
おばあちゃんの話
今日、うちの母親が和菓子を買って帰ってきた。
それは、30年前に亡くなったおばあちゃんの大好きな和菓子。
おばあちゃんを思い出したので、思い出話をしてみます。
おばあちゃんは、実は血がつながってません。
私が「おばあちゃん」と呼んでいるのは、おじいちゃんの後妻。
つまり親父の「継母」です。
親父の実の母親は、親父が小学生の時に亡くなっているので、私は存在しか知りません。
でも、おばあちゃんにとっては「孫」で。
自分の子どもの子ども(言ってみれば本当の孫)よりもかわいがってもらいました。
当時、私の住んでいる地方には新幹線などなくて。
電車(というより汽車)であちこち連れてってもらったもんです。
そんなおばあちゃんも、私が小学生の頃に癌が見つかって入院。
中学に入ったあたりから、ほぼ入退院を繰り返す日々でした。
中学と病院が近かったので、学校の帰りに病院に寄ったりもしました。
下手すれば私の母親よりも一緒にいたかもしれません。
おばあちゃんは、私を毎日見ていたので、反抗期もおばあちゃんが喰らうという、今思えばとんでもないことをしていた時期もありました。
私が高等専門学校に上がるときから家から出ていましたので、それからはあまり一緒にはいなかったけど、たまに帰るとおばあちゃんが一番話しかけてくれたような気がします。
で、私が実家に戻ったのは卒業がほぼ確実になり、下宿の必要がなくなった20歳の秋。
その頃にはおばあちゃんの体には全身にがんが転移していて、ほぼうちにいても寝たきりの状態。
私が実家に戻って間もなく、病院へ入院となりました。
そのまま冬を迎え、もういつ亡くなってもおかしくない状況の中で、私が成人式を迎えました。
この頃にはおばあちゃんは、もう意識があるだけ。
自分で立てないし、食事もとれないし。
腕には点滴、呼吸器はつけっぱなし。
そんな状態でした。
それでも、私は成人式に向かう前に、スーツ姿で病室に行きました。
私の姿を見て、おばあちゃん、泣いてました。
そして病院にあるペンと、とりあえずそこにあった紙に、おばちゃんの力を借りて、本当に最後の力を振り絞って一筆書いてくれました。
「ありがとう おめでとう」
もはや、みみずが這ったような、ブレブレの文字でしたが。
喜んでくれていたのだけは、はっきりわかりました。
おばあちゃんが、生きている間に書いた文字はこれが最後でした。
その2週間後にはほぼ意識はなくなり、3月末に天国へと旅立ちました。
74歳だったかな?
当時はおおらかな時代。
私が母のクルマを借りて、病院まで行って。
亡くなったおばあちゃんをうちまで連れて帰ってきました。
現在の法律では(当時も?)思いっきり法律で禁じられてますけどね。
連れて帰ってきた日の、夜の星空は今でもはっきり覚えています。
それから30年経っているんですけど。
時々思うんです。
今おばあちゃんが生きてたら、この姿、この状態をどう思うかな、って。
転職ばっかして、出世もろくにせずに。
これって、おばあちゃんが見たらどう思うんだろう。
別に、他の誰かにどう思われてもいいんです。
でも、おばあちゃんにはどう思われてるか。
そっちの方が気になります。
今年、私の次男が成人を祝う会(20歳の式典)を迎えます。
そうなるとやっぱり、自分の成人した時を思い出して。
あの時は内定取り消し喰らったり、いろいろあっても何とか就職先が見つかって。
これからって時でした。
新卒の入社式の前日がお葬式。
初七日は仕事で列席できませんでした。
結局何の恩返しもできずに亡くなってしまったことが残念です。
それだけに。
このままじゃいけないよな、って思ったりもして。
どうすれば天国のおばあちゃんに喜んでもらえるか。
最近はそれだけを考えています。
社会貢献?
一人で立派にやっていけてる姿?
組織で頑張ってる姿?
いろいろ思ったんですけど。
結局はおばあちゃんが天国で「あの子らしいわね」って思いながらも、ばあちゃんが誇れる孫(自分)になりたい。
それが結論でした。
なので今は、自分を信じるしかありません。
とりあえずまだ会社員として、会社に籍がありますので。
まずはそこで職務を全うすること。
ある程度やり切った、と思うところまであと少しです。
それさえ済めば、あとは独立を、と考えています。
独立して、自分の好きな車(それはおばあちゃんもよく知ってるので)の仕事を通じて社会に貢献しつつ、対価をいただいて。
その対価をもとに社会に貢献する。
今から私に出来そうなことで、おばあちゃんに喜んでもらうにはこのくらいしかないんだろうな、と思ったりもしてます。
でも、天国からおばあちゃんの声も聞こえたりします。
「あんたが好きなようにやればいいよ」
とは言えど、私にも一応感情があるので。
それだけで済ませるつもりもありません。
好きなようにはやるけど。
その結果は可能な限り、おばあちゃんが自慢できるものにしたい。
それはそのまま、自分のためにもなるはずなので。
目先のことに一喜一憂するのではなく。
本当にしたいことは何なのか。
ぶれない気持ちを今年は大事にしたいです。
いいなと思ったら応援しよう!
