再読、始めました
そろそろ人生の折り返し地点を過ぎつつあるような気がするので、過去に読んだ本の再読を始めています。
やはり10代20代のころは「この世にはまだ私の知らない名作がたくさんあって、それを探しに行くんだ!」という気持ちで書店や図書館に向かっていたと思うのですが、この年齢になると「うーん名作はまだまだたくさんあるんだろうけどね。探すのが大変だし、どのみち一生かかっても全部は読み切れないし」となってしまいます(老化ですかね…)。
もちろん新しいものを読むのをやめるわけではないですが、限りある読書時間のいくらかを再読に充てようというわけです。
再読を始めてわかったのは、自分は読んだ本の内容をろくに覚えていないということです。
たとえば村上春樹著『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の場合、私が覚えていたのは「二つの世界が並行して交互に語られる構成だった」「最後のほうで主人公が女の子とイタリアンレストランに行って大量に注文し、店員に心配されるが『大丈夫、僕は昨日の朝から何も食べてないし、彼女は胃拡張だから』と答える場面があった」の2点だけです。まあ読んだのも20年以上前ですし、学生で乱読していた時期だったのでしかたないのかもしれません。
そんなわけで再読しても「こんな場面あったっけ…?」となるばかりで、ミステリーの犯人すら忘れているので何度読んでも新鮮な驚きです。ある意味では1冊で何度も楽しめるお得な性質と言えます。
ここまで記憶力がおぼつかないと、1回読んだだけの本を「読んだことがある」などと言っていいものか不安になります。実際、知人とダンテの『神曲』の話になったとき「悪魔が氷漬けにされている場面がありますよね?」と言われて「そんなのあったっけ?」と焦ったことがあります。
ちなみに今後の再読予定はこんな感じ。
・筒井康隆『虚航船団』
・ドストエフスキー『賭博者』
・スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』
例によってほぼ内容を忘れているので、どんな新鮮な発見があるか楽しみです。