白人のフリして特権を得た黒人女性の最期 映画『PASSING -白い黒人-』 〜映画感想〜
面白い。もっと評価高くていいと思うんだけど。
説教感のなさがいいんですよ。これだよね。こういう映画好き。
人種問題だし歴史なんだけど、その前にちゃんと充実したサスペンス映画であるという。
白人のフリして特権を得た黒人女性と
白人のフリが上手くできない黒人女性とのヒリヒリした関係。
天秤のように力関係が揺れ動くのが面白い。
ルース・ネッガ
白人のフリをする黒人女性を演じた助演のルース・ネッガが演技賞で評価されていて、確かに面白い。
腹立つし切ない。
主演のテッサ・トンプソンの主役感と繊細な表現力ももっと高く評価されて欲しいな。
ルース・ネッガに面白さで負けちゃったんだよね。。
でも助演に負ける映画だからね。。仕方ないか。。
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1920年代のニューヨークのハーレム。
なんか黒人の皆さんが異様なレベルで富裕層な暮らしをしてます。
夫が医者とのことだけど、昔のアメリカでしかもハーレムでこのゴージャス感は何じゃと思ったら、
「ハーレム・ルネッサンス」というのが1920年代にあった、と。
第一次世界大戦の好景気を受けて、南部から逃げてた黒人さんたちがニューヨークのハーレムで華やかで文化的な生活を送っていたと。
とは言え、1930年くらいには大恐慌でハーレムはスラム化。
いわゆる現代のイメージのハーレムに。
(その後1990年頃から再開発が始まった、と。)
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知らなかったなぁ、ハーレム・ルネッサンスなんて。
そんな華やかなハーレムのルネッサンス期であっても、黒人は生きづらかった。
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ラストネタバレは以下に
ラスト。 クレアは窓から落ちて死んでしまう。
夫がパーティーに乱入してきた時点でクレアは人生諦めた顔してましたね。 あの無表情が良かった。
「まぁまぁ上手くやってきたのに…」って感じもするし
「白人のフリなんかせずにあなた(アイリーン)と仲良く暮らした方が良かったのかしら」って感じもする。
そしてクレアは落下。
何故かはわからない。 自分から落ちたのか 夫に落とされたのか 夫を避けようとして落ちてしまったのか
もしくは、アイリーンに足を引っ掛けられて落ちたのか。
僕はアイリーンが足を引っ掛けたと思ったんです。
全く映ってないんでね
。完全な想像ですが。
「死ね」とまでは思わなかっただろうし、 故意に足を引っ掛けようとしたわけでもないだろうけど、 アイリーンの足を引かなきゃクレアがひっかかって落ちてしまうのに足を引かなかったんじゃないかな、と。
あの一瞬。
クレアへの憎しみの方が上回ってしまったのではないかと。
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本当は黒人女性同士共に差別と戦う関係にもなれただろうに 往々にして差別を受けているもの同士で争ってしまう場合が多い。
これを愚かだとか滑稽だなんて言えない。
そもそも差別が悪いし、 人間はそんなに上手くできていない。