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とある建築系編集者のワールド探索個人的ログ #ワ探アドカレ

#ワ探アドカレ12/7の回です。
6日の記事は三日坊主さんの「ボクがVRでジャンプする理由」です。バーチャル空間における実存と身体性を「ジャンプ」という観点で読み解いたコラ
ムでキレキレで興味深かったです。

VRChatワールド探索部、通称ワ探で週に一度いろいろなワールドを巡っています。「ワールド探索とは?」というのはこのアドベントカレンダー初回を飾った部長のタカオミさんのnoteが詳しいので、ぜひ読んでみてください。

私がVRChatを始めたのは2018年です。
はじめたきっかけについてはこの記事で話したりしているのですが、はじめたはいいものの、このワ探に入るまでは、一人でワールドを巡る日々でした。また、現在でもそれほど頻繁にinしているわけでもないので、この世界について語るには少々役者不足なのですが...

はじめてから3年余り、バーチャル空間は今では日常の一風景となっています。では、なぜ私がこの世界にいつづけているのか、というとそれは「さまざまな人が生み出した3次元世界を体験できる」、これに尽きます。

そして、その体験のあり方もさまざまに存在しています。
私のようにひとりで巡るのももちろん楽しいですが、同じVRChatワールド探索部にいる93さんがこちらの記事

なにが一番面白いかと言うと「VRChatをやっていなければ絶対人生で関わらなかった人たちと遊んでいる」という点です。

ワ探には様々な人がいて(というかVRCには)日本の片田舎で会社員をやっている僕じゃ交わる事のない人と共通の話題で会話するというのは本当に有意義な体験です。

世界の見方~ #ワ探アドカレ

と語っているように、さまざまな人とワールドを探索することで自分では発見できない視点が見える、というのもワールドを巡ることの醍醐味です。

自分が普通に日常を送っていたら出会わなかった人たちと毎週のようにいろいろなワールドに行っているというのは世間的に見れば非常に稀有な体験でしょう。

ワールドを解釈することでコミュニケーションをとる

おそらく(私の場合は)VRChatをやっているだけでは、こうしたコミュニケーションは取れなかっただろうなと思っていて、私は誰かがつくったワールドに込められたものを自分なりに解釈することで、それを媒介として、ようやくほかの人びととコミュニケーションを取れているんだろうなと思っています。

そんなわけで、私はワールドを読み解いたり、解釈することでこれまで、この世界で(と)コミュニケーションを取ってきました。
そして、そうした私の思考の追体験をしてもらうことでワールドの魅力を知ってもらいたいと思い綴られた、個人的ワールド探索ログがいくつかの文字列として残っています。

本記事ではそんな個人的ワールド探索ログを簡単に紹介していこうと思います。
こうしたアウトプットに私のパーソナリティ(建築を学んできたこと)が強く表れています。ここで書かれる対象となったワールドは私以外の方が解釈したら、おそらくまったく違う結果となるはずで、それくらいの懐の広さというか、深さがあるのがワールド探索の醍醐味です
ワールドクリエイターのみなさん、本当にありがとうございます。

複数の世界を横断する─点群、自動運転、フォトグラメトリ、ゲーム

主に基底現実を3Dスキャンすることによって生み出されたワールドを紹介する記事です。
私は建築系専門誌の編集者として数年、基底現実の建築や都市を取材してきたので、やはりどうしても基底現実とバーチャル空間の関係性がどうしても気になってしまいます。それはもはやどうにもならない身に沁みついた性のようなものです。

この記事を書いた当時はバーチャル空間すらあまり話題になっていませんでしたが、ここでは基底現実とバーチャル空間の関係性について、それが分断されたものではなく連続性のあるものであるということをいくつかのワールドと事例を挙げながら紹介しています。

いくつかの世界を体験して感じたのは、「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」の重要性です。

複数の世界を横断する─点群、自動運転、フォトグラメトリ、ゲーム

と書いているように基底現実とバーチャル空間が相互に作用しあう時に、世界への解像度が高まり、私たちはより、それらの世界を楽しめるようになるのではないかと思います。

バーチャル空間で建築見学!─メタボリズム・クオンタイズド ~旧都城市民会館3D Digital Archive~ワークショップレポート

少し時期は進みますが、これも同様に基底現実をスキャンすることによってつくり上げるフォトグラメトリを活用したワールドの体験録です。
対象となった建築は2019年に取り壊された建築です。つまり、この建築を”体験”できる場所はもはやバーチャル空間上にしか残っていません。

実は、基底現実の建築とは意外と儚い存在だったりします。巡り合わせが悪ければ数年で取り壊されてしまう建物なんてものも存在します。
そうした状況から、建築家の磯崎新は「木製の模型の方が建築より寿命が長い」なんてことも言ってたりします。

つまり、建築とは案外、実際に体験される数より、そうして写真や図面、模型などに媒体を変えて流通されることによって認識されることの方が多い。そうした時に写真や図面は”体験”とは言いづらい。少なくともまったくその建築を知らない人にとっては写真や図面を見せられてもなんのことやら、となってしまうかもしれません(もちろんそれらのものにもそれら自体が持つ価値もあります)。
バーチャル空間での体験は、そうした人たちに対して、より強度を持った”体験”を与えられるかもしれないと私は考えています。

バーチャルマーケット3の思い出─空間構成について&未来のファッションモール「アバターショーケース」を建築視点で見てみる

いまや風物詩となったバーチャルマーケット。

マーケットという形式だから当たり前なのですが、そのイベントの規模の大きさやどんなブース・出展がなされているかの方がよく話題に上がるのですが、そうした活動を支える屋台骨がワールドです。

バーチャルマーケットは回を重ねるごとに色々なコンセプトイメージが出てきており、回ごとに異なるワールドがつくられているのはよく知られたことですが、そうしたコンセプト以外にもワールドの動線やワールド内の建築といった構造自体も色々な試みがなされていました。
そうした特徴を私が今まで属してきた都市・建築の領域と照らし合わせながら分析を試みた記事です。

私としては、イベントだけではなく、それを支えるワールドの構造自体にも目が向けられると嬉しいなと思い、書いた記事です。

【VRCワールド紀行】揺蕩う未来─「水の休息所 -Underwater Lounge-」

この記事についてはインタビューしていただいた「楽しむ想いから生まれる「インディーズ空間」──"バーチャル空間"の"現在"(sabakichi × FUKUKOZY)」を読んでいただくのが一番良いのですが、今まで紹介した記事と異なり、「個人的に好きなワールド」という観点で紹介を試みた記事です。

ですが…あまり文章力がないため、自分の率直な感動をなかなか言葉にすることができず、結局は基底現実の建築と照らし合わせて分析するような記事となっておりますが...
ただ、私の感動の仕方のひとつの回路としては、こうした解釈も加わっているということが伝わるかな、と勝手ながら思っています。

ここから、このように個人的に好きなワールドをいくつか紹介したいと思っていたのですが...

そして、VRChatワールド探索部へ

私がVRChatワールド探索部の人たちとワールドを巡るようになったのは2020年12月からです。記事のタイムスタンプを見てもらえると分かると思うのですが、先に紹介した最後の記事は2020年9月で、そこから自分で記事は書いていません。(結構、間は空いているんですけど。そういえばこんな記事も書いてました)
なぜなら、この部活の記事が自分のやりたいこと(ワールドを世に紹介する)と思っていた”それ”じゃん!と思ってしまったから

そんなこんなでワ探に入って、しばらくはタカオミさんの書く記事にテンション上がりつつ、こういうワールド探索の楽しさをどうやったら広められるのか、なんてことをぐるぐると頭の中で考えていました。

最近やっているバーチャル空間で活動する人たちへのインタビューの手伝いなんかも、ワールドというものの面白さ・奥深さを知ってもらいたいということと、それをつくる人たちはどういうことを考えているのだろうかというところから来ているので、結局は、私がこれまでやってきたことの延長にあります。
なので、やるべくしてやっているというか。

私はワールド紹介記事はあまり書けていませんが、そろそろなんか書いてみたいなと思っているので、来年はやれるといいな。

というわけで、引き続きワールド探索をやっていくぞ、ということで、私の個人的探索ログをつらつらと紹介してみました。


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