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名酒から変態酒まで、6種の福井の日本酒を酒にまつわる色々な方に実際に飲み比べてもらいました! アンテナショップ「ふくい食の國291」 日本酒飲み比べ

福井県は、日本でも有数の日本酒の名産地でもあります。福井のアンテナショップ「ふくい食の國291」には、数多くの福井の日本酒が並んでいますが、あまりにも多くて、何を選べばよいか困ってしまいますよね。

ひとくちに「日本酒」と言っても、その味は様々。飲み慣れた人が飲むのと、あまり知らない人が飲むのと、飲むシーンによっても色々と好みが分かれるかもしれません。
今回は、そんな数ある福井の日本酒から6つの日本酒を選んで、お酒に関わる様々な職種の方に飲み比べてもらい、試飲の感想を聞くそんなコンテンツです。

読者の方が、それぞれの方のコメントを聞いて、奥深い日本酒の世界を体験して、福井の日本酒に興味を持っていただけたら幸いです。

福井の日本酒

福井県は、自然豊かな地形と四季折々の気候に恵まれ、古くから酒造りが栄えてきた地域です。この地で生まれた日本酒は、全国でも高い評価を受け、繊細で深い味わいが特徴です。水と米にこだわり、伝統を重んじつつも革新を続け、唯一無二の日本酒を生み出しています。

今回ご紹介する6種類の日本酒は、福井の豊かな風土と酒造りの技術が詰まった王道なものから変わったものまで。日本酒と言えどもそれぞれの個性を持った日本酒たちです。

今回選んだ6種類の日本酒は
・南部酒造場「花垣 純米にごり」
・加藤吉平商店「梵 吟撰」
・黒龍酒造「黒龍 いっちょらい」
・三宅彦右衛門酒造×越前酒乃店はやし「早瀬浦 別撰 特別純米」
・毛利酒造「紗利 五割諸白 純米大吟醸」
・美川「舞美人 純米吟醸」

知ってるものありますか?
福井の飲食店では、メニューでよく見るメジャーなものから、あまり聞いたことのない特徴的な日本酒まで、どれも評判の高いお酒です。

お酒を楽しませるプロ:バーテンダーの場合

福井の片町で落ち着いた雰囲気の本格的なバー「パインズバー」。マスターの松浦さんに、飲み比べをしてもらいました。

「舞美人 純米吟醸」

フルーティな甘みよりも、キレのある辛さが際立つお酒です。飲み終えた後には日本酒本来の深い味わいがしっかりと余韻として残り、まさに“日本酒らしさ”を堪能できる一杯と言えますね。軽やかさというよりは、しっかりとしたボディが特徴的で、日本酒の魅力が凝縮された、古き良き日本酒のスタイルを感じさせます。

「紗利 五割諸白 純米大吟醸」

甘みは控えめながら、口に含むとスッと滑らかに広がり、後味がすっと消えていく心地よさが印象的です。しっかりと日本酒の風味を感じられる一方で、舞美人に比べると余韻が軽やかで、飲みやすさが際立っています。舌の上でスッと溶けるような繊細な感覚が楽しめる、純米酒らしい一杯です。

「黒龍 いっちょらい」

紗利と似た風合いを持つ、近いタイプの純米酒です。口に含むと甘みがふわっと柔らかく広がり、その後スッと溶けるように消えていきます。やわらかな口当たりで、口の中に優しい余韻が残り、心地よさを感じられる一杯です

「梵 吟撰」

香りからしっかりとした吟醸酒の存在感が伝わり、まさに純米大吟醸らしい王道の味わいです。
甘く華やかな香りが口の中でゆっくりと溶けて広がり、その優雅さと深みが心地よく感じられます。純米大吟醸の魅力を存分に堪能できる逸品です。

「早瀬浦 別撰 特別純米」

日本酒らしさをしっかり感じさせつつも、重さや独特のクセがなく、とても飲みやすいお酒です。
吟醸酒のような華やかな香りは控えめでありながら、日本酒特有の香りが強く残ることもなく、全体的にすっきりとした味わいに仕上がっています。クセが少なく、水のようにスムーズに喉を通る軽やかさが特徴で、ついグビグビと飲み進めてしまう一杯です。

「花垣 純米にごり」

このにごり酒は、しっかりとした甘さとフルーティな香りが特徴の、とても美味しい一杯です。
一般的に日本酒らしさが強いお酒はやや男性的な印象を受けることが多いですが、このお酒は柔らかで、女性にも親しみやすい味わいに仕上がっています。
日本酒に不慣れな方でも、甘さと飲みやすさがあるため、初めての日本酒としても楽しんでいただけるお酒ですね。

バーテンダー視点での日本酒

ー マスター個人的にはどのお酒が好きですか?

私は「舞美人」が好きですね。しっかりとボディがあって味わいがあるお酒が好きです。飲みやす過ぎるものは、お酒単体で味わうには少し物足りない気がします。なにか食事に合わせるとなると、また変わってくると思います。あと、「にごり酒」は女性や若い方にいいと思います。

バーでお出ししている「ウィスキー」はしっかりと味があって、あてを選ばないお酒なんです。
それに比べて、日本酒やワインは「あてとの相性」が大切。肉や魚、その時の食事に合わせて選ぶのがいいですね。

店舗情報

パインズバー(Pine's Bar)
福井県福井市順化2-20-16
0776-24-3221

日本酒大好きなインフルエンサーの場合

旅好きで日本全国を巡り、その土地のお酒を堪能しているNachiさん。特に東北で出会った日本酒の美味しさに感動し、それ以来すっかり日本酒の魅力にハマっているのだとか。

地元の福井では、『早瀬浦』とか『いっちょらい』は馴染みのお酒で、何度も飲んだことがあります。福井の日本酒って、やっぱり『辛口ですっきりした味わい』っていうイメージが強いですね。このすっきり感が、福井の綺麗な自然とか、酒造りの丁寧さを感じさせてくれて、そこがすごく好きなところです。

「梵 吟撰」

おいしいです!思ったよりも甘さを感じますね。
辛口かなって思ってたけど、辛さが強すぎるわけじゃなくて、しっかりした切れ味があってすごく飲みやすいです。これなら日本酒をスッと楽しめるんじゃないかなって思います!

「舞美人 純米吟醸」

色がすごく特徴的ですね!これ、初めて飲むタイプの日本酒です…こんな日本酒は本当に初めて。
私が知っている日本酒とは全然違う感じで、まるで別のお酒みたいです。少し酸味があって、樽で発酵したような独特のクセがあるんですけど、それがすごく個性的で面白いですね。

「黒龍 いっちょらい」

この味、すごく馴染みがあります。一番しっくりくる感じですね。
ご飯やお料理に合わせやすそうな味わいで、さらっと飲みやすいです。いい意味で癖がなく、スッと体に入ってくる感じがします。すごく美味しいです。こっちの方が辛口で、飲み応えがあります。

「早瀬浦 別撰 特別純米」

いっちょらいよりも、さらに飲みやすいです。いい意味で水のようにスッと体に入ってくる感じで、ずっと飲めちゃいそうです。
地元では早瀬浦とへしこが有名ですが、このセットで飲んでたらずっと飲んでしまいそうです。

「紗利 五割諸白 純米大吟醸」

やさしい味わいですね!
香りがふわっと広がって、ツンとした刺激が全くなく、口の中で柔らかく溶けるような感じがします。すごく穏やかで飲みやすいので、お料理と合わせるとさらに引き立ちそうです。

「花垣 純米にごり」

デザート!笑 これだけで飲みたくなるし、お口直しにもぴったりだと思います。
食後にゆっくり楽しむのにも良さそうです。酸味がありつつも甘めのお酒で、口の中でほわっと広がりが残るのが心地よくて、とても魅力的です。

インフルエンサー視点での日本酒

ー nachiさんはどの日本酒が好きですか?

「『早瀬浦』と『いっちょらい』は普段からよく飲んでいて、やっぱり好きですね。
どちらも飲みやすくて馴染み深い味わいです。『舞美人』は最初に飲んだときはちょっとインパクトがあるけど、お酒好きな人ならクセになる味かもしれません。『花垣 純米にごり』はデザートみたいで、甘さがあってまた違った魅力です。

でも、個人的に一番好きなのは『早瀬浦』です。さらに今回飲んでみて、『梵 吟撰』がすごく美味しくて感動しました。飲むほどにどんどん進んじゃう感じで、気づいたら手が伸びてしまうような日本酒です。

ー インフルエンサーとしてどの日本酒をおススメしたいですか?

「『花垣 純米にごり』ですね。特に女性は絶対好きだと思います。
ツンとした刺激がなくて優しい味わいなので、他の日本酒を飲んでいても、間に挟んでリフレッシュするのにちょうどいいです。日本酒が苦手な方でも飲みやすいと思うので、ぜひ試してみてほしいです。

プロフィール

Nachi
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お酒販売の専門家:老舗酒店の場合

「越前酒乃店はやし」は、100年以上の歴史を持つ酒屋で、全国各地の厳選されたお酒を取り扱っています。
今回は、スタッフの犬走さんに、日本酒6種の飲み比べをお願いしました。

ー こちらに並んだお酒は全てご存じですか?

はい、すべて取り扱いがありますね。

「紗利 五割諸白 純米大吟醸」

お米の香りがほんのりとして、大吟醸らしい爽やかさがありますね。食事に合わせるなら、やっぱり刺身や魚系の料理がぴったりです。
名前の『紗利』というのは、お寿司のシャリから由来しているんですよ。だからこそ、魚との相性が抜群なんですね。洋風の料理で合わせるなら、カルパッチョなんかも良さそうです。

「梵 吟撰」

とても綺麗なお酒ですね。純米大吟醸で50%磨きなのに、2000円ちょっとというコストパフォーマンスの良さに驚きます。
このお酒は、愛子さまのご生誕を祝って作られたという背景があり、そこから二十数年もの間、ずっと愛されているロングセラーです。食事に合わせるなら、やはり魚系の料理が最適だと思います。

「黒龍 いっちょらい」

黒龍の代表作ですね。この中で唯一、醸造アルコールを使用しているお酒ですが、とても質の良い醸造アルコールを使っているので、クセが全くなく、非常に美味しく仕上がっています。料理に合わせる際も、肉でも魚でもどちらにも合う万能な一本です。

「早瀬浦 別撰 特別純米」

若干酸味があって爽やか系の味わいですね。
このお酒は早瀬浦さんと酒の店はやしがコラボして作った商品なので、間違いなく美味しいです(笑)。このラインナップの中では、一番辛口で、スッと体に入ってくるような飲みやすさが特徴です。

「舞美人 純米吟醸」

これはかなり酸味が強いですね。その分、酸味に負けないしっかりとした味わいのがっつり系の食事に合いそうです。
このお酒は吟醸酒ならではの独特の風合いがあって、どこか懐かしさを感じるような、昔の二級酒を思い起こさせるイメージがあります。今は常温で飲んでいますが、これをぬる燗にすると、さらに旨みが引き立ってもっと美味しくなると思います。

「花垣 純米にごり」

おいしいですね。甘さがしっかりありつつ、程よい酸味がバランスよく残っていて、とても飲みやすいお酒です。
酒の店はやしでは、150~180種類ほどのお酒を取り扱っていますが、その中でも10本の指に入るほどの人気を誇っています。そして意外なことに、このお酒は燗でも美味しいんです。通常、濁り酒を燗で楽しむことはあまりないですが、ぬる燗にすると、甘さと酸味がさらに引き立って、一味違った魅力が感じられます。

酒店の視点からの日本酒

ー 福井のお酒の特徴ってなんですか?

やっぱり辛口が多いところですね。福井県って、美味しいお水がたくさん湧き出るじゃないですか。その美味しいお水があるからこそ、美味しいお米が育つんです。その美味しいお水とお米を掛け合わせて日本酒を造っているので、まずいわけがないんですよ。福井の自然がそのままお酒に活きているんだと思います。

ー 犬走さんはどの日本酒が好きですか?

私私は個人的にはやっぱり『紗利 五割諸白 純米大吟醸』ですね!魚が大好きなので、魚料理に合わせるならこのお酒が一番だと思います。スッと喉に入ってしまうので、つい飲み過ぎてしまいそうですが、そこは注意しないといけませんね(笑)。

店舗情報

越前酒乃店はやし
福井県福井市西方2丁目2-13
0776-63-5120
https://sakenomise.com/

若者の視点:スイーツバースタッフの場合

福井の片町でお酒とスイーツを楽しめるスイーツバー「Salice(サリチェ)」で働くきずなさん。
普段はハイボールをよく飲んでいます。実は生まれも育ちも福井なんですが、日本酒を飲む機会ってほとんどなかったんですよね。

きずなさんは、日本酒をあまり飲んだことがない若者の視点から、今回の飲み比べに挑戦。普段飲んでいるお酒とは一味違う日本酒の世界をどう感じるのか、その純粋な感想に期待が高まります。

「早瀬浦 別撰 特別純米」

思っていたよりも飲みやすいです。軽くてすっきりとした味わいで、すごく飲みやすい。ただ、その分、味が薄いかな。スッキリとしているけど、フルーティさが少し強めに感じられます。

「黒龍 いっちょらい」

早瀬浦よりも、こっちの方がさらに飲みやすいです。有名なお酒ですよね、名前は聞いたことがあります。スッと入ってくる感じがあって、日本酒初心者でも親しみやすい味だと思います。

「梵 吟撰」

おいしい!これは本当においしいです!
軽やかで、お花みたいにフルーティでフローラルな香りが広がります。味に丸みがあってとても好きです。

「紗利 五割諸白 純米大吟醸」

あまりアルコールを感じないですね。スッキリとしていて飲みやすいんですが、特徴が薄くて、私にはちょっとわかりづらいです。お酒感が少なくて、本当に軽く飲める感じです。

「舞美人 純米吟醸」

うわ!アルコール感が強い…お酒って感じがしますね。ちょっときつい印象で、正直苦手です(汗)。イメージしていたのとはだいぶ違いますね。酸味がかなり感じられて、独特な味わいです。

「花垣 純米にごり」

うーん、一番お米を感じますね。甘くて、これ好きです! にごり酒らしいまろやかさがあって、どこかマッコリに近い感じもします。女の子に人気が出そうですね。米のとろみがしっかり感じられます。

普段はあまり日本酒を飲む機会がないきずなさんは、違いを言葉で表現するのに少し苦戦していましたが、その中でも「梵 吟撰」をとても気に入った様子でした。「軽やかでお花みたいにフルーティ、フローラルで、純粋においしい」と絶賛し、丸みのある味わいに魅了されたようです。

店舗情報

Salice(サリチェ)
福井市順化1-15-1 KIHACHIビル B1
0776-43-6686
https://sweetssalice.com/

料理人:寿司屋店長の場合

寿司屋の店長の楠田さん。お店では「黒龍」や「梵」といった福井の名酒を取り扱っています。普段からがっつり飲むことは少ないものの、日本酒はたしなんでおり、辛口の日本酒が好み。福井の日本酒についても、料理との相性を考えながら日々接しているため、独自の視点で評価してくれました。

「梵 吟撰」

甘い、甘いですね。この甘さに合う料理は、塩辛いものやパンチの効いた料理が良いと思います。ただ、しっかりとした甘さがあるので、魚料理にはあまり向いていないですね。料理と合わせるというよりは、このお酒だけでじっくり楽しむのが良いと思います。

「黒龍 いっちょらい」

フルーティな甘さが特徴的ですね。これも塩辛いものと合わせるとバランスが取れて良いと思います。ただ、和食と一緒に飲むには少し甘さが強すぎる印象があります。

「紗利 五割諸白 純米大吟醸」

これも甘口ですが、どっしりとした甘さではなく、甘さの中にしっかりとした厚みがあります。
ただ、白身魚の刺身と一緒に食べると、この甘さが料理の繊細な味わいを邪魔してしまうかもしれません。

「早瀬浦 別撰 特別純米」

甘さがありますが、後味がすっきりとしているのが特徴。このお酒ならお刺身とも相性が良いと思います。ただし、口当たり自体は甘さをしっかり感じるので、繊細な味わいの料理と合わせる際にはバランスを考えたいですね。

「舞美人 純米吟醸」

これはすごく特徴的ですね。
発酵感が強くて、どこか樽で仕込んだウイスキーのようなニュアンスを感じます。こういうお酒は今ではあまり見かけないので、逆に個性が際立っていて面白いです。

「花垣 純米にごり」

まさににごり酒らしいお酒です。
どぶろくに近いようなクリーミーさがあります。これも料理に合わせて飲むというよりは、お酒だけで楽しむのが一番だと思います。そのままで十分満足できる一杯です。

ー 今回6本のお酒を持ってきましたが、どれも料理に合わせるのには甘すぎますか?

そうですね、もっと辛口のお酒の方が料理には合わせやすいと思います。
料理を楽しむ中で、口の中をさっぱりとリセットして、次の料理を美味しくいただけるというのが理想です。甘さやクセがあると、どうしても口の中に残ってしまいますね。

脂っぽい料理には合うかもしれませんが、うちのように魚、特に生魚を扱う場合だと、その甘さやクセが舌に残って邪魔をしてしまうことがあります。どれも濃厚で素晴らしいお酒ですが、印象が強すぎて、料理の味が少し霞んでしまうと感じます。

ー 個人的にはどの酒が好きですか?

この中だと『早瀬浦』か『にごり酒』ですね。どちらも個性がしっかりありますが、シーンによって飲み分けたいと思います。

店舗情報

天然本まぐろ ありそ鮨し
東京都千代田区丸の内1-9-1 グランスタ東京 1F
03-6268-0890
https://www.arisozushi.com/

日本酒の専門家:唎酒師の場合

酒類全般の基礎知識やもてなしの心、日本酒に関する深い知識と提供技術を身につけた唎酒師である牧野さん。日本酒のプロとして、福井の6本のお酒を飲み比べていただきました。

福井のお酒は全体的に「辛口淡麗」のものが多くて、食中酒として楽しめるお酒が主流です。地元の食文化と密接に結びついてて、その地域の特性に合わせた味わいがあります。

例えば、田舎料理の定番の「芋の煮っころがし」のような甘くどい濃い味付けには、それに合うような少し甘みのあるお酒が作られてますし、早瀬浦のような魚介類が豊富な地域では、魚料理と相性の良いスッキリとしたお酒が多いです。
福井の食卓には、魚介系や優しめのご飯が並ぶことが多いので、そういった料理を引き立てるお酒が多いのも福井の日本酒の特徴です。

また、福井のお酒は高級和食店でも使われることが多くて、お酒自体が食事の邪魔をせず、どんな料理にも合わせやすいバランスの良さがあります。切れ味が良くて、辛口でさっぱりとした飲み口のもの、洗練された味わいが支持されています。

「紗利 五割諸白 純米大吟醸」

おいしい。
『紗利』は純米大吟醸なんですが、1000円台という価格で、とてもコスパが良いお酒です。甘みがしっかりとあるので、このお酒自体でバランスが取れていて、特に福井のお蕎麦は出汁が特徴的なので、これくらいの甘さがちょうど良く、辛すぎるお酒よりも相性が良いと思います。
また、甘さがあるので、食前酒として楽しむのにもぴったりです。ジャンルで言うなら『爽酒』ですね。

「花垣 純米にごり」

本当に良くできたお酒です。これ、燗にしても美味しいんです。
にごり酒にも色々な種類がありますが、特に滑らかで、上品な口当たりが特徴的です。少し傾けただけでスッと混ざるのは、圧をかけずにじっくりと時間をかけて絞っているからなんです。その製法がこの滑らかさを生んでるんですね。

普段はやらないかもしれませんが、パインサイダーで割ると意外に美味しいんですよ(笑

「梵 吟撰」

すごく飲みやすい。加藤吉平商店は福井県鯖江の酒蔵で、純米蔵として知られています。醸造アルコールを一切使わずに造られている点に強いこだわりを持っており、その品質の高さが際立っています。

『梵』は世界的にも人気のある蔵元で、多くの人に知られている名酒です。また、政府専用機搭載酒としても知られ、海外の来賓をおもてなしする際にも使われているみたいです。

このお酒はキレのある辛口というよりは、少し甘みがあって余韻が心地よく残るのが特徴です。

「早瀬浦 別撰 特別純米」

通常酒蔵の周りには田んぼが多いのですが、早瀬浦の酒蔵の周りは、田んぼではなく湖が多いというのがとても珍しいんです。船の流通が盛んな地域で、お神酒として地元の人々に長く愛されてきたそうです。

早瀬浦は、どちらかというと荒々しさのあるお酒を造ります。このお酒もキレの良い辛口のお酒に分類されます。アンテナショップに来られるお客様の中には、『蟹に合わせるなら早瀬浦がいい』と言われる方もいらっしゃいます。

若狭地方の酒蔵は少ないですが、その中でも早瀬浦さんはとても人気があり、多くの方に支持されている酒蔵です!

「舞美人 純米吟醸」

香りがすごい!うーん、変わったお酒ですね。

合わせるものによっては、とても美味しく飲めるんです、中華とか!
少し酸味が強く、紹興酒を思わせるようなニュアンスがあるので、中華の濃い味付けや甘辛系の料理にぴったりなんですね。

この独特な個性から、熱烈なファンが多いお酒なんですよ。いわゆる“変態酒”と呼ばれるような、一度ハマるとやみつきになる魅力があります。

「黒龍 いっちょらい」

キュっと切れる辛口のお酒ですね。口の中がスッとさっぱりとなくなるので、つい次々と飲んでしまいます。
辛口でドライな味わいで、口に残るタンパク質系の魚と相性がいい。あとは蟹みそともすごく相性がいいですね。苦みを感じにくくして、旨みを引き立ててくれるんです。

ー 個人的にはどの酒が好きですか?

私はお酒が好きすぎて、お酒を楽しむために料理を作るくらいなので、それぞれの良さがあって、どれが一番好きかは決めきれないですね(笑)。

基本的にはドライでキレのあるお酒が好きです。福井のお酒をずっと飲んできたので、やっぱりそういうスタイルのお酒に馴染みがあります。

ー 福井のお酒の特徴を教えてください

北陸は魚介が多く、水がとても綺麗なので、福井のお酒はそうした環境に合ったものが多いです。最初に少し甘みや優しさを感じるけど、飲み終わりにはスッと切れてなくなるような、ドライで洗練された味わいが特徴ですね。そういうお酒は、和食店やお寿司屋さんなどでもよく見かけますし、料理との相性も抜群です。

日本酒って、『純米』『吟醸』『大吟醸』『本醸造』って何? とか、『甘口辛口』が分からないっていう方も多いと思うんです。
日本酒はとても奥が深いんですけど、もっとわかりやすくお伝えして、みなさんにもっともっと飲んで、日本酒を楽しんでいただきたいです。

まとめ

福井は水がきれいで米どころとしても知られている地域です。魚介類に合わせた日本酒が発展してきた背景があり、スッキリとしたキレの良い日本酒が多く造られています。

日本酒の味わいは人それぞれの感じ方があるのですが、どのお酒もそれぞれ個性があって、改めて日本酒の奥深さを感じました。こんなに違いがあるなんて、本当に面白い世界だなと思いました。

ただ、日本酒は他のお酒に比べて少しハードルが高いイメージを持たれていることもあると思いまが、もっともっと気軽に楽しんでもらいたいです。
飲み比べをしてみると、自分好みの味わいがきっと見つかりますよ。

福井のアンテナショップ『ふくい食の國291』では、今回紹介したお酒以外にも、たくさんの福井の日本酒を取り揃えています。今回の企画で日本酒の魅力に改めてハマった私ですが、皆さんもぜひ福井の日本酒を飲み比べて、自分のお気に入りの1本を見つけてみてください!

※スタッフの所属、店舗の情報は取材の当時のものです。