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僕、ベタ日記③おやすみの時間

ある夜のこと。水槽の中のヒーターに横たわり、僕は夢を見ていた。ブルーやブラックと一緒に泳いでいる夢。僕らベタは闘魚だから、一緒に泳ぐことなんてフツーはないし、そうしたことなんて一度もないのにね。不思議だけど、懐かしい気分。ついこの前までは並んで過ごしていたのに、それはもうずっと遠い昔のことのよう。『今』はここでの生活が僕にとっての日常なんだ。

その時、強い視線を感じて、反射的に体が動いた。夢の続きはまたこんど。ガラス面にゆっくりと泳いで近づくと、そこにはこれまでに見たこともない不安気なママの顔があった。『ひゃー。ビックリしたー』と言いながら、すぐさま何かを調べ始めたのが分かった。知ってるよ!人間って、すごいよね。手の平に小さな箱がくっついてて、そこを操作すると、色んなことが調べられるんだよね?

でもね、まだ僕が《売り場》に居た頃、ヒレに傷のある古株レッドがこんなことを言っていた。『あれは便利だけど、気をつけろ!魂抜かれるぞ!』ってね。僕らにその箱は付いていないのに、どうしてそんなことが分かるのさ?って、皆で笑ったけど、本当はレッドの言う通りちょっと怖いものなのかもしれないと、ここで暮らし始めて思った。もしかして、レッドは前に人といたことがあったのかな?

どうやらママは《僕が死んじゃった…》と勘違いしちゃったみたい!そっかー。ベタの寝方を知らなかったのなら、驚くのも仕方ないかもね。僕らは横たわったり、何か支えになる物に身体をくっつけて眠ることがある。ベタはヒレが重いから、泳ぎ続けるのは疲れるんだ。だから、休む。あとは、熱い地域の出身だから、寒いのが苦手。この夜、僕が暖かい寝床を求めていた理由、分かってくれたかな?

実は次の夜には、娘ちゃんを同じ理由で驚かせちゃった…。これには咄嗟にごめん!って謝った。『寝てるのに、目が開いているー。ちょっと怖いね…』って聞こえたけど、それっておかしいの?仲間は皆、そうだったから気にしたことがなかったけど、目を瞑って寝るって、いつ敵が来るか分からないのに…怖くないのかな?
僕らのフツーが普通じゃないこと。まだまだ、ありそうだね。その違いも楽しんでいけたら嬉しいな。
またね。

僕、ベタ日記③を読んでいただき、ありがとうございます!!この夜は、本当にびっくりして、40年物の心の臓が壊れるかと思いました…。そっちの方が怖いって?まぁ、以前、飼っていた魚たちには見られなかった寝方だったものでして…。でも、その理由が分かりホッとしました。経験からも、生き物、とりわけ魚の飼育が難しいことを知っています。どんなに餌量や水質、水温などに気を付けても、亡くなってしまう子が多いのも悲しいけれど、現実。(故に、常にそのことを覚悟、想定している自分もいます)だからこそ、まずは『今日』一緒に過ごせることを手放しに歓んじゃおう!この瞬間に感謝しよう!と思っています。モアと一日でも長く、一緒に過ごせますように。

*後日、《おやすみリーフ》というベタにとってのベッド!という触れ込み商品を購入しました。そこで寝ているかって?…寝ているようですが、通りすがりにチラ見するだけで、素早くリーフから離れます・笑。何か後ろめたいことでもあるのでしょうか…。かわいい♡

それでは、次回もどうぞお楽しみに。



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