現れ始める「VR建築」─「第0回VR建築コンテスト」レポート〜はじまってから編〜
こんにちは。
FUKUKOZYです。
先日2018年12月16日に結果発表が行われ、大盛り上がりのうちに幕を閉じた「第0回VR建築コンテスト」。
前回の記事では、コンテストが公開されるまでのさまざまな検討を紹介しました。
今回は、登録・提出受付が始まってからを描く「はじまってから編」。
公開後も、質問対応や中間お宅訪問などさまざまな人に軽率に参加してもらえるように動いた運営チームの色々な努力をレポートしていければと思います。
2018年10月28日に満を持して公開された「第0回VR建築コンテスト」。
登録・提出受付期間は2018年10月28日〜11月30日でした。
今回は時系列に、その期間の動きを追ってみましょう。
リアクションの大きさ、やってみないと分からないこと─2018年10月28日〜10月29日
発表後、どのくらいの反響があるのかハラハラしていたところ、コンテストに反応される方、すぐに登録される方が現れます。
運営メンバー・審査員のmozさんからこんな連絡も
翌日には印刷用データができてました(スピード感)。
コンテストに関する質問も続々上がってきました。
頂いた質問は運営でディスカッションした上で返信していました。
しかし、思った以上にリアクションがあったので、「よくある質問」のページも急遽設けることに(ここまで1日)。
そんなわけで、「よくある質問」ページをつくってコンテストに関する質問について対応していくことにしました(ここまで1日)。
そんなこんなで対応してたらいつの間にか登録者数が20人に(ここまで1日)。
運営メンバーも思った以上のリアクションのよさに戸惑いつつ嬉しい悲鳴をあげました。
ワールドの状況は常に360°画像で見れるようにしていましたため、こんな報告も。
何事もやってみないとわからないですね(西野カナ現象!)。
運営メンバーのそれぞれの環境で試し、「西野カナ現象」を解決するために試行錯誤しました。
コンテスト公開前に色々と運営メンバーで詳細を詰めていたものの、いざ始めると、さまざまな質問や課題が。
やってみないと見えなかったことがある、ということが分かりました。
「軽率に」提出される作品たち─2018年10月30日〜11月13日
公開されてから2日ほど、目まぐるしく増えるリアクションに運営が対応している中、早速作品が提出されました(公開から3日目)。
初提出作品はgizmoさんの「フートンでぬくぬくハウス」でした。
あまりのスピード感に運営メンバーが驚いていたところに、さらに2作品目の提出が...!
2作品目はSAN_KAKUさんの「Boilled Egg」。
すでに「家」から逸脱したこの作品が提出されたことにより、この後カオスさが加速する「第0回VR建築コンテスト」の多様性の萌芽が伺えます。
僕が関わるような通常のコンペでは、締め切り前に一気に作品が提出されてきます。
しかし、今回のコンテストの目標は「軽率にチャレンジしてもらう」こと。
その目標に共感してくれたかのように、公開まもなく提出される作品たち。
そこで、進捗を共有していくために、ワールドの様子を記録していくことにしました。
公開から3日目のワールドの様子。
すでに3作品が集まる。
予想される提出作品の多さに戦々恐々のメンバー
提出される作品が多くなれば、ワールド上にどう配置していくか、道をどう敷いていくか、つまり「まち」のつくりかたが重要になります。
ワールドの公開に向けて、レイアウトの検討がこの辺りから始められていました。
11月に入った時点で登録者数は51人。
コンテストの登録者数は日を追うごとに順調に増えていきました。
そこに「空間」が現れる=「VR建築コンテスト」途中経過─2018年11月14日〜11月19日
順調に増える作品たち。
応募者のリアクションの多さに、運営側からもコンテストを楽しんでもらえるために仕掛けよう、と松本ちなつさんから提案がありました。
ここでxRArchiのノリのよさが発動します。
早速、準備を進めて11月19日に撮影を行い、松本ちなつさん編集のもと、「途中経過」動画が11月23日に公開されました。
11月19日時点で提出され、ワールドに配置された「VR建築」を運営メンバーで訪問した様子を撮影・編集した動画を公開しました。
普通のコンペでは提出された後の自分の作品の扱いはいざ知らず。このコンテストでは自分が提出した作品をアバターが訪問して、リアクションを楽しむことができます。
「建築」はそれ自体でも自立することができますが、人がいて、使われないことには存在を保ち続けることはできません。「VR建築」も同様、アバター(人)が入ることでその価値がはじめて見えてくるのではないでしょうか。
コンテストの中間報告として「途中経過」動画を撮影して、図らずしも、このコンテストの価値のひとつが提出された作品の中でアバター同士が交流し、「空間」を楽しむことにある、ということに改めて気づけたのではないかと思いました。
提出された作品はそれぞれユニークな体験性を持っていて、そのすべてを楽しめるということは、コンテストをやってみて改めて感じた価値です。
いよいよ提出締め切り!─2018年11月20日〜11月30日
「途中経過」を受け、キャプテンのちなつさんから、
「もっといろんな賞を設けたらどうか?」、
「1作品ずつ、審査員からコメントがほしい。」
と提案がありました。
運営メンバーは大賛成。
コンテストに参加した人全員になにかしら得てもらいたい、その思いはコンテストの
初心者にもVRの楽しさを知ってもらって、建築×VR人口を増やす
という目標にも通じるものです。
登録受付・提出期間中もその目標を達成するためにはどうすればいいか、運営メンバーで検討を続けていました。
その間も順調に登録者数・作品提出数は増え、
2018年11月30日23:59に提出締め切りとなりました。
最終的には
登録者数:107名
作品数:61作品
となりました。
粘りのデータチェック─2018年12月1日〜12月7日
登録・提出受付を終えたら、今後はワールド公開に向けて3Dモデルデータをチェックしていく作業に入りました。
印刷されたシートやパースでなく、シェーダやSDKなどさまざまなギミックが実装されている生のデータたち。
制作者の意図を十二分に実現するために個々のデータチェックは、松本ちなつさん、sabakichiさん、龍lileaさんが分担して行いました。
一通りチェックを終えた後、問題点ありそうな作品の制作者には直接連絡を取るなど、問題なく動作を行えるようにするため万全を期しました。
個々の作品のチェックを終えたら、今度はワールドへの配置。ワールドの容量に注意しながらすべての作品を置いてみると...
驚きの負荷。
ですが、その光景は
これまでに見たことのないような光景。
運営メンバーの感動も一入でした。
そして、ここからワールドとして公開するためのデバッグ大会が始まります。
感動的な光景が広がっていても、快適に動作ができなくては十分に楽しんでもらうことはできません。
この工程は今回のコンテストにとっても、とても重要な工程でした。
デバッグ作業は松本ちなつさん、sabakichiさん、龍lileaさん、番匠カンナさん、mozさん、isononatsumikanさん、wanimationさんと運営メンバーが協力して行いました。
浮島の見え方を変えることで負荷を下げるなど、さまざまな方法が検討されました
FPSスカウターで高負荷の要因を探すの図
デバッグはすべてスプレッドシート上で共有して、ワールドの調整を進めていきました。
シートの一部
動作だけではなく、見やすさなども確認して調整していきました
方策の検討
運営メンバーの協力の結果、負荷が軽減され快適に見れるFPSまで調整することができました。
いよいよワールド公開へ─〜2108年12月8日
個々のデータチェック、ワールドのデバッグ作業を終え、いよいよ2018年12月8日にワールドが公開となります。
ワールド公開前には、登録・提出締切後のスケジュールを画像や動画を用いて、広報していました。
wanimationさんによるスケジュール画像
でちでちさん作成による告知動画と共にURLを公開
広報のおかげで公開すぐに多くの方がワールドを訪れてくれました。
ワールド公開後も「バーチャルお宅訪問(+交流会)」や「結果発表」のVR生放送など、さまざまなイベントを仕掛けていきました。
その辺りは次の記事で触れられればと思います。
「第0回VR建築コンテスト〜はじまってから編〜」所感
「はじまるまで編」に続き、小休止的に末席でお手伝いしていた私がコンテストについて所感を述べられれば。
舌休め的に読んでいただければ嬉しいです。
●登録・提出者への丁寧な対応
●動画に(360°)画像にSNS、さまざまなツールを使い倒す姿勢
●登録・提出者への丁寧な対応
コンテストの要項が公開された後に出てきたさまざまな質問に対して、運営メンバーがディスカッションの上、丁寧に返信していたことが印象に残りました。
僕が関わるようなコンペでは、通例、「よくある質問」的な項目を設け、個別の質問に対応するようなことはほとんどありません。
しかし、今回は前例のないコンテスト。想定される質問を一から考えなければいけないと共に、もちろん想定外の質問があることも予測されました。メンバーが逐次丁寧に対応して作成された今回のQ&Aは、今後もとても役立つものになるのではないかと思いました。
何より真摯に対応している姿からはコンテストを成功させたいという姿勢が伝わってきました。
●動画に(360°)画像にSNS、さまざまなツールを使い倒す姿勢
前回の所感でも触れましたが、xRArchiのメンバーはモデリングやデザインなど普段からものをつくっている人たち。
登録・提出期間中も印刷データつくりたいと言えば1日で、告知用動画つくりたいと言えばすぐさまラフがアップ、途中経過動画の編集もこなしてしまう、とさまざまな媒体が使い倒され、広報がされました。
また、特定の広報役だけが告知するのではなく、公式アカウントで情報が公開されれば運営メンバーみんなで拡散、そうした、全員が広報に全力で関わっていくスタイルもコンテストを楽しみながらやっている、という運営メンバーの思いが登録・提出者の方に伝わる要因になったのではないかと感じました。
公開後に行われた「バーチャルお宅訪問(+交流会)」もそんなメンバーの思いが伝わる企画。それはまた次の記事にて。
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