『幸せの音』ショートショート38
「幸せの色は何色?って聞かれたらピンク色って答えるんだけど、幸せの音はどんな音?って聞かれたらなんて答えるか迷うんだよね。なんて答える?」
「好きな食べ物は何?って聞かれてハンバーグと答えるかのように、幸せの色について答えているところも気になるけれど、幸せの音だって?」
幸せの色も、幸せの音も考えたことがない。幸せな色や音が何かなんて意識したこともなかった。なかなか面白い質問をしてくる。
「幸せの色はやっぱりピンク色でしょ!で、幸せの音はなんて答える?」
「ちなみに、幸せの色は黄色かなって思うけどね。幸せの音はレ# かな」
「黄色!?黄色もたしかに悪くないけど。レ# って。出た出た。小さい頃からピアノやってる人はそういう答えになるんですね」
「レ# で悪かったな。急に敬語になるし…」
「ドーン!とかパーン!とか、そういうのをイメージしてたのにレ# なんて言うから驚いちゃったわけ。でも、そんな話をしてたら幸せの音をイメージできた。"シャンシャン"って鈴の音が良いかも。クリスマスを感じるやつね。プレゼントがもらえる!って気持ちにもなるし」
「音って言われたから音で答えただけなのに。幸せの音、シャンシャンという鈴の音か。それもクリスマスを感じるもの。たしかに悪い気はしないし、気持ちが高まるな」
レ# は正解じゃなかったようだが、クリスマスをイメージするシャンシャンという鈴の音は、幸せの音と言ってもいいかもしれない。
「でしょ!?聞いておきながら1つ答えが出ちゃった!レ# のおかげかも!」
「レ# だっていい音だぞ。レが半音上がってるんだから、半音上がってる分、気持ちも上がるもんだ」
「ごめん。よく分からないや」
「もう分からなくていいよ。シャンシャンに決まったようだし」
幸せの音。それはきっと気持ちが高まる音だったり心が落ち着く音だったりするのだろう。自分にとって幸せの音は何だろう。
ドドレドファミから始まる誕生日のメロディーも幸せな気分になるけれど、もっと良いものがありそうだ。
幸せの音、探してみよう。