当院では心臓リハビリテーションをはじめ運動療法を積極的に実施しています。
その多くの方は週1回の頻度で通われています。
新規で来られる方に『週1回でも効果はあるのですか』と質問されることがあります。
その答えとして『週1回でも効果はあります』と伝えます。
今回はそう答える理由について解説していきます。
まず運動療法を行う上で大切なことにFITTというものがあります。
FITTとは…
frequency:頻度
intensity:強度
time:時間
type:種類
の頭文字とったもので運動療法の基本でもあります。
運動療法の効果を高めるためにはこの4つを考えてメニューを決める必要があります。
さらに強化を行うためにはトレーニングの原理があります。
過負荷の原理︓効果を得るためには現段階の能⼒以上の負荷が必要
特異性の原理︓トレーニングの種類や部位に⼀致して効果が出現する
可逆性の原理︓トレーニングを中⽌すれば得られた効果は消失する
簡単に言うと少ししんどいと感じる程度の負荷が必要で、鍛えた部位以外には効果は出にくく、トレーニングをやめると戻ってしまうということです。
この原理に先ほどのFITTの考え方を当てはめると…
トレーニングの効果が落ちてしまわない程度の頻度(週〇回)、効果がでる程度の負荷(〇kgのダンベル)、効果が出やすい時間(〇分のウォーキング)、鍛えたい場所や体にあった運動の種類(有酸素運動、筋トレ)で運動を行う必要があるということになります。
この流れからもわかるように、運動療法における効果的な負荷や種類、時間などは人によって異なります。
その人によって違う負荷などを根拠を持って決めてるのが我々の仕事でもあります。
では冒頭にあった、週1回の運動でも効果があるのか?、という内容に戻りたいと思います。
当院では心肺運動負荷試験(CPX)という検査が可能です。
※詳しくは下記の記事をご覧ください。
この検査では呼気ガス分析装置を使用して、その人にあった安全で効果的な運動負荷を調べることができます。
つまりFITTの強度の部分を測定できるということです。
適切な強度が分かるため、ある程度長い時間運動を続けることができます。
問題は頻度です。
有酸素運動の効果を上げるためには週3回~5回程度が理想的とされています。もちろん頻度が多いほど効果は高くなります。
当院で運動療法を始められる方には最初は週1回、当院で実施していただきます。運動を開始して間もない時は体力が低下しているケースが多く、まずは運動に慣れる必要があります。
1回の運動に疲れてしまって運動が継続できないと元も子もありません。
週1回の運動に慣れてくると、運動に対して体の変化を感じるようになります。『同じ負荷でも楽にできるようになった』、『以前より自転車が漕ぎやすくなった』という声が聞こえてきます。
すると少しずつ負荷を上げることができます。
これを繰り返すことで体力は向上していきます。
しかしこの頻度ではある程度のところで頭打ちになります。
そこで頻度を週2回にします。
この際の2回目は自宅で行う『自主トレーニング』です。
初めから週2回で行えばいいように思いますが、運動に慣れていない場合は週2回の頻度はかなりきつく感じてしまいます。
そのため体力が少し上がった段階で頻度を増やしていきます。
このような手段で体力を上げたり、日常生活の改善を図ります。
このように週1回の運動から始めても、体力が向上したり、減量できた人は多くおられます。
大切なことは運動を通して自分の体に目が向き、色々なことに気づけるようになることかもしれません。
できない理由、やらない理由を、出来る理由、やる理由に変換させることで、理想の自分に近づけるのではないでしょうか。
運動以外のことでも、当院受診時にお気軽にご相談ください。