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2歳程度の言語遅延が平均値に。その取り組み:後編

後編では、当教室が行ったレッスン内容やその取り組みについて、お話します。
【心強い支援者の存在】こちらのお子さんの場合、お母様が早い段階で、お子さんの言語遅延に気付かれ、対策を取られました。そして、いざ、言語発達を促そう!と思った時に、お子さんを取り囲む環境が恵まれていたという点も成果を挙げることに大きく関係していると思います。

○ご家庭・・・お母様を中心に、お子さんの言葉の遅れに理解があり、またそれに対し、日常生活の中での語り掛けやカードを利用した学習などを通じ、改善を目指された。いつも、とても優しいお母様で、お子さんのお話からも、『ママ、大好き!!』がいつも伝わってきます。

○幼稚園の先生方・・・お母様は園の先生方にも、様子を伺うなど、相談をしていました。先生方からのアドバイスなどのお話を聞く限り、お子さん一人一人を見ている園だと感じていました。

○言語聴覚士・・・当教室の他にも、月に2度程、ことばの教室に通われていました。そこでのテスト結果やお話などを聞き、私も参考にしながらレッスンの組み立てを考えていました。

他にも習い事やお子さんを囲う人間関係などもありますが、言語発達に関して特に関わり・影響が大きかったのは、上に挙げた3つの存在だと思います。私自身は、直接、他の先生方とお話する機会はありませんが、お母様からのお話で、他の場所での様子もよく分かりました。直接は関わっていないけれど、私にとってもお子さんの言語遅延に理解があり、対策に協力してくれる存在は、とても心強いものでした。

【約7ヶ月のレッスン内容】
入会時、5歳(年長さん)だったお子さんは、約7ヶ月間、お教室に通っています。

《これまでのレッスン回数》
対面レッスン×27回(体験レッスン・遊んで学ぼうレッスン・数のおけいこ各1回含む)添削レッスン×4回

《主なレッスン内容》
・前半は、絵カードや言葉カードを中心としたレッスンで、言葉の力を促す
・理解力が上がり始めた後半は、ペーパーを用いた学習が中心
お話の理解・お話作り・反対言葉・言葉遊び・昔話・季節の理解・常識問題・仲間あつめ・ようす言葉・動き言葉・十二支・交通ルール・音読などから、毎回、4から5個の課題に取り組む
面接ごっこ・インタビューごっこ等のごっこ遊び
付け足し絵や絵日記、お手紙の作成
・絵本の貸し出し→読み聞かせの習慣
・使用したテキストはこぐま会のものが中心。その他、自作プリント
・毎回の宿題・・・レッスンでの反復をメインにした課題

《心掛けたこと》
言語力の向上・習得が目的だったため、対話や語り掛けを多く取り入れた
・毎回、レッスン後には折り紙や塗り絵などをしながら、フリートークの時間を設け、私とお話する時間を十分に確保した
・宿題には、言葉の意味集めや季節探しなど、《調べ物》の宿題や絵日記などの《自分で考え、表現力を養う》課題を出した

【家庭学習とお子さんの特技】このお子さんの場合、家庭学習が定着しており、学習量も多かったので、家庭での学習とレッスン内容が被らないよう気を付けました。そのためには、お母様との情報の共有が不可欠です。家庭学習があるので、毎回の宿題は簡単なもの、すぐに出来る分量にしました。また、レッスン中のコミュニケーション・対話から、言葉を引き出すことに重点を置いていたため、他のお子さんに比べ、対話時間は長く、対話>ペーパー学習の比率の元、学習を進めていました。

このお子さんの場合、確かに言語力は実年齢よりも、低かったのですが、その分、数や図形の認知力・理解度はかなり高かったです。おそらく、その能力は実年齢を超えていると思います。はじめの方のレッスンでは、全体のバランスも考え、数や図形の学習も取り入れていましたが、ほとんどの課題が教えなくても、すらすら進むので、お母様と相談の上、やめました。数のおけいこは、家庭学習だけで十分と判断したので、言葉の学習に絞ったレッスンに切り替えたということです。

【成長を実感】今回、言語聴覚士さんのテストによる結果で、遅れを指摘されていた言語分野のスコアが、年齢相応の平均値に入りました。また、お母様の希望通り、通常級への進学が決まっています。とは言え、この辺りについては、現時点での話です。就学後に遅れが見られたり、本人の困り感が出てきた際には、都度、方向修正を入れていくとのお考えを聞きました。今の状態からは、学習面では特に問題はないと思います。しかし、学校という集団生活の中では、学習面以外にも、必要なスキルは多々有ります生活力・協力し合う心・自立心・コミュニケーション力・健康面などです。それら、総合力が必要となる中では、ただ単に、学習面で問題がなければいいという訳ではありません。なので、就学後、何かしらの困り事が生じる可能性、今は見えていない問題点が浮き彫りになることも当然、頭には入れています。しかし、こちらのお母様なら、きっと、お子さんの様子の変化にも迅速に気付かれ、対応されると思っています。もちろん、私も出来る限りのサポートはしていくつもりです。
最近は、お母様から、お子さんが紙芝居を作ったり、お手紙を書いたお話を聞くことが増えました。《無から生み出す》ことが難しかった、入会当初から考えると、大きな大きな成長です。

【何もしなくても、結果は同じだった可能性も】2部に渡り、記事の締めとして、最後に一つ。このお子さんが2歳遅れの言語遅延から平均値(実年齢相当)になったこのことは、《結果》です。この結果だけを見ると、そのために取り組んだ言葉の学習の効果であるとの見方が出来ます。当然、放置するよりは、ずっと良かったと思っています。一番は、お子さん自身の自信に繋がりました。ただ、もしも・・・仮に・・・特別なことを何もしなかったとしても、同じ結果が得られたかもしれません。それは、子ども達にはちゃんと伸びしろがあり、それぞれ伸び時期というものがあるからです。伸び時期が遅い子、早い子、伸び幅が大きい子、小さい子が居るのは当然のことです。なので、今、もしも、お子さんの発達において、何らかの不安や心配事を抱えているご家庭があれば、どうか、焦らず、目の前のお子さんの姿、頑張りを受け止めてほしいと思います。その上で、もう少し伸ばしたい部分、弱い部分があれば、発達を促すための取り組みをしましょう。その取り組みは、決して、ハードなものである必要はありません。お子さんと一緒に遊びの延長として、学びに繋げていく、日常生活での関わりで出来ることは、たくさんあります。これまでのnoteでも、その取り組みについて記事にしているので、どうぞご参考下さい。

《来た時よりも 笑顔で帰る》これが私の方針です。お母様もお子さんも、そして私も、笑顔『では、またね!』とご挨拶することは、とても気持ちの良いことです。子どもに何かを教える時、習得させる時、叱ったり、怒ったり、ましてや脅したり・・・そのような手段は不要ですし、最適な方法ではありません。子ども達は、日々、ちゃんと成長しているので、その様子を見ながら、応援していく・背中を軽く押す・きっかけを与える、これらをしていくことで成果は得られると思っています。その際、《寄り添う心》《優しさ》これらを携えていてほしいと願っています。

こちらの記事にはプライバシーの観点から、書けていない部分もあります。もう少し詳しいことを聞きたい方や、ご質問がある方はどうぞ、お気軽にお尋ね下さい。

それでは、次回もどうぞ、お楽しみに

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