつくる発電方法です。

北アルプスの高い山々に囲まれた黒部渓谷は、降雨量が多く傾斜が急で険しい河川があることから水力発電に適した場所でした。

しかし、人が踏みいったことのない険しい山間部に巨大な設備を建設するのは通常の工事とは比べものにならない危険と困難さがあります。

ダム本体以外にも、アクセス道路、ダム建設に伴い川の水を迂回させるためのトンネル、発電所、原石山などすべてを整えねばならない壮大なスケールの工事でした。

世紀の難工事と言われた黒部ダム建設の苦闘や特に難航した破砕帯と遭遇したトンネル工事を描いた小説&映画『黒部の太陽』で当時の様子など観ることができます。

そして現在。電力の主役は電力を安定して供給できる火力発電等へと移り変わりました。しかし、火力発電は発電時に燃料を燃やす過程で、大量のCO2を排出します。そのため、環境に与える影響が大きく、地球温暖化を促進させる一因となっているのです。

2050 年カーボンニュートラル達成と、2030年温室 効果ガス 46%削減の達成が求められる現代においては、水力を含む再生可能エネルギーの拡大が重要であり、安定性に優れた脱炭素電源である水力の最大限の活用が必須になっています。

冬の黒部を守り続ける人たち

関西電力HPより

黒部峡谷は冬期の積雪が多く、雪崩による被害の危険性が高いことから冬期(12月 ~ 翌年4月中旬まで)は、運休します。

職場として働き続けるダム水路員は、冬の間も6日間勤務3日休日の4人体制で監視にあたっています。

冬期の運休期間中も関電関係者がダムや発電所との間を移動するため、冬期歩道と呼ばれるコンクリート製のシェルターが、トンネル区間を除くほぼ全線にわたって線路沿いに並行しているそうです。

冬期歩道では、逓送(ていそう)さんと呼ばれる建設会社職員らが物資輸送を徒歩で行っています。

関西電力HPより

毎日2人1組で生鮮食料品や業務書類など3~5kgの荷物を上流にあるダム水路員に届けています。

片道約10km、2時間弱の工程です。この方たちのおかげでダム水路員がしっかり仕事ができているのです。

黒部の地を訪れて

教科書で学んだはずの戦後の黒部の電源開発など、まったく忘れていてディズニーランドのアトラクション、ウエスタンリバー鉄道に乗るような気分で、景色を楽しむ為にトロッコ電車に乗りました。

しかし、トロッコ電車に乗り、黒部の高い山々に囲まれた景色を眺めながら、水力発電の歴史を知り、私の視野は一気に広がりました。

黒部に足を踏み入れることで、水力発電によって戦後の日本が発展してきたこと、そして今も私たちが快適で豊かな生活を送れるのは、多くの人たちの努力の結果であることを知りました。

日々の暮らしを支えてくれているすべての人たちに感謝の念が心に芽生える旅となりました。

最後まで読んで頂きありがとうございました🌟