見出し画像

当院は内科、循環器内科、腎臓内科があるため、基礎疾患が生活習慣病という方が多くおられます。

高血圧、脂質異常、糖尿病、肥満などいずれにしても治療の基本は運動療法と栄養療法がベースであることは同じです。

メディカルフィットネスでは特にこれらの疾患のコントロールがメインになりますが、運動療法を実施されている方の中で一番多いものが、脂質異常と肥満の改善です。

食習慣の乱れや運動習慣の不足などがほとんどですが、改善する際に、『何から始めればいいかわからない、継続できずすぐに挫折してしまう、効果が出ない』などの声が多いです。

今回はそのような悩みを少しでも解決できるような内容を書いていきたいと思います。


まず1つ目に生活習慣を変えるためには目標設定と計画が必要です。
どういう身体になりたいのか、なぜそうなりたいのかを考え、そこに対する目標を設定します。
目標設定は遠すぎる、大きすぎると挫折しやすくなるため、まずは近くて達成しやすいものを設定します。
小さな成功体験を重ねることで、意欲やモチベーションを保つことができます。
そしてより具体的な数値目標を掲げます。
例えば「3か月以内に総コレステロール値を○○mg/dL下げる」や「体重をいまよりー2㎏にする」などです。

実施の目標では「毎週3回の運動をする」や「毎日野菜を2種類以上摂る」などの短期目標を設定します。この時最初から頑張ると疲れてしまうため、週1回を1か月続けることから始めてみましょう。

2つ目に自己モニタリングとフィードバックです。
自己モニタリングは主に記録をつけることです。
食事や運動の記録はもちろん、体重や行動、気分などの変化を記録することで体や心の変化を感じることができます。
今は便利なアプリがたくさんあるため、使いやすい物を選んでみてください。
アプリの結果を定期的に振り返り、努力に結果が関連しているかを評価します。思うように結果が出ていない場合は努力の方法や手段を変える必要があるかもしれません。

3つ目にサポートです。
これは仲間を作ることと、専門家の意見を聞くという2つがあります。
仲間と目標を共有することで孤独感や自己嫌悪などを感じにくくなります。仲間がいない場合でもネットの記事やブログなどで発信している人をフォローするだけでもいいかもしれません。
専門家の意見はやはり重要であり、間違った努力は絶対に避けるべきです。
効果的な方法や対処法を知っておくだけで成果は大きく変わります。

4つ目にポジティブな環境です。
食べ物を制限しようとしても、自宅にあるとつい食べてしまったりします。家族さんが買ってきてしまうケースもあるため、その場合は家族のサポートがとても重要です。
前向きに取り組めるような言葉やリズムを作れるような物の配置やデザインを考えることも必要です。

5つ目に知識の習得です。
健康情報は至る所で取得できますが、中には自分に合っていない物も多く、信頼できる情報を厳選する必要があります。
極端な物や過激な言葉は正しくない情報の可能性が高いです。
根拠のある正確な情報を得るためには個人の理解力を高める必要がありますが、やはり身近な専門家に聞くことが一番いいと考えられます。

6つめにモチベーションの維持です。
健康維持にゴールはありません。
逆に継続していくこと自体がゴールともいえます。
つまり道のりは長いため、頑張ってしまうことは必ずしもいいとはかぎりません。むしろ頑張らない状態で成果を出すことが大切です。
努力は小さいが確実に成果が出ている状態と小さな成功体験を積み重ねることで長く継続することができます。

これらの条件をそろえることが目標を達成するためには必要ですが、なかなかできないのが現状ですので、少し別の見方をします。


意志やモチベーションを保てない原因として栄養不足の可能性もあります。

脳が栄養不足の状態では、正常な思考や判断ができなくなります。
それが結果的に継続できない原因になっているかもしれません。


ここでは脳の機能をサポート、ストレスを軽減、精神的な健康を向上させるのに役立つ栄養素を紹介します。

1. オメガ-3脂肪酸

  • 効果: 脳の健康をサポートし、炎症を抑える効果があります。認知機能や気分の安定に寄与します。

  • 摂取源: サーモン、サバ、イワシなどの脂肪の多い魚、亜麻仁油、チアシード、くるみ。

2. ビタミンB群

  • 効果: エネルギー代謝を助け、神経系の健康をサポートします。特にビタミンB6、B12、葉酸は、ストレス軽減と気分の安定に重要です。

  • 摂取源: 全粒穀物、豆類、ナッツ、種子、緑色野菜、肉、魚、卵、乳製品。

3. ビタミンD

  • 効果: セロトニンの生成を促し、気分の安定に寄与します。ビタミンDの不足は、うつ症状と関連しています。

  • 摂取源: 日光浴、サーモン、マグロ、サバ、強化乳、卵黄、きのこ。

4. マグネシウム

  • 効果: ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを調整し、リラックスを促進します。また、睡眠の質を向上させる効果もあります。

  • 摂取源: ナッツ、種子、全粒穀物、緑色野菜、豆類、アボカド、ダークチョコレート。

5. 鉄分

  • 効果: エネルギーの生成と酸素の運搬に重要で、鉄分の不足は疲労感や集中力の低下につながります。

  • 摂取源: 赤身の肉、鶏肉、魚、豆類、ほうれん草、キヌア、強化シリアル。

6. 亜鉛

  • 効果: 免疫機能をサポートし、脳の健康にも重要です。亜鉛は神経伝達物質のバランスを保ち、気分の安定に寄与します。

  • 摂取源: 牡蠣、赤身の肉、豆類、ナッツ、種子、乳製品。

7. プロバイオティクス

  • 効果: 腸内細菌のバランスを整え、腸-脳相関を通じて精神的な健康をサポートします。腸内環境が良好であると、気分が安定しやすくなります。

  • 摂取源: ヨーグルト、ケフィア、キムチ、ザワークラウト、味噌、納豆。

8. アミノ酸(特にトリプトファン)

  • 効果: セロトニンの前駆物質であり、気分の安定に寄与します。セロトニンは「幸福ホルモン」として知られており、精神的な安定に重要です。

  • 摂取源: 七面鳥、鶏肉、牛乳、卵、チーズ、ナッツ、種子、豆類。

9. 抗酸化物質

  • 効果: 酸化ストレスを軽減し、細胞の健康を維持します。脳の健康をサポートし、認知機能の低下を防ぐのに役立ちます。

  • 摂取源: ベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリー)、ダークチョコレート、ナッツ、緑茶、カカオ、ビーツ。

10. 水分

  • 効果: 適切な水分摂取は、全体的な健康と認知機能の維持に不可欠です。脱水は、疲労や集中力の低下、気分の不安定を引き起こします。

  • 摂取方法: 1日に1リットル~1.5リットル程度の水を飲むよう心がける。水分摂取が不十分な場合は、お味噌汁やスープなども活用する。

  • ※腎機能障害や人工透析を受けられている方、心不全症状のある方は水分摂取制限があると思いますので医師の指示にしたがってください。


日々の食事にこれらの食品を取り入れ、まずは精神的な安定を獲得し、健康をサポートすることも重要です。


健康的な身体を目指して、取り組んでいても、継続することは難しい場合があります。
それはやらない理由はいくつでも考えられるからです。
しかし、動機や目標が明確で、しっかりとしたサポートをしていれば、いい結果がでる可能性が高くなります。

当院では心臓リハビリテーションの他、生活習慣病の方を対象にメディカルフィットネスを実施しております。

メディカルフィットネスでは運動だけではなく、栄養面や睡眠、身体の痛みやセルフケアなどの伝達も行っております。

当院で完結するのではなく、自分で取り組むための知識や習慣、材料を得てもらうきっかけの場になればいいなと思っております。


当院リハビリテーション室


レッグプレス
NU-STEP
ストレッチマシン、油圧マシン
トレッドミル