
やっと私は1人で生きられるのだ 映画『おらおらでひとりいぐも』
つーか田中裕子って常に最高ですね
20代で『おしん』で
30代40代でも映画の主演やって『もののけ姫』やってドラマでは向田邦子やりまくって
50代で『火火』『いつか読書する日』でキネ旬の主演女優賞とって、ドラマは『Mother』とか『Woman』やって
60代でも朝ドラ出るわ映画主演やるわって。。。
ずっと全盛期じゃん。
こんな人いる?
**
さて、俺のバカバカバカ!
なんでこれを劇場で観なかったのか!
素晴らしい映画じゃないですか。
137分という長さにびびっちゃいまして。。
ちなみに同監督160分の『横道世之介』もまだ観てない。。
てか、沖田修一監督って1977年生まれなの!
そんなに若いの。。
58歳くらいかと思ってた。。
すごくない?この人。
**
導入がホラーのようで、、
『83歳のやさしいスパイ』的な老人の孤独をじっくり痛々しくやられちゃうので
これはきついっ!と怯みましたが、
中盤あたりから
田中裕子がカラオケ歌い出すあたりから
次第に自由なエネルギーが出てきます。
それでも田畑智子とか天音さんとかが出てきてそのたび暗い気持ちになるんだけど、
徐々に力強い心の自由さを獲得していく。
**
私は一人で生きたかった、
という言葉がいいですね。
やっとその時間が来たのだと。
〝家族〟に縛られない新しい女性として生きるために東京に出たのに
普通に生きてるだけであれよあれよと〝家族〟に取り込まれて
結局は〝家族〟に奉仕して生きてきて
それが終わったら〝家族〟から用済みにされてしまった。
夫は死んでしまった。
子供もウチに寄り付かない。
強烈な寂しさに襲われるものの、
そういえば私はやっと1人なのだ
私はやっと1人で生きられるのだ、と。
**
まだまだシニア層の描き方は多角的になりますね!
自分の中の自分が人間(しかも男)として現れてくるのが面白いですね。
これは原作にはないらしく、監督脚本の沖田修一のアイデアかな。
さすが。
それぞれの役名が「さみしさ1」「さみしさ2」「さみしさ3」。
さみしさが3人もいるんだけどこの3人がいるときは楽しそう。
でも、ほんとは1人だと思うとやはりさみしそう。。
**
こんなにもリアリティがあって、なおかつ映像的で、観念的で、共感性も高いシニア映画ははじめて観ました。
まだまだシニア層の描き方は多角的になりますね!